1980年代中頃になると,現在の地層処分概念の骨格が固まり,各国に固有の条件を考慮した地層処分システムが相次いで発表された。日本においても, 候補となり得る地層を絞り込んで試験地を選定し,その地点において実証試験を行うというそれまでの進め方が大幅に見直されて,研究開発が進められることとなった。
研究開発の方針として,まず,日本におけるジェネリックな地質環境特性を考慮に入れた地層処分システムを開発し,そのような処分システムの構築に適した地質環境の条件を明らかにすることにより処分地の要件を具体化し,それを根拠として処分地の選定を開始するという手順への転換が図られた。研究開発の成果は,1990年代には地層処分の技術的可能性について,次いで技術的信頼性について集約され,これらを技術的な拠り所として,2000年には地層処分の実施にかかわる制度が整備された。
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