選挙研究
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34 巻, 1 号
選挙研究
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 離脱投票者・3つの底流
    富崎 隆
    2018 年34 巻1 号 p. 5-21
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年6月23日に実施されたEU離脱を問う国民投票は,離脱勝利という結果を得た。本稿は,この歴史的な結果をもたらした有権者の民意と投票行動について,BES (British Election Study)の世論調査データを使用し,データをできるだけ豊富な形で紹介すると共に,国民投票がこの結果に至った要因について分析を試みる。社会的属性,経済・移民・主権問題といった争点,政治不信,ナショナリズム,メディア接触,政治指導者評価等の規定要因について個別に検討した上で,それらの要因を包括的に含んだ多変量モデルを構築する。次に,離脱派勝利には,異なる有権者像をもつ3つの底流があったとする仮説を提示し,実証結果を示す。
  • ブレグジットと二大政党政治への回帰
    阪野 智一
    2018 年34 巻1 号 p. 22-39
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    過半数を制した政党がない状態(宙吊り議会)が生じたにも拘わらず,2017年イギリス総選挙の最も注目すべき特徴は,二大政党政治への回帰であった。しかし,それは年齢をベースとした新たな二大政党政治への変容であり,若年層の労働党支持増大に示される,社会的リベラル-保守主義といった社会文化的な対立軸の台頭を意味している。保守党の敗因,労働党の躍進要因,2016年のEU国民投票とその結果が今回の選挙にどのような影響を与えているのか,こういった点を中心に,2017年総選挙の水面下で進行するイギリス社会の分断状況と政党政治の変容の諸相を明らかにする。社会文化的対立軸は,従来,左-右の経済対立軸と交差し,イギリス政党システムの多党化を促進してきた。しかし,今回の選挙では,社会文化的対立の表れでもあるブレグジットが,UKIPの事実上の解体とSNPの後退をもたらすことで,多党化への傾向を逆転させ,二大政党政治への回帰をもたらすことになったことを指摘する。
  • 増田 正
    2018 年34 巻1 号 p. 40-53
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    エマニュエル=マクロンは,2017年フランス大統領選挙において,極右ポピュリストのマリーヌ=ルペンに勝利した。彼は公選職の経験がなく,政治のアウトサイダーであった。マクロンは次々に起こった出来事をうまく利用し,国家元首に上り詰めた。それらのチャンスには偶発的なものもあれば,必然的なものもあった。彼はあらゆる状況をうまく取り扱い,大統領の地位をつかんだのである。世論調査によれば,ルペンはたとえ相手が誰であれ,決選投票では敗北することが予想されていた。大統領任期を7年から5年に短縮した2000年の国民投票によって,分割政府(保革共存政権)の誕生はより難しくなった。時間的に先行する大統領選挙での勝利は,その直後の国民議会議員選挙における大統領多数派の形成を促進させる。政治体制の「大統領制化」によって,二つの選挙結果は自然に同期するようになったと考えられる。
  • 河崎 健
    2018 年34 巻1 号 p. 54-65
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,2017年9月24日に実施されたドイツ連邦議会選挙の結果を分析するものである。同選挙では,連立与党のキリスト教民主/社会同盟とドイツ社会民主党が議席を大きく減らし,反移民の右派政党「ドイツのための選択肢」が大きく躍進した。2015年以来のメルケル首相の難民政策への批判が影響したとも評されるが,選挙前に首相の政党の圧勝が予想されていたことが同党支持者の投票行動に影響した点も無視できない。本稿では,社会民主党,さらには自由民主党,緑の党,左派党といった小政党の支持動向を紹介した後,「ドイツのための選択肢」の勝利の要因,同党選出議員の特徴を概観する。そして前回選挙より変更された選挙制度の影響に触れ,最後に投票日からおよそ半年間続いた連立交渉について簡単な説明をする。
