日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
54 巻, 1 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
巻頭言
時論
連載
解説
解説
  • 岡本 孝司
    2012 年 54 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/09/06
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     原子力発電所の安全を担保する思想は深層防護である。東日本大震災による発電所への影響を深層防護に従い検討を行うと,いかなる場合においても,電源を供給できるようにすることが必須であることが見えてくる。全交流電源喪失,全交流電源系統喪失,全電源喪失など,発生確率とリスクに応じて,電源に対する対策を考えていくことが重要である。わずかな電源容量であっても,ある程度の時間は稼ぐことができる。事象を整理し,俯瞰的に評価することで,プラント全体のリスクを低減していくことが重要である。

  • 大津波の可能性の知見がなぜ福島第一発電所に活かせなかったか
    宮坂 靖彦
    2012 年 54 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/09/06
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     東京電力福島第一発電所のシビアアクシデントについて,事故時の対応,規制等の観点から十分に調査・検証する必要がある。それにしても原子力発電所の全交流電源喪失(SBO : Station Blackout)規制はなぜ遅れたのか。また,地震・津波の発生の可能性は,専門家から知らされていたのになぜ耐震規制に反映できなかったか。日本の原子力施設の耐震対策は,1995年兵庫県南部地震から数年後に本格検討が始まり,大幅改訂の耐震設計審査指針が公表されたのが2006年9月である。この間に新潟地震があったといえ,あまりに遅く残念である。改めて,安全研究の重要性と適切な規制体系の再構築が必要である。独立した規制機関の再構築が検討されているが,その第一歩はこれまでの対応を解明することである。

     本報では,洪水による外部電源喪失事象,津波による冷却ポンプ機能喪失など教訓とすべき事象,米国及びフランスのシビアアクシデント規制の状況,わが国の規制取り組み等に関する提言を含め解説する。

  • WHO,IAEA などの10年,20年のまとめ,および25年目のUNSCEAR 2008
    長瀧 重信
    2012 年 54 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/09/06
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     災害時に流言蜚語はつきものである。原子力災害も例外ではない。筆者は事故4年後の1990年にソ連邦が外国との交流を開始したときに現地を訪れ,事故後10年目までは,多くの研究プロジェクトに参加し数え切れないほど現地に赴き,10年目,20年目の国際機関のまとめのコンファランスまで出席することができた。健康影響に対して科学的な調査が可能になり,様々な調査の結果が発表されるようになると,それぞれの発表,論文の科学的な信憑性を検討することが大きな仕事になり,自分の主力は国際的な科学的な合意形成に移行した印象がある。初期の流言蜚語の時代からまとめの発表にいたるまでの経験を具体的に紹介し,原子力災害の対応の問題点などを示したい。

  • 武田 充司
    2012 年 54 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/09/06
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     今年は「チェルノブイリ事故から25年」ということで,地元ウクライナだけでなく世界各地で,あらためてこの事故を振り返り,その教訓を風化させまいと,様々な企画が考えられていたが,その矢先の3月11日に,我々は未曾有の巨大な地震とそれに伴う津波に見舞われ,それによって福島第一原子力発電所の事故が起り,にわかにチェルノブイリ事故のその後への関心が高まった。一方,チェルノブイリでは,世界各国の資金援助によって進められてきた新シェルター建設プロジェクトが,いよいよ最終段階を迎え,巨大な石棺を覆う新シェルターの建設工事が開始されたので,その建設状況を紹介する。

  • 1.確率論的リスク評価手法の特徴と課題
    山下 正弘
    2012 年 54 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/09/06
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     原子炉施設の安全確保において確率論的リスク評価(PRA)が重要な役割を担っている。しかし,PRAは,これまで必ずしも効果的な活用がなされてきておらず,このことは福島第一原子力発電所の事故に対する日本国政府報告書においても指摘されている。日本原子力学会標準委員会リスク専門部会においては,PRA手法を中心とした標準(実施基準)の整備を行うとともに,PRAの活用の基本的考え方の検討を進めている。同専門部会の活動を踏まえて,本稿を含めて3回の連載を通して原子炉施設のPRAの動向と今後への期待を述べる。第1回はPRAの活用と関連付けてPRA手法の特徴と課題をとりあげ,これらを受けて,第2回はPRAの品質(技術的妥当性)を確保する上で重要な役割を果たすPRA実施基準の整備動向を紹介し,最終の第3回にPRAの積極的かつ迅速な活用を目指した今後への期待を述べる。

  • 久野 祐輔, 山村 司
    2012 年 54 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2019/09/06
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     福島第一原子力発電所の事故により原子力発電利用の国際動向には不透明さが見受けられるものの,今後,安全性強化により,これまでの原子力利用政策を維持しようとする国,そして新たに原子力発電を導入しようとする国は,依然多数に上るものと思われる。このような中,平和利用における核不拡散への取り組みとして,ウラン濃縮,再処理といった機微技術の拡散を防止するために様々な取組みが行われてきた。これらには,濃縮ウラン燃料の供給を保証するなど受領国側のニーズを満たすことにより,機微技術の取得のインセンティブを減らすようなアプローチ,供給国側から供給に際し不拡散の条件付けを行うというアプローチがある。本稿では,両者のアプローチに関する,最近の注目すべき動きについて解説するとともに,今後期待される展開について考察する。なお,福島原発事故で顕在化した使用済燃料貯蔵の問題に関する国際的な対応について併せて議論する。

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