原子力発電所で使用される電源・制御用の電気ケーブル(以下,単に「ケーブル」という。)に過電流が流れることによって発熱・発火し,併設ケーブルが延焼するケーブル火災について,ケーブル間及びケーブルトレイ間の延焼可能性についての検討が国内外で進められてきた。また,近年では高エネルギーアーク損傷(HEAF:High Energy Arcing Fault)による電気盤の損傷に関連して,盤内外のケーブルを介した火災による損傷の拡大が懸念されている。これらのケーブルは,被覆材及び絶縁材がポリエチレン等を含むことから,温度や放射線等の外部環境に影響を受けて高分子材料の性能が劣化することが知られており,これらの劣化現象と燃焼特性の関係についても検討を進めておく必要がある。そのため,関連するケーブルの燃焼特性, 経年劣化等に関する研究について背景を説明するとともに,それらの実施例について紹介する。
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