  • アメリカ選挙法の近時の動向の一断面として
    吉川 智志
    2018 年34 巻1 号 p. 66-80
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,アメリカ選挙法の一側面として,Shaw型訴訟と呼ばれる人種的ゲリマンダリング訴訟を取り上げ,その近時の動向を明らかにするものである。Shaw型訴訟はこれまで,主として,人種的マイノリティの代表選出の機会を確保するマイノリティ多数選挙区を,合衆国憲法第14修正の平等保護条項の観点から抑制する保守的な訴訟として位置づけられてきた。しかし近時,共和党が支配する州議会が,党派的利得を得るために,差別救済法である投票権法の遵守を名目として,マイノリティ特定選挙区にマイノリティを過度に詰込む区割りを行うようになったことを受け,これまでShaw型訴訟に批判的であったリベラル派裁判官が,Shaw型訴訟の法理を用いてこれを掣肘しようとする,という構図が生じている。
  • 裁判所による判決の動向とその検討
    新井 誠
    2018 年34 巻1 号 p. 81-93
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    公職選挙法は,禁錮刑以上の受刑者の選挙権を制限しているが,これは「成年者による普通選挙を保障する」日本国憲法15条3項との関連において正当化されるのか。近年,これに関連する訴訟がいくつか提起され,それに対する判決が出されている。本稿は,こうした受刑者の選挙権制限をめぐる裁判所の判決動向とその検討を行う。これについてまず,選挙権制限と憲法との関係を示す。その後,在外国民の選挙権(行使)の制限を違憲とした最高裁平成17年判決と,その判断枠組みに関するその後の影響を踏まえつつ,近年見られた受刑者の選挙権制限に関する2つの訴訟(大阪訴訟,広島訴訟)の地裁判決,高裁判決を概説,分析する。そして,それらを比較検討する過程で,特に最近示された広島高裁判決の論理的問題について検討する。以上をふまえて受刑者の選挙権制限を論じるにあたっての今後の課題を示す。
  • 西山 千絵
    2018 年34 巻1 号 p. 94-105
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,投票所での選挙権行使に困難を抱える者を対象として,障害,疾病のある人とともに,寝たきり等の人の選挙権を扱う。判例では,選挙権の保障は選挙権の行使という実質的保障まで含むとされているところ,本稿は,選挙権の行使の本質的部分にわたる制限の適否--投票所等へ向かえる選択肢がほぼない人,政治的な意思表明の方法の選択肢が限られる人に対する機会・方法の制限--に焦点を当てた。一部の者には,その投票困難性への対応として郵便等投票,代理記載制度が設けられているが,精神的原因により外出困難な人や,制度対象外の寝たきり等の状態にある人への範囲拡充は,選挙の公正を理由として立法解決が遅れている。投票の困難性の明確な判定あるいは類型化が難しい対象の存在や,代理記載の限界にも留意しつつ,投票困難者の選挙権行使の機会・方法の確保について,巡回投票等の可能性にも多少の言及をしながら,検討を行った。
  • 議員定数削減問題と調査能力の向上に向けて
    岡田 順太
    2018 年34 巻1 号 p. 106-117
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    地方議会については,その存在意義を認めない住民意識が根強い。ただ,そもそも地方議会議員が「何をすべきか」についての憲法的考察が欠けていたのも事実である。そこで,議員定数削減論争を契機として,その背後にある構造的課題を明らかにしつつ,単純な削減論争が無意味であることを述べる。その上で,憲法的観点から,昨今の情勢を踏まえつつ,「組織化された」調査能力の向上が議会の存在意義の確立にとって不可避であることを示す。そこでは,政治的立場が異なる議員たちが,「書き言葉」を基礎とした事実発見をする過程である「委員会の論理」が求められる。この段階に至り,地方議会に対する不信感に満ちた民意を「修復」しつつ反映し,世論に翻弄されることなく民意の「説得」と統合をはかるという,憲法上の意義と役割を見出すことになろう。
  • 公益社団法人・NPO法人の場合
    横大道 聡
    2018 年34 巻1 号 p. 118-131
