日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
62 巻, 2 号
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巻頭言
時論
解説
  • ―より良い意思決定を支援するために―
    桑垣 玲子, 菅原 慎悦
    2020 年 62 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
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     リスクコミュニケーション(Risk Communication)は,多様なリスク情報をステークホルダー間で相互にやりとりしつつ,より良いリスク管理を目指す意思決定のプロセスである。本稿では,定量的なリスク情報のやりとりに係る主要な学術的知見や米国における実践経験から,わが国の原子力分野において留意すべき点を解説する。解説にあたり,定量的なリスクの大きさを他のリスクとの相対的な比較情報とともに示すことで,情報の受け手の解釈や判断に資することを目指す,「リスク比較」の説明手法の先行研究に着目する。

  • 加藤 悦史
    2020 年 62 巻 2 号 p. 70-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
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     パリ協定の長期目標である世界的なネット・ゼロ排出達成に必要なエネルギーシステムの転換に重要となる技術について概説した。その目標であるネット・ゼロ排出とは,人為的な温室効果ガスの排出を,人為的な温室効果ガスの吸収も利用して正味でゼロにするということを意味している。ゼロ排出化が困難であるセクターを挙げ,そのセクターにおける技術オプションの可能性,さらにはどうしても避けられない排出をオフセットするため,あるいは,正味炭素排出を負とする場合に必要とされるネガティブエミッション技術のオプションを解説した。

  • 倫理委員会セッション「技術の現場と倫理との相互作用―AI技術を例に」
    久木田 水生
    2020 年 62 巻 2 号 p. 74-76
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
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     現在急速に発展している人工知能は社会や人間に対して様々なネガティブな影響を与えることも懸念されている。そういった懸念を反映して,国内外で,そして様々なセクターで,人工知能の開発と活用に関する倫理についての議論が活発に行われ,倫理指針や倫理原則が策定されている。本発表では,人工知能がどのような倫理的問題を引き起こしているのか,それに対してどのような倫理指針が考えられているのか,そしてそれらはどのような意義を持っているのかを,具体的な事例に即して論じる。

Column
解説シリーズ
  • 第3回/最終回 電力市場における原子力発電への支援策
    服部 徹
    2020 年 62 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
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     海外では,電力市場における競争の中で収支が厳しい原子力発電に対し,政府が支援策を講じる例がある。自由な競争が行われるはずの市場において,政府が特定の電源を支援することは避けるべきと考えられているが,電力市場の制度設計が完全である保証もない。その場合,エネルギー政策の目標をより効率的に達成できる手段を政府が提供しうる可能性は否定できない。市場メカニズムを活用するメリットをできる限り損なわずに,原子力の新増設や既設炉の維持を促していくことが模索されている。

サイエンスよみもの
  • −2050年以降の発電資源−
    大竹 秀明
    2020 年 62 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
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     気象・気候分野では気候モデルといった物理モデルを用いた2050年から2100年程度先までの将来予測の研究が進んでおり,データがアーカイブされている。気候モデルは仮想の地球全体の大気・海洋を模擬したシミュレーションツールであり,日射量や気温,風向風速などの気象要素の予測情報がある。太陽光発電,風力発電資源量の予測に加えて電力需要量についても研究が行われている。発電資源量の地域変化,季節性,変動の要因などについて最近の研究事例を紹介する。将来気候下での地球の自然の変化,注意すべき点についても述べる。

連載講座
報告
Short Report
  • 倉田 正輝
    2020 年 62 巻 2 号 p. 99-101
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/08
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     本稿では,東京電力福島第一原子力発電所(1F)の廃炉に向けた国際協力として,経済協力開発機構原子力エネルギー機関(OECD/NEA)で進められているTCOFF(Thermodynamic Characterization of Fuel Debris and Fission Products Based on Scenario Analysis of Severe Accident Progression at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station)プロジェクトの概要を報告する。TCOFFは,シビアアクシデント研究の専門家だけでなく,基礎基盤研究の専門家の英知も幅広く結集し,1F廃炉の着実な推進と加速化を目的に,NEAの原子力科学委員会(NSC)の下で,2017年6月に立ち上がった。10カ国+ECから18機関が参加し,燃料デブリやFPの基礎科学について様々な検討を行っている。2019年12月でプロジェクト終了する見込みであり,その主な成果を報告する。

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