原子力利用のリスクに応じた対応をとるためには,多様な原子力施設の事故を模擬できる大型の実験装置や解析コードを使ったシミュレーション,重要な現象の機構解明研究などの系統的な研究を通じて,適切にリスクを評価するための手法を整備・適用し,これらを身につけた人材を育成することが重要である。本稿では,地震など外部事象の原子力施設への影響,シビアアクシデントの発生・進展,放射性物質が放出された際の環境への影響評価研究などを中心に原子力機構の安全研究への取り組みを紹介する。
電力システムでの再エネ導入拡大を目指す再エネ主力電源化の方針が,エネルギー政策の重要な柱となっている。再エネ導入により,低炭素化,エネルギー自給率向上,災害時における電力レジリエンス向上等への貢献が期待される一方,電力コスト上昇などの問題もあり,再エネ主力電源化は技術的に容易ではない。太陽光発電など再エネ拡大を進める米国カリフォルニア州では,電気料金の高騰や,2020年8月の猛暑の影響で停電リスクが顕在化するなど,再エネ拡大に際しては電力安定供給を最優先とした慎重な対応が必要であると考えられる。
若い原子力技術者,核燃料研究者に福島第一原子力発電所(1F)事故以降の燃料開発の現状を知り,今後の燃料研究・開発に活かしてもらうため軽水炉燃料〜新型炉燃料までの燃料の基礎と研究開発状況をまとめた。第1回では,全体概要を述べた後,軽水炉燃料の設計や開発経緯について紹介し,第2回では軽水炉燃料のふるまいを説明する。
大学等における核燃およびRI研究施設は,老朽化や安全管理への対応等の課題を抱えつつ,原子力分野における基礎教育および基盤研究に不可欠な施設である。一方,福島第一原発事故やIRRSを受けた法改正による新規制への対応などが求められている。原子力学会アゴラ調査専門委員会「大学等核燃およびRI研究施設検討・提言分科会」において,大学施設の現状を紹介するとともに,核燃およびRIの新規制に対する対応と在り方についてまとめたので報告する。
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