日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
53 巻, 12 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
巻頭言
時論
連載
解説
  • 汚染状況の測定と簡易除染法の検討
    中里 一久, 北 実, 松田 尚樹
    2011 年 53 巻 12 号 p. 809-812
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     福島第一原発の事故により,環境に放出された放射性物質に起因した衣服への汚染状況を解析した。また,衣服の汚染の市販洗濯機による除染の効果を調べた。その結果,事故原発周辺では事故直後には衣服に核分裂物質による汚染が検出された。しかし,3ヶ月経過すると,衣服には,通常の放射線測定器では検出が困難な極めて微量の汚染しか検出されなかった。衣服の汚染は,市販の装置および洗剤による一般的な洗濯により,約9割除染されることがわかった。

  • 廃棄物に含まれる放射性物質の数量と関係法令
    二ツ川 章二
    2011 年 53 巻 12 号 p. 813-816
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     福島第一原発事故により計画外の放射性物質が大量に環境に放出され,放射性物質によって汚染された廃棄物が発生した。このような事態に対処するため,8月26日「がれき処理特別措置法」が成立し,放射性物質に汚染されたがれきや土壌の処理の道が開かれた。しかし,処理・処分の具体的方法はいまだ明らかではない。廃棄物対策は時々刻々と進行しており,今後,復旧に向けた合理的で実現性のある方法が示されるものと思われる。現時点における,福島第一原発事故による放射性物質により汚染した廃棄物と関係法令における関係について解説する。

  • 日本放射線安全管理学会が汚染除去をテーマに研究報告
    柴 和弘
    2011 年 53 巻 12 号 p. 817-820
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     福島第一原発事故により,放出された大量の放射性物質で汚染した野菜を洗浄により,放射能除去率を高める工夫が検討された。その結果,水洗浄や手洗い洗浄,煮沸洗浄等による物理的工夫ではあまり差は見られず,放射能除去率は131Iで37±9%,137Csで62±7%であった。特に,131Iは放射能除去率が低く,ばらつきも大きかった。そこで,亜硫酸ナトリウム系の還元剤を使い,131Iを水に溶けやすいヨウ素イオン(I)にすることにより,131Iの放射能除去率が約80%まで高くなった。

  • 放射線情報の把握と活用に関連して
    占部 逸正
    2011 年 53 巻 12 号 p. 821-825
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     福島第一原子力発電所事故時の初期の段階に,環境放射線モニタリングやSPEEDIによる放射線情報の把握の活動がいかに行われたかを検証するために,実際に得られた環境放射線モニタリングの結果と事故・災害に対する対応の時系列を同時進行的に検討した。その結果,災害対策本部としての緊急時モニタリングの体制の確立にかなりの時間を要したこと,事業者および福島県の環境放射線モニタリングおよびSPEEDI計算結果を関連付けて検討することにより,緊急時モニタリング計画の立案と実行が大幅に改善された可能性があることなどが明らかとなった。

  • 福島第一原発事故の再発防止のために
    森本 俊雄, 澤田 哲生
    2011 年 53 巻 12 号 p. 826-830
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     2011年3月の福島第一原子力発電所事故の反省から,政府は環境省の外局として原子力安全庁を設立することを目指して検討を進めている。日本の原子力規制行政を改革するためには,規制組織の枠組みよりも組織の中身,特に規制機関の上級職員の専門性向上が緊急の課題である。原子力安全庁の長官および上級職員を,能力主義に基づき任命し,その在職期間を欧米諸国と遜色ないものとする必要がある。そしてIAEAのレビューを再度受けることが,我が国の原子力安全規制を国際レベルに引き上げる上で有効である。

  • 原子力の信頼性向上策と福島国際センター設立の提案
    杉山 憲一郎
    2011 年 53 巻 12 号 p. 831-835
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     発電所の事故防止のためには非常時電源の多様性・冗長性が最も重要である。全電源喪失事故では欧州型手動操作ベントが放射性物質の放出量を最小限にし,周辺住民の安全を守る。福島第一事故以降,定検を終了した発電所の再稼働が進まない。国民の理解を得る安全性向上・事故緩和策の検討のために,欧州型電源・ベント設備を紹介する。加えて,国外,国内に事故現場の新知見・汚染除去技術の最新情報を継続発信していくことが,原子力技術の信頼回復のために重要である。この具体策として,福島国際センターの設立を提案する。

  • 欧州の中間報告と米国で緊急対応必要なしの報告
    水町 渉
    2011 年 53 巻 12 号 p. 836-840
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     ヨーロッパでは,EU加盟国の27ヶ国のうち,原子力発電所を導入している14ヶ国が,ストレス・テストの中間報告を9月15日に発表した。これは,福島第一原子力発電所の事故を踏まえ,同程度の事故が起きると仮定して,コンピュータ上でシミュレーションを実施したものである。結果として,原子炉閉鎖が必要となるような深刻なプラントはなかった。12月までに規制機関が評価を行う予定である。来年の夏までにIAEAに報告され,最終評価が行われる予定である。

     一方アメリカでは,ヨーロッパで行われている,このストレス・テストは行わず,NRCが独自に発表した勧告によって,各プラントが対応を進めることにしている。この結論として,福島の事故に関する短期評価では,アメリカの原子力発電所は安全に運転できるとし,運転しながら,電源喪失等への安全対策を強化する長期的評価を行う方針を決定した。

     ここに,ヨーロッパとアメリカの最新情報をまとめておく。

  • 日本とカザフスタンの高速炉に関する取極を例に
    河口 宗道
    2011 年 53 巻 12 号 p. 841-844
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/09/06
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     国際協力の下で高速炉の研究開発を実施することにより,研究開発コスト,リスクの低減,及び研究開発期間の短縮化を図ることは重要である。しかしながら,通常の2国間原子力協定(以下,原子力協定と呼ぶ)には,高速炉の協力分野は含まれていない。このため,原子力協定に高速炉の協力分野を追加するためには,その必要性,核不拡散性,平和利用という要件を確保する必要がある。これを満たすことによって,日本とカザフスタンは今年4月に高速炉の取極を締結した。本稿ではそれを実例として,原子力協定の下で高速炉協力を行うための要件と課題について解説する。

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