原子力や火力などの発電プラントでは,配管の内面の腐食・壊食によって肉厚が薄くなる「減肉」と呼ばれる現象が生じる。そしてその減肉が過度に進行した場合は,配管破損事故などにもつながることがあるため,プラントの健全性を保つためには,配管の保守管理が非常に重要となる。電力中央研究所では,こうした配管減肉の発生メカニズム解明とその予測手法の確立に取組むことで,配管減肉を起因とする事故の未然防止に寄与するのはもちろんのこと,それらの検査を適正化し,重点的かつ効率的な保守管理ができることを目指している。
国際熱核融合実験炉(ITER)の建設がフランスで開始され,これにあわせて,材料照射実験を行うための国際核融合炉材料照射試験装置(IFMIF)の設計が本格化する。これらの活動を支える核融合炉用核データの重要性がいま高まっており,国際原子力機関(IAEA)では核融合炉用評価核データライブラリーの新版であるFENDL-3の評価プロジェクトがスタートした。核融合施設の設計を支える核データとはどういうものか,その役割と現状,今後の課題などについて最新の結果を交えながら紹介する。
原子力施設の安全性を確保し,国民・地域住民の信頼を獲得するためには,人的・組織的要因への対策など,いわゆるソフト面の対策が重要である。このため,これらソフト面の課題とその解決のために必要な知見・研究テーマを整理した「技術マップ」を構築し,その上で,各研究テーマについて「近年どのような研究成果があり,誰に聞けばいいのか」がわかるよう,関連する研究と研究者・研究機関をまとめた「人材マップ」を作成した。
男女共同参画委員会では,原子力学会「2009年春の年会」の企画セッションとして「企業における女性のキャリアの磨き方」というタイトルで,㈱東芝の土井美和子さんをお招きし講演会を開催した。講演の中で土井さんは,3つの壁((1) 前例がない,(2) 余裕がない,(3) 自分を閉じ込める)をいかに乗り越えてきたかということを紹介した。その後,会場の参加者から,これらはまさに私達が今感じている壁であることが例とともに挙げられ,この壁を乗り越えるための意見交換が活発に行われた。そして,会合では多くの参加者の共通認識が得られ,原子力分野の技術者研究者のダイバシティ連携への第一歩となった。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら