平成18年に総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会報告書「原子力立国計画」が発表され,我が国の原子力開発利用の進むべき方向性が示された。現行原子力法制が「立国計画」の着実な推進の阻害要因となっている面はないか,阻害要因を克服するには何が必要か,等について,幅広い立場から検討・議論することが必要になっている。本稿では,原子力法制のうち,我が国の原子力研究開発利用法制の柱となる原子炉等規制法を取り上げ,「原子力立国計画」の着実な推進,近年の原子力開発利用を取り巻く情勢の変化への対応等といった点から現行法の抱える問題点を紹介し,同法のあり方に関する問題提起を行った。
本解説記事は,日本原子力学会「2007年秋の大会」社会・環境部会チェインディスカッション(標準委員会共催)「原子力の法制度はどうあるべきか」における講演内容を講演者(田邉)と座長(下山)が加筆・修正したものである。なお,本稿における見解は筆者個人のものであり,筆者が所属するいかなる団体や産業,また参加する研究会等の公式見解を示すものではない。
抄録全体を表示