地球規模での水不足問題は, 21世紀において人類社会が直面する重要な課題の一つになりつつある現状では, 海水淡水化は世界的な飲料水や農業用水不足問題の解決策になり得ることが期待される。淡水化にはエネルギーが必要であるが, 将来の地球温暖化対策からも, 炭酸ガスを放出しない原子力エネルギーの利用が有効であると考えられるので, 本特集では, 原子力エネルギー利用による海水淡水化技術の現状と課題を論じる。原子力による海水の淡水化について, 1990年代から検討を続けている国際原子力機関 (IAEA) の最近の活動報告と, 日本学術会議第17期海水研究連絡委員会の下に設置された海水淡水化小委員会 (小委員長 : 東京大学・山脇道夫, 活動期間1999年4月~2000年9月) の成果報告書の概略をまとめたものである。
中国は猛烈に経済成長しており, このままでは膨大なエネルギー消費国になり, 世界の化石燃料を使い果たし, 環境問題を深刻化させ, エネルギー海外依存の高いわが国にも大きな影響を与える。そのため中国もわが国と同様に原子力が必須で, 核燃料のリサイクル政策を採っている。
2005年には, 中国は原子力発電11基870万kWの原発中進国になる。両国原子力産業は今後, 厳しい競争下で電力自由化を迎え, また, 対外輸出を目指そうとしている。わが国の途上国支援的対中原子力協力は相互補完的, 相互利益追求型協力に変える必要がある。