本特集は, 財団法人原子力発電技術機構 (NUPEC) が国のプロジェクトとして1986年度より2001年度までの16年問にわたって行ってきた高燃焼度燃料の照射確証試験が終了したのを期して, 照射ふるまいを中心に, 高燃焼度化の経緯, 現状, 課題について整理・検討した結果を解説的に述べたものである。本プロジェクトでは, 製造データの採取から始まり原子炉での長期間照射を経て低燃焼度から高燃焼度に至る各段階で取り出した燃焼済み燃料の破壊および非破壊試験を行い, 試験炉での過渡時を模擬した出力急昇試験も含め, 燃料の照射ふるまいに係る幅広く詳細なデータベースを整備・蓄積してきた。このような大規模かつ系統的に行われた試験は世界的にも例がなく, 今後の高燃焼度燃料の安全性, 信頼性を評価する際の基礎となる貴重な成果を得ることができた。その中から燃料以外の専門の方にも興味を持っていただけると考える点に絞って, 高燃焼度燃料の照射ふるまいの世界を紹介する。
「原子力教育・研究」特別専門委員会では, 技術者の継続教育 (CPD) ワーキンググループを設置して活発な検討が行ってきた。大学の工学教育についても, 日本技術者教育認定機構 (JABEE) の運営に協力している。本稿では, 技術士 (原子力・放射線部門) の新設と今後の展開, 技術者継続教育への取組み, JABEEに関する活動について報告する。
文部科学省「21世紀COEプログラム」に, 原子核工学関係から東京工業大学「世界の持続的発展を支える革新的原子炉」と, 学際・複合・新領域分野から名古屋大学「同位体が拓く未来」が選ばれた。21世紀社会に受け入れられる原子力利用の構想を追及するプログラムと, 「同位体」を切り口として21世紀の重要課題を理解し, 解決の糸口を与えようとするプログラムとが採択されたことは, 原子力の重要性と, 従来からの原子力関係者の地道な努力とが評価されたとも考えることができる。
2005年に予定されているICRPの新勧告の中に「自然バックグラウンドの世界平均値2.4mSv/年の数倍程度までの線量の電離放射線をたまたま被曝したことは全く心配するには当たらないことが周知されるべきである。」という意味のことを公衆にわかり易く明記してほしいとの要望である