選挙研究
Online ISSN : 1884-0353
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15 巻
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  • 川人 貞史
    2000 年 15 巻 p. 5-16,186
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は,従来の中選挙区制研究と対比して,中選挙区制を単記非移譲式投票制(SNTV)と捉える最近のアプローチ(SNTV研究)を点検する。前者は,大中小の選挙区制分類を前提に,中選挙区制の特質および付随する諸制度を研究対象としており,政党を従属変数として扱い,選挙制度が政党組織の脆弱性,派閥や後援会の発達などをもたらすことなどを分析している。これに対して,SNTV研究は,選挙制度を自己利益を追求する政党や政治家たちを制約するゲームのルールとして捉える新制度論のアプローチを取る。研究者たちは,SNTVが同一定数におけるドント式比例代表制よりも複数候補を擁立する大政党にとって不利となることから,逆に,自民党の戦略的成功が不利をはねかえして長期一党支配をもたらしたと結論づける。そして,派閥や後援会,政調部会への議員の所属などが,自民党の弱さではなくて,逆に成功の鍵だと論じている。本稿は,2つのアプローチの特性を検討し,それらがどのように日本の選挙研究に貢献したかを示す。
  • リード スティーブン•R
    2000 年 15 巻 p. 17-29,186
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    均衡状態というのは入りやすく,出にくい状態であるから,動態的な分析が最も適切と思われる。本論では,物理学のカオス理論で使われているリターン•マップを利用して,二つの均衡状態を分析する。一つは,筆者が提示した「M+1」法則で、有力候補者数が定数より一人だけ多い状態である。M+1の均衡状態がはっきりと出ているし,3人区により強く出て,定数が多くなるにつれて,均衡状態が弱くなる傾向を発見したのである。
    もう一つの均衡状態は,議席で計算した有力政党数と得票率で計算した有力政党数が一致する状態である。それは,論理的に整合的であるにもかかわらず,実証的な分析からは余りはっきりとは現れない。
  • 鈴木 基史
    2000 年 15 巻 p. 30-41,186
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は制度論的な投票行動仮説を提示する。具体的には,選挙制度が政党のとる政策ポジションに影響を与え,そのポジショニング戦略が投票行動における争点と特性の相対的重要性および投票行動モデルの経験的妥当性を規定するという仮説を提示する。たとえば,相対的多数制(小選挙区制)は,諸政党の政策ポジションに中位収斂化圧力を与え,大きな選挙区規模と低い議席獲得のための最低得票率を設定した比例代表制は,そうした圧力をかけない。そのため,前者による選挙では,争点が希薄化し,投票行動は特性志向にならざるをえないが,後者による選挙では,争点は明瞭化し,争点志向の投票が促進される。本稿では,新選挙制度で行われた1996年衆議院総選挙のサーベイ•データを用いて仮説検証を行う。計量分析では,理想点モデルと特性モデルが掲げる投票決定因を兼ね備えた統合モデルを利用して,比例区と小選挙区の評価関数を同時に推定し,争点と特性の重要性を検討する。
  • 河野 勝, フォルニエ パトリック
    2000 年 15 巻 p. 42-55,187
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    日本の中選挙区制とそのもとでの有権者の戦略的投票について,リードとコックスは,ともにデュベルジェの法則の一般化としての「M+1の法則」の存在を主張し,M人区においてM+1人の候補者による競争が繰り広げられたことを実証した。本稿は,この二人の研究成果の整合性を確認した上で,これらの先行研究が十分に取り扱わなかった,政党の重要性に焦点を合わせる。多党制のもとで選挙が行われる場合,政党のラベルは有権者の戦略的行動に影響を与えると考えられる。すなわち,有権者は既成政党からの公認や推薦を受けていない候補を見捨てるという傾向があり,政党ラベルは戦略的投票を促進する。他方,政党のラベルがあるがために有権者が弱小候補ではないと判断する候補者が作り出されること,あるいは有権者がイデオロギー的に無差別に当選確率の高い候補者に投票しないことにより,政党ラベルには戦略的投票を拘束する効果もある。
