日本原子力学会誌
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48 巻, 10 号
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巻頭言
Nuclear News
解説
  • 玉ノ井 宏一, 岡野 憲太
    2006 年 48 巻 10 号 p. 746-752
    発行日: 2006年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

     原子力発電の推進にあたり, 発電に伴う放射性廃棄物の処分をどのように進めるかは重要な問題である。近年, 経済発展のめざましい中国では, 急増するエネルギー需要に対応するために電力設備の増強の一環として, 環境にもやさしい原子力発電所の建設計画が相次いで浮上している。一方, すでに世界第6位の原子力発電設備容量を持つ韓国では, 今後十数年の電力需要の伸び率は大幅に鈍ると予想しているが, それでも電源開発投資の約半分が原子力発電所の建設に充てられると予測されており, 原子力発電推進の方針は継続される見通しである。

     本稿では, このように原子力開発を活発に進めている中国, 韓国での放射性廃棄物処分に関する考え方, 現在の状況, 今後の方針などについて紹介する。

  • コミュニケーションの視点からみた推進, 反対派とメディアのふるまい
    佐田 務
    2006 年 48 巻 10 号 p. 753-758
    発行日: 2006年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

     原子力発電の是非をめぐる問題が争点となった場合, 推進, 反対両派やマスメディアは一般の国民に対してさまざまな主張や介入を行う。推進派のそれはPAと呼ばれており, 立地点においては安全性をめぐる説得と経済誘導とが主となっている。また反対派は, 推進側の能力や公正さに疑問を投げかける示威をとることが多い。さらにマスメディアは, 紙面や放映時間が限られているために, 原発については非日常的な事故やトラブルだけを報道しがちである。しかし一般の人々が本当に知りたがっているのは, 原発に関わるいい面も悪い面も含めた全貌を指し示すことに十分な努力と誠意とが払われた情報にほかならない。本稿では, 推進, 反対両派とマスメディア, 一般の国民の4者がおりなす相互過程を, コミュニケーションの視点から分析する。

  • 天野 治
    2006 年 48 巻 10 号 p. 759-765
    発行日: 2006年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

     石油は1次エネルギーの40%を占め, われわれの生活を豊かなものにしている。ところが, われわれ人類は, 石油をこの50年で半分使いつつある。それも取り出しやすい, 経済的なものから使っている。残っているものは, 取り出すためにエネルギーがかかるものである。得られるエネルギーを取り出すためのエネルギーで除したものがEPR (energy profit ratio, エネルギー収支比) である。EPR=1はエネルギーを得るのと, 取り出すためのエネルギーが同じことを意味する。これは, 益がない。取り出すためのエネルギーとして, そのためにかかるすべての項目を可能な限り算定する。燃料の採掘, 輸送, 発電所の建設, 運転, 補修, 廃炉, 廃棄物処理・処分までを含む。EPRが高いことは, 石油の代替として有力な候補となる。

     ウラン濃縮に遠心分離法を用いた原子力発電はEPRが高い。従来のガス拡散法はウラン濃縮に莫大なエネルギーが必要となり, 人力エネルギーを大幅に増加させるため, EPRは低くなる。EPRを高めるには, 出力エネルギーを増加させることも有効な方法である。具体的には, 稼働率を向上させること, 定格出力を上げることである。

     風力発電や太陽光発電のEPRは高くはない。これは, 風の強さ, すなわち出力エネルギーが定格の60%以下と低いことと稼働率が低いことによる (風力は風が吹いている間, 太陽光は日中のみ)。LNGは気体であり, 輸送のために液化するエネルギーを費やすので, 石油火力や石炭に比べてEPRは低い。

  • 佐藤 一憲
    2006 年 48 巻 10 号 p. 766-772
    発行日: 2006年
    公開日: 2019/04/05
    ジャーナル フリー

     国際共同によるCABRI炉内試験プログラム (フランス, ドイツ, 日本等の研究機関が参加) では, 1970年代から約30年にわたり高速炉の安全性にかかわる試験研究を実施してきた。この研究では, 仮想的炉心崩壊事故時の挙動解明を始め, 将来的な高速炉燃料の設計高度化の基礎となるデータなど, 本施設の特長を生かした多くの貴重な知見が得られた。これらの知見により, 高速炉安全研究は大きな進展を遂げ, 実用化に向けた合理的な安全評価手法整備が進められた。そしてCABRI試験施設は今, 高速炉の安全研究に区切りを付け, 軽水炉分野の安全研究へとその役割を変えている。これまでのCABRI試験研究からの主要な知見について報告する。

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