日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
62 巻, 8 号
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巻頭言
時論
講演
  • 「私」が「私たち」になるとき
    岸田 一隆
    2020 年 62 巻 8 号 p. 416-420
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     2019年12月に開催された「再処理・リサイクル部会セミナー」における岸田の基調講演の内容を,その時の講演のスタイルとともにまとめた。コミュニケーションの基本構造から解き明かし,伝え方や心構えについて注意を払うことを解説した。大切なのは,コミュニケーションを担う双方の間に共同体意識を生むことであり,共に未来を作り出してゆくという意識を持つことである。そのためには,自らも変わる準備がなくてはならない。

特集
  • 阿部 洋己
    2020 年 62 巻 8 号 p. 421-422
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     東日本大震災により発生した福島第一原子力発電所の事故以降,福島県では子どもたちの健康や生活に対する放射線の影響を,現在および将来において最小限に食い止めることが極めて重要な課題となっていた。これまでの学校教育では,放射線に関する教育が十分に実施されていなかった。そのために,福島県教育委員会として取り組んだ放射線教育や防災教育についての具体的な内容や,福島県内の小学校・中学校で実践されている放射線教育の実施教科について紹介する。今後も,子どもたちの新たな夢や希望の実現のために,福島発の放射線教育を創造し,推進していきたい。

  • 佐々木 清
    2020 年 62 巻 8 号 p. 423-425
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     甚大な被害を与えた福島第一原子力発電所事故から早9年半。福島県内の空間線量率は,除染作業と放射線の減衰によって減少するとともに,苦難を乗り越え復興に向けた取り組みが具体的に前進している。福島県環境創造センター交流棟(愛称:コミュタン福島)は,「対話」と「共創」を基本に据え,福島県の「今」を伝える展示室と探究的な体験研修を通して,正しく放射線を理解させ,福島の環境を知り,創り,発信する使命を持っている。そこで,これまで企画・運営してきた探究的な学びの実際と,放射線も含めた子どもたちの未来を切り拓く「学びの連続性」の取り組みを紹介させていただく。

  • 山口 克彦
    2020 年 62 巻 8 号 p. 426-427
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     福島県では2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降,義務教育課程から高等教育に至る各校種において積極的に放射線教育が進められてきた。その内容は単に放射線の物理的な側面に留まらず,地域の実情に合わせた幅広いものとなっている。一方で,事故から9年が経過し,今後の学校教育の中でいかに放射線教育を継続的に行っていくべきかが近年の課題として浮上している。これまで福島県で培ってきた放射線教育を維持し,また全国的に広げるための方法として,既存の学校カリキュラムに無理なく挿入できる放射線教育を構築する必要があると考えている。

  • 原 尚志
    2020 年 62 巻 8 号 p. 428-429
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     福島県立高校の理科教員として,生徒たちに福島第一原子力発電所事故後の放射線や福島の現状について学ぶ場を設けてきた。この中でアンケートとして,福島県民健康調査の質問事項を尋ねたところ,約3割の生徒が福島県民の「後年影響」に懸念を示した。この結果は,福島県内の高校生に対して,放射線や福島の現状についての学びの場を設ける必要性を示している。このような教科横断的で地域課題的な学びは,「総合的な探究の時間」で展開するのがふさわしい。課題研究に取り組む高校生のテーマとして,放射線や福島の現状に関するテーマを取り上げることも有効である。風評の払拭のためには,このような放射線や福島の現状に関する学びの充実こそ求められる。

解説
Column
解説シリーズ
  • 第4回 今こそ,高速炉の話:持続性あるエネルギー供給へ
    根岸 仁, 上出 英樹, 前田 誠一郎, 中村 博文, 安部 智之
    2020 年 62 巻 8 号 p. 438-441
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     「もんじゅ」は2018年4月に,廃止措置段階に移行した。わが国初めてのナトリウム炉の廃止措置であり,約30年をかけて進める大事業である。「もんじゅ」では,設計や開発,製作,建設および40%出力運転などの50年にわたる活動を通じて膨大で多岐にわたる技術成果を得てきた。これまでに蓄積された知見・技術を決して散逸させることなく,今後の高速炉の実用化に向けた研究開発に確実に活用していくことが必要である。

サイエンスよみもの
連載講座
  • 第3回 外部ハザードについて考えるべきこと
    高田 孝, 山野 秀将, 成宮 祥介
    2020 年 62 巻 8 号 p. 448-451
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     第3回では,外部ハザードについて,リスク評価におけるハザードの選定や評価として適用されるリスク分析について概説するとともに,一例として火山降灰ハザード評価について示している。また,リスク評価の目的は原子力施設の安全性の確保や向上であり,外部ハザードのリスク評価から得られた情報を用いたリスク対処に対するプロセスについても考察を行った。

  • 第3回 核セキュリティのための核物質検知技術
    高橋 佳之, 小泉 光生
    2020 年 62 巻 8 号 p. 452-456
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     核セキュリティの向上に関して,世界的にソフト・ハード双方でさまざまな対策が行われている。今回は,不法な核物質を検知するための技術開発について,放射線計測技術の観点から開発が進んでいるわが国の研究開発の動向について解説を行う。京都大学では,中性子計測による核物質検知手法を新たに開発し,これらの手法を用いた核物質検知システムの開発を行っている。原子力機構においては,核共鳴蛍光非破壊分析法を用いた核物質検知システムの開発を行っており,さまざまな試験を通して成果を挙げている。核物質検知技術は,安全・安心の社会構築に向けたインフラ技術として,わが国でも更なる研究開発が求められている。

報告
  • 夢と課題
    赤尾 尚洋, 鈴木 茂和, 坪谷 隆夫, 嘉齊 澪, 重石 智大
    2020 年 62 巻 8 号 p. 457-460
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     日本原子力学会シニアネットワーク連絡会 (SNW) は,東京電力福島第一原子力発電所が位置する福島浜通り地区にある唯一の工学系高等教育機関である福島工業高等専門学校 (福島高専) において継続的に対話会を実施してきた。同高専では,第一原子力発電所の廃止措置,地域の再生・復興に貢献する人材の育成に重きを置き教育を実施してきており,これに応える学生は真摯かつ優秀である。こうした,次世代を担う若者に夢を与える教育がいかになされ,それを受けた福島の若者が将来の原子力について何を思い,また,地元に生まれ育った視点から福島はエネルギー政策にどうかかわってきたのかについて対話会の参加者から報告してもらい,意見の共有を図った。

  • 地元と寄り添う福島特別プロジェクトの活動
    藤田 玲子, 高村 昇, 小沢 晴司
    2020 年 62 巻 8 号 p. 461-466
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/01
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     福島第一原子力発電所の事故から9年が経ち,帰還困難区域と当時の大熊,双葉両町の区域を除いて避難指示が解除されてから3年が経つが,富岡町や浪江町などの浜通りの住民の帰還は進んでいない。福島の住民の方々の帰還および帰還した住民の方々の安心を深めるためのコミュニケーション活動を福島事故直後から進めてこられた長崎大学と環境省の活動と合わせて福島特別プロジェクトの活動を紹介し,福島事故の影響を改めて考える。

Short Report
理事会だより
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