  • 岡田 信弘
    2000 年 15 巻 p. 65-72,187
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿では,戦後憲法学における選挙研究のありようを,「原点」,「転換点」,そして「現点」を示す代表的な文献を読み解きながら検討することとしたい。その特徴を簡単にまとめるならば,次のようになろう。まず,対象とその取り上げ方について,共通の枠組みが存在していることを指摘することができる。第一に,普通選挙の原則の実現に関わるもの,第二に,選挙運動の自由の確保に関わるもの,そして第三に,選挙の方法あるいは代表方法に関わるものという柱立てである。次に,方法ないし論じ方であるが,「規範の学」としての憲法学の手法が基本的には用いられることになる。つまり,法令によって定められた具体的な選挙制度は選挙に関する憲法上の諸原則から見てどのように評価されるべきか,という問題設定の下に考察がなされているといえよう。
  • 今村 浩
    2000 年 15 巻 p. 73-79,187
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    選挙と政党の接点は,政党組織の選挙活動,選挙制度と政党制,選挙民の投票行動規定要因としての政党等,種々存在する。しかし,我が国の選挙研究者の関心は,圧倒的に選挙民の意識の中の政党に向けられてきたように思われる。一般に,我が国の政党は,組織類型としては,大衆党員を欠く議員政党に分類され,半ば自動的に選挙運動を担い得ないものとされてきた。しかし,大衆党員組織を欠く点では同様のアメリカ政党が,1970年代から80年代にかけて,党組織を再建し,選挙に大きな役割を果たすようになっている。少数の専門的スタッフから成る党組織が,選挙運動に決定的な役割を果たし得る実例であるとすれば,我が国の政党も,相応の機能を果たし得ることになり,選挙研究の一環としての政党組織研究が望まれよう。
  • 田中 愛治
    2000 年 15 巻 p. 80-95,188
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    選挙研究におけるパラダイムの転換は,科学におけるパラダイムの転換ほど根本的な宇宙観の転換ではないが,トーマス•クーンが指摘しているような特徴が,選挙研究におけるパラダイム転換にも当てはまるのではないか。選挙研究では伝統的な政治学から行動科学主義へ,そして合理的選択論へとパラダイムは変遷しているが,このようなパラダイムの転換が必ずしも選挙研究が真理へ向かって進歩しているとは限らないのではないだろうか。真理というものが,異なるパラダイムからは異なった形に見えるならば,パラダイムの転換は視点の転換であり,そのような異なった視点やパラダイム間における相互作用が,互いに補完して我々を新たな方向へと導くのであろう。特に,経験的な帰納法による行動科学的アプローチと演繹的な合理的選択論のアプローチとは,相互に排除するものではなく,相互に補完的なはずである。
  • 三宅 一郎
    2000 年 15 巻 p. 96-108,188
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は政策評価尺度のうち「政策満足度」を取り上げ,その性格を「政策距離尺度」との対比において分析した。政策意見と政党選択を結びつける認知過程には,少なくとも,政党との政策距離とその政党の政策実現能力の認知は必要である。政策距離尺度は政策実現能力の認知を含んでいない。政策満足度はこの二つの要因を多かれ少なかれカバーして,ミッシング•リンクを埋める役割を果たしている。従って,政策満足度は政策距離尺度に比べ投票決定をより多く説明できる。最後に,政策満足度は一般的な政治満足度から見ると,その特殊型であるから,政府(政党)実績評価を表す変数としても扱うことができる。政治満足度と内閣期待度を従属変数とする回帰モデルに投入した場合でも「政策満足度」は有意な効果を示している。
  • 池田 謙一
    2000 年 15 巻 p. 109-121,188
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本論文は社会心理学的な二つの投票行動モデルに基づき,1998年の参院選比例区での投票行動に対して,96年の政党スキーマ,98年の政治•経済の状況に対する「ソシオトロピック」な判断•内閣業績評価が及ぼす効果を検討したものである。用いたデータは1996-98年のJEDS全国パネル調査であり,分析の結果は仮説に支持的であった。
