日本原子力学会誌
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47 巻, 1 号
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巻頭言
Nuclear News
解説
  • 水素エネルギー関連材料 水素エネルギー社会の実現に向けて
    波多野 雄治, 井上 光浩, 阿部 孝之, 中森 裕子, 折茂 慎一, 長崎 正雅
    2005 年 47 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2005年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

     水素は, 環境汚染物質を排出しない理想的な燃料として, その利用技術の開発研究が世界的に, かつ急ピッチで進められており, 「水素エネルギー社会」という言葉も頻繁に耳にするようになった。「水素エネルギー社会」において原子力をどう位置づけるかは, エネルギー供給における原子力の役割を考える上で重要な問題である。すでに2001年および2002年の日本原子力学会「春の年会」において「総合報告」の形で重要な研究発表と活発な討論がなされているが, 水素エネルギー分野の技術開発は日進月歩で進んでおり, さまざまな場所で継続的に議論する必要がある。

     水素の燃料としての最大の難点は, 周知のように, 利用可能な状態 (すなわちH2の状態) では天然にほとんど存在せず, 天然ガスや石油, メタノール, 水などの原料から製造しなければならないということである。水素エネルギーシステムの燃料資源量や環境汚染物質排出量は, どの原料から, どのような手段で水素を製造するかによってほぼ決まる。化石燃料から水素を製造する場合には, 当然のことながら循環型エネルギーシステムとはなりえずCO2発生の問題も残る。しかし, 一方では, 原料の輸送・貯蔵・供給に関わる現有のインフラが活用できるという大きなメリットもある。メタノールを使う場合には, バイオマスなどでCO2からメタノールを再生する技術が確立すれば循環型システムを構築することが可能だが, 供給量の確保などの課題がある。水から水素を製造する場合には原子力のような他のエネルギー源が必要となり, 水素エネルギーシステムの燃料資源量や環境汚染物質排出量は1次エネルギー供給手段のそれらによって決定されることになる。原子力の国民的信頼性がさらに高まり, 水素製造に必要な1次エネルギー源として認知されれば, エネルギー供給における原子力の重要性は著しく増大することになる。

     一方, 原子力関連の開発研究, 特に核融合に関わるものは, 水素エネルギー関連の開発研究と共通の学問的・技術的基盤に立脚しているものが多い。例えば, トリチウムの貯蔵に用いる合金と水素貯蔵合金とに求められる性質は本質的には同じであり, 水素同位体の吸蔵量や放出温度などの“仕様”が異なっているにすぎない。また, 海水やトリチウム廃液から重水素やトリチウムを回収する技術は, 水から水素を製造する技術として応用できるし, その逆もしかりである。すなわち, 水素エネルギー分野は原子力分野で得られた研究成果を輸出する市場として極めて魅力的であり, また, 水素エネルギー分野での技術開発の成果を導入することにより, 原子力分野を発展させることもできるわけである。

     以上のような観点から, 「原子力関連材料と水素」というシリーズの中にあえて本解説を加え, 水素エネルギー社会の実現に向けて進められている研究の一端を紹介させていただくこととした。本稿が原子力と水素エネルギーの関わりについてお考えいただくきっかけとなれば幸いである。水素エネルギーシステムは, 水素の製造・輸送・貯蔵・供給・エネルギー変換という多くの部分から構成され, 関連する材料も非常に多岐にわたっているため, 限られた著者らの知識と誌面でそれを網羅することは不可能である。本稿では, 水素の製造に関わる水素透過膜材料, 高容量水素貯蔵材料として, 注目を集めているリチウム系水素貯蔵材料エネルギー変換に直接関わる触媒材料に話を限定することをお許しいただきたい。

講演
  • 笹原 修
    2005 年 47 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2005年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

     航空機の検査基準は, システムの故障あるいは構造の損傷が安全に与える影響度を網羅的に評価し, その結果に基づいたカテゴリーごとに適切に設定する。また, 実際の運用の経験に応じ, この検査基準を補正していくようになっている。その際, 監督官庁, 航空機メーカー, 航空会社のそれぞれの責任が明確になっており, お互いが協力して一連の継続的な活動をとることで安全が確保されている。

     航空機の整備では, 整備の基準を設定する機能と, その基準に従って整備を実施する機能があり, それぞれ責任範囲が明確になっており, それぞれが国の安全規制を受けながら, きちんと役割分担を保つことで安全が保たれている。

     また近年, 拡大していく委託に関して, 委託元は, 委託先管理の責任を強く求められており, 委託元による監査, 連絡会を通じた情報交換などを実施している。

     整備は大半の作業を人手で行うため, 現場の整備士だけではなく, 整備の計画や技術基準を作成する間接部門も含め, 整備に従事する者, すべての人間の意識が極めて重要である。

  • 柴田 俊夫
    2005 年 47 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2005年
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

     美浜原子力発電所の2次系炭素鋼配管の破損事故の主因である高温水中の炭素鋼腐食に関連して, エロージョン・コロージョン現象および炭素鋼の高温水中腐食機構について概説し, PWRおよびBWRの炭素鋼配管の腐食損耗速度を化学工業分野での損傷事故例と比較した。

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