エネルギー基本法, 基本計画, そして需給見通しというここ2年の政府の一連のエネルギー基本政策に関する作業について, 原子力を中心に解説する。基本計画では, エネルギーの安全の確保をまずかかげ, 安定供給と環境適合との面で優れた特性を持つ原子力発電を「基幹電源として推進すべき」ことを明確にしている。なお, 核燃料サイクルについても同様に推進の姿勢をとっているが, その論拠の詳細は残念ながら基本計画に記されていない。コスト分担等の方針は明示せず, 今後の審議に任せる形になっている。
次期核融合実験炉では, 燃料としてトリチウムおよび重水素を使用することが予定されている。プラズマ対向壁に炭素材を使用した場合, これらの水素同位体の多くはプラズマ対向壁に残留すると予想されており, この水素同位体残留量の定量評価および残留過程を明らかにすることが重要課題となっている。本研究では, 臨界プラズマ試験装置JT-60Uのプラズマ対向壁 (炭素材) の損耗/再堆積分布を評価し, DD反応で生成されたトリチウム残留分布測定結果と比較することによって, 再堆積層の厚さ分布とトリチウム分布とには相関がないことを示した。また, トリチウム残留分布とDD反応で生成される高エネルギートリトンの軌道損失計算結果との比較から, JT-60でのトリチウム残留過程を明らかにした。