日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
63 巻, 3 号
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特集
時論
特集
  • 中村 紀吉
    2021 年 63 巻 3 号 p. 256-259
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     原子力損害賠償・廃炉等支援機構では,「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン」を毎年取りまとめてきた。戦略プラン2020では,2019年末の中長期ロードマップの改訂を受け,新たな目標工程に沿って事業者が廃炉作業を着実に実施するために,福島第一原子力発電所の取組全体を俯瞰した中長期視点での技術戦略を提示している。本稿では,戦略プラン2020の概要を示す。

  • 奥住 直明
    2021 年 63 巻 3 号 p. 260-262
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     技術研究組合 国際廃炉研究開発機構(IRID)は2013年8月の設立以来,将来の廃炉技術の基盤強化を視野に,当面の緊急課題である福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術の研究開発に取り組んでいる。研究開発の分野は ①使用済み燃料プールからの燃料取り出しに係る研究開発 ②燃料デブリ取り出し準備に係る研究開発 ③固体廃棄物の処理・処分に係る研究開発 の3つの柱に分類することができる。本稿では「原子炉格納容器内部調査」・「燃料デブリ取り出し」に係る研究開発を中心に,2020年上期時点における概況を報告する。

  • 新堀 雄一
    2021 年 63 巻 3 号 p. 263-266
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     福島第一原子力発電所廃炉検討委員会では廃棄物検討分科会(主査:柳原 敏先生)の中間報告として「国際標準からみた廃棄物管理」を取り纏めた。本報告書の重要なメッセージの一つは,1Fの廃炉・サイト修復で発生する放射性廃棄物の取り扱いは,世代を超えた長期にわたることが予想され,エンドステートを念頭にサイト内においても中間エンドステート(廃炉(除染・解体)やサイト修復等の各活動の達成目標)を定め,着実にステップを踏むことが重要となることを指摘している点にある。学会における廃棄物分科会では,クリアランス制度,廃棄物の再利用,放射性廃棄物の定義,処分までに至る間の安定な保管とその処分に及ぼす影響の把握,さらには処分サイトを含む1Fの事故修復の段階的な進捗について,ステークホルダーとの意見を深める重要な時期に来ていると考える。

解説
  • 脱原子力そして脱石炭は成功するか
    黒田 雄二
    2021 年 63 巻 3 号 p. 267-271
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     ドイツは2020年7月,石炭・褐炭火力発電所を2038年までに廃止する法案を可決した。同国は現在,再生可能エネルギー中心へエネルギー転換を進めているが,2022年までの脱原子力を進める中,電力供給の中核を担ってきた石炭・褐炭火力も廃止して,同国の今後の電力安定供給に問題が生じないかが,大きな焦点となってきた。本稿では,そうした同国の電力安定供給の行方について検証した。その結果,発電設備増強の行き詰まり,信頼性の乏しい風力発電,見通しの立たない長期電力貯蔵,国際連系線の限界,など,多くの課題のあることが明らかになった。最近では,脱原子力,脱石炭の順序をドイツは間違えたのではないかとの指摘も一部にみられる。

  • 測れない物を測る。見えない物を見る。
    平 修
    2021 年 63 巻 3 号 p. 272-277
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     ナノ微粒子を質量分析のイオン化支援剤として使用する,Nano-Particle Assisted Laser Desorption/Ionization(Nano-PALDI)質量分析(MS)のメリットとイメージング質量分析(IMS)への応用例について紹介する。Nano-PALDI MSは,レーザー脱離イオン化(LDI)で,低分子領域測定に適している。近年は,2次元情報が得られるIMSに応用した場合,高解像度イメージングを可能とし注目されている。

FOCUS
  • NEAにおける原子力科学,データバンクの活動動向
    津田 修一, 須山 賢也
    2021 年 63 巻 3 号 p. 278-282
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     NEA原子力科学委員会およびデータバンクは,炉物理・核データ分野における国際的にも重要な情報交換の場としての役割を果たしてきた。現在原子力科学委員会では,炉物理・核データ以外にも燃料・材料などの活動を積極的に立ち上げつつあり,データバンクでは配布コードのライセンスの変更も含めた利用者のニーズに対する対応や,他委員会との共同活動の強化などを推進している。本稿ではこれらの現状を俯瞰するとともに,わが国関係者の活動にも触れることで,わが国関係者とNEAのさらなる関係の深化に向けた情報を提供する。

報告
  • 持続可能な開発に向けた原子力の取組状況と今後の推奨事項
    大野 薫
    2021 年 63 巻 3 号 p. 283-286
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/10
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     クリーンエネルギーへの移行を順調に進めるための一翼を担う原子力発電。国際エネルギー機関(IEA)の「クリーンエネルギーの進展評価」報告書は,IEAが提唱する持続可能な開発シナリオのレベルに到達するためには,現状の原子力発電への取組状況は順調ではなく,今後新たな原子力発電設備容量が2040年までに毎年平均1,500万kW必要,と指摘する。IEAは,その実現に向けて,原子力政策の不確実性の低減や原子力発電が有する価値の認識向上,市場リスクの低減,新規建設を促す政府のリーダーシップ,そして国際協力の必要性を推奨している。

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