    ここでは,業績評価が社会心理学的な視点から持つ意味,また業績評価や投票行動の規定要因としてのソシオトロピックな判断の持つ意味を検討し,これらを踏まえて分析が行われ,業績評価が投票行動に効果を持つことが明瞭に示された。一方,ソシオトロピックな判断は内閣の業績評価に対しては米国と同様の効果を示したものの,投票行動に対しては異なる効果を持っていた。これらの結果は,個人の経済状況認知の持つ自己利害的な効果と関連させて考察された。
  • 栗田 宣義
    2000 年 15 巻 p. 122-138,188
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    「教育水準」「被雇用者」「消費財保有」「資産保有」といった4系統の社会経済カテゴリーの通時的変動をみると,1955年から1995年にかけての40年間における日本社会の変動は,(1)高学歴化,(2)被雇用者化,(3)消費財普及,(4)資産格差の持続,といった4点に要約できるが,この社会経済変動と社共支持率低落を関連づけ,インテリ左翼溶解仮説,労働者左翼溶解仮説,脱物質仮説,資産格差仮説からなる左翼主義逓減の説明モデルを提示する。SSMデータを用いた5時点のロジスティック回帰分析によれば,労働者左翼溶解仮説を除いては,ほぼ仮説の確認がなされた。かつて,1955年時点では,高学歴層,被雇用者層,消費財を持たない層,資産を持たない層が左翼主義であった。日本社会の変貌は左翼主義への支持を溶解,矮小化させ,40年後の1995年時点には,被雇用者層,資産を持たない層のみが左翼主義である構造にとって代わられたのである。社民党が左翼大衆政党としての歴史的使命を終えた構造的背景がここにある。
  • 鬼塚 尚子
    2000 年 15 巻 p. 139-151,189
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    本稿は,自発的市民から成る運動組織においても個人の合理性と集団利益の達成との間の乖離から生じる「公共財問題」が内在する可能性を指摘し,市民参加の課題を提起するものである。市民団体とそこから派生した地方政党によって行われている選挙活動を分析対象とし,実験社会心理学的アプローチを交えて調査を行った結果,僅かながらも戦略的な非協力者(=フリーライダー)が存在することが明らかとなった。フリーライダーと単純(非戦略的)非協力者間においては政治関心の高低が,またフリーライダーと協力者間にはコスト認知の高低が質的差異として顕れた。現状ではこの市民組織が多くの献身的な成員によって支えられていることが確認されたが,それら成員が比較的短期間で新旧交替することを考慮すれば,市民組織はその維持のために常に新しい成員を取り込む必要があることも示唆された。今後は成員の追跡的調査の実施,分析手法の問題点克服が課題となろう。
  • 小南 浩一
    2000 年 15 巻 p. 152-160,189
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1930年代後半の日本における選挙粛正運動は,単なる選挙腐敗の防止を目指す官製の啓蒙運動ではなく,内務省や軍部が主導する政党排撃を意図した一大国民運動であった。そのねらいは非常時に即応した,政党内閣にかわる新たな政治体制の構築にあったが,新しい受け皿を提示し得なかったために貫徹できなかった。だからこそ,更なる非常時に即応する翼賛議会構築のための翼賛選挙が準備されたのである。以下,次の点が明らかとなった。(1)粛選で政党の地盤は崩壊したとは言えず,地盤を有権者と政党の固定的な関係とするならば,そのような地盤は存在しなかった。(2)棄権率の増大は1票の有効性を保障する議会政治•政党政治に対する軽視ないし否認と,その一方で選挙の神聖さ及び棄権の防止を説く粛選の自己矛盾による。(3)選挙の神聖さを強調するために神社参拝や国旗掲揚が強要され,国民統合的な運動の色彩が濃厚となった。
  • 西平 重喜, 大谷 博愛
    2000 年 15 巻 p. 161-166
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 15 巻 p. 168-174
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
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