近年,原子力発電所や航空機の安全性の評価手法として,確率論的安全評価(PSA : Probabilistic Safety Assessment,または確率論的リスク評価(PRA : Probabilistic Risk Assessment)ともいう)が活用され,従来の安全管理,保全方法に定量評価を適切に加味することで効果的・効率的な運用が行われている。電力中央研究所では国内でのリスク情報の活用に向けて,データベース開発,パラメータ推定手法の検討を通して,日本原子力学会や日本原子力技術協会への技術支援等に取り組んでいる。その概要について紹介する。
原子力発電部会は平成21年9月17日,東北大学で開催された秋の大会にて,企画セッション「原子力発電所の新しい保全への取り組み」を設け,新検査制度の概要と事業者の取組みについて議論した。 国は平成21年1月1日に新しい検査制度を施行し,事業者に対し,①保全計画の事前届出,②保全活動の評価・改善の繰返し,③適用可能な新技術の運転中検査への適用等を義務付けた。定期検査間隔については,従来の一律13ヶ月からプラントごとに延長して設定することが可能とする制度変更を行った。また,安全実績指標評価(PI 評価)や安全重要度評価(SDP 評価)を活用したプラント総合評価の実施が導入された。このプラント総合評価の本格運用は平成22年度からの予定である。事業者は新検査制度に対応するべく設備保全に係る技術評価を進めるとともに,状態監視技術の高度化など新たな設備診断技術の導入を目指している。 本稿では,新検査制度の概要とその目指すところおよび事業者の具体的な取組みについての会場での講演内容を簡潔にまとめ,質疑の内容を含めて疑問点をわかりやすく解説した。
フィンランド,フランスに続いて,他の西欧諸国においても,原子力新規建設の動きが出てきた。なかでも有望と見られているのが英国である。同国では電力自由化で原子力開発がストップしていたが,現在,原子力発電会社BE社を買収したフランスEDFなどが建設計画を進めている。以下,本稿では英国について新規建設の動きを中心に紹介する。
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