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    現行法上,NPO法人に対しては「政治活動」を制限する規定が置かれ,公益社団法人については公益性審査に際して「政治活動」を行う団体であるかが審査されている。これら団体による「政治活動」の制限に対して,憲法学はほとんど関心を示してこなかった。その最大の理由は,法人格の取得が一般社団法人制度によって担保されているため,何らかの利益を伴う法人格については,それを付与しなくとも憲法上の問題とはならないという思考にあるように見受けられる。しかし,他の法人格と別異取扱いをする合理的理由がなければ憲法14条1項の問題になりうるし,それら法人による政治活動を広く制限することは憲法21条1項で保障される結社の自由の客観的・社会的価値を損なわせることになる。そのような視点から,憲法上の問題として検討していくことが求められる。
  • 政党差別化の分析
    小川 寛貴
    2018 年34 巻1 号 p. 132-145
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,選挙によって選挙制度が異なる状態,すなわち制度間不均一が有権者に与える影響を分析した。日本には,制度間均一選挙区と制度間不均一選挙区が併存している。本研究ではその特徴を利用して,制度間不均一が有権者の政党差別化にどのような影響を与えるかを分析した。先行研究では,制度間不均一が選挙区レベルの政党間競争に与える影響に着目することが多く,有権者への影響は詳細に検討されてこなかった。世論調査データを利用した分析から,制度間不均一選挙区の有権者は,均一選挙区の有権者に比べて政党差別化の程度が低いことが明らかになった。同時に,そうした不均一の影響は,政治関心が高くなるほど緩和されることも明らかになった。
  • 条件配列分析を通じて
    新川 匠郎
    2018 年34 巻1 号 p. 146-160
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は欧州議会の選挙制度改革をテーマとする。従来の研究では,欧州議会の選挙制度改革へ多くの関心が向けられてこなかった。また欧州議会研究には,①「いかに」の問いに対して取り組むこと,②「なぜ」の問いへ取り組むこと,という方針の間で方法論的ギャップがあった。こうした点と連動して,欧州議会の選挙制度改革を理論的に考察する試みは積極的に行われてこなかった。以上を踏まえて本論は,国毎に異なっていた欧州議会の選挙制度が比例代表の選挙制度で統一規定された経緯について,選挙制度改革の理論枠組みを援用しながら考察する。そこでは欧州議会のユニークな条件が媒介変数として影響を及ぼしていたことを否定しない。だが条件配列を分析した結果,欧州議会に存在した欧州政党の改革に向けた行動を促す制度的,構造的条件の組み合わせ(経路)とは,コンセンサス型政治での選挙制度改革に関する理論的な示唆を有することも提起する。
  • オーストラリアの上院選挙制度改革とその結果
    杉田 弘也
    2018 年34 巻1 号 p. 161-175
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年3月,オーストラリアでは32年ぶりに上院の投票方法が変更された。拘束名簿方式か非拘束名簿方式かの選択は変わらないが,前者では政党間の優先順位を有権者が決められるようになり後者は簡略化された。その後ターンブル首相は,7月2日に29年ぶりの両院解散選挙を行い僅差で再選された。選挙法改正や両院解散に至る議会での議論の検証や選挙結果の分析から判断すると,優先順位の選択を政党から有権者に戻すという改正の目的は達成され,事前に挙げられた無効票の増大,死票の大量発生,当選に必要なクォータを大きく下回る得票での当選といった懸念は杞憂に終わった。公正な選挙制度という面から上院の選挙制度改正は正しいことであったが,不必要な両院解散を行ったことで半数改選であれば1議席を得られたかどうかという極右ポピュリスト政党が4議席を獲得し,ターンブル政権は今後の議会運営に大きな問題を抱えることになった。
  • 2018 年34 巻1 号 p. 177-197
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/07/16
    ジャーナル オープンアクセス
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