原子力が長期にわたって安定電源としての役割を果たすためには,FBRサイクルの実現が不可欠である。しかし,長期の研究開発が必要なため,将来の世界の変動を十分に考慮し,柔軟性に優れた技術の選定が重要である。本稿では,米国やインド,中国,韓国などで,FBRサイクルの実用化候補技術とされている乾式リサイクル技術と金属燃料FBRにつき,世界における開発状況を俯瞰するとともに,電力中央研究所の研究開発を紹介する。
現代の地球科学における重要なキーワードは地球内部の水循環である。水を含んだ海洋地殻が大陸地殻の下にもぐりこんでいくときに,水は絞りだされて循環する。熱水現象も,地殻内微生物の存在も,また地震発生のメカニズムも地殻内水循環が重要な役割を果たしている。今回は私たちの生活に極めて身近な存在である微生物の利用と生物の進化,そして海溝型の巨大地震の研究と防災について考える。
原子力が社会と共生していくためには,優れた技術力・開発力のみならず,社会からの信頼も重要である。社会から信頼を得るためには,知性と感性を兼ね備えた原子力専門家が社会との双方向コミュニケーションを推進することが重要である。本稿では,主に文献調査から得られた知見および社会とのコミュニケーションを実践し,信頼の構築を目指す原子力専門家に必要とされるスキル,特に非言語コミュニケーションの重要性を確認するために行った試行調査の結果について紹介する。
2009年秋の保守連立政権の誕生で,ドイツも脱原子力政策の見直しに向かって動き出したが,これまで紹介してきたフランス,フィンランドなどの国々とは異なり,原子力の新規建設は依然として難しい状況にある。以下,ドイツでの最近の動向を紹介する。
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