欧州(EU)でも,エネルギー・電力について,気候変動とエネルギー・セキュリティが現在,最も重要な政策課題であり,その対応策として省エネルギー,再生可能エネルギーや原子力開発が重要な施策であることは日米と変わらない。しかし,気候変動ではEUは日米に先行して施策の法制化を進めてきた。12月にコペンハーゲンで15回目の国連気候変動枠組条約締結国会議(COP 15)が開催された2009年には,EUは4月に温室効果ガス削減中期目標(2020年に90年比で20%減)に加えて,再生可能エネルギーや省エネルギーの開発目標も法律で制定するなど,気候変動で世界をリードする意気込みを見せた。
原子力開発は,チェルノブイリ事故の影響で反原子力・脱原子力政策を取る加盟国が存在することから,EUとして開発目標を設定したり,開発の積極推進を謳うことはしていない。しかし,各国ベースでは,CO2削減には原子力が不可欠との認識が進み,脱原子力を見直したり,新規建設に着手・計画する加盟国も増加している。以下,EUのエネルギー政策と原子力開発を概観する。
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