核融合研究は,世界の主要トカマク装置でD-T核燃焼実験が実施あるいは計画される段階まで進展し,科学的実証をほぼ達成するところにきている。しかし,D-T核融合が魅力的なエネルギー源となるためには,中性子照射損傷に耐え誘導放射能の少ない材料の開発が不可欠である。これらの14MeV中性子に起因する技術的問題を回避する方途の一つとして,中性子発生量の少ないD-D, D-
3He, p-
11B等の反応を利用する,いわゆるアドバンスト燃料核融合が検討されてきた。最近では,月面上に3Heが豊富に存在することが確認され,世界的に注目される中で,アドバンスト燃料核融合,特にD-3He核融合の研究が加速されており,今後重要な研究テーマとなっていくと考えられる。
本「特集」では,アドバンスト燃料核融合の可能性,核エネルギーシステムとしての特質および応用に関する広範囲の研究について,その最新の成果を含めて,専門家の方々に解説していただく。
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