軽水炉プラントでは,水は中性子減速材であると同時に,燃料からのエネルギーをタービンに輸送し,発電する基幹構成材である。プラントあたりの使用量も,1,000トンに達するほど膨大である。高温高圧の水で燃料を効果的に冷却し,一方で,ボイド反応度などで,原子炉の安全性にもかかわるが,燃料被覆材,構造材との相互作用の結果,腐食に伴う様々な派生効果を生じ,しばしばプラントの信頼性にかかわる問題の要因となることは周知の通りである。本連載講座では,軽水炉プラントにおける水の位置づけおよび役割をレビューするとともに,水の基礎物性,材料との相互作用の基礎事項,そしてプラントにおける諸課題を10回のシリーズで紹介する。第1回では,まず,原子力発電プラントにおける水の役割と水化学制御の概要について紹介する。
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