日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
66 巻, 12 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
Perspective
視点 これからの原子力に求められるもの
特集
  • 1.次世代革新炉開発の国内外動向
    山野 秀将, 豊岡 淳一, 佐藤 博之, 坂場 成昭
    2024 年 66 巻 12 号 p. 607-611
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     近年,国内外において革新炉導入に向けた活発な動きが見られる。米国では,2020年に「新型炉実証プログラム(ARDP)」を開始し,高速炉,高温ガス炉,マイクロ炉,溶融塩炉,軽水型小型モジュール炉(SMR)のプロジェクトが進められている。カナダ,仏国,英国,ポーランド,ロシア,中国,インドでも同様に新型炉開発が盛んになってきている。新型炉開発は原子力研究・開発の将来を開拓する技術分野であり,現在,原子力業界に求められているイノベーションの実現を目標としていることから,若い世代を原子力研究・開発へと惹きつけるもっとも魅力的な分野のひとつである。本稿では,主要な開発国を対象に最新の国外の次世代革新炉(高速炉と高温ガス炉を中心に)開発動向を紹介するとともに,国内においてはGX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針に則った次世代革新炉開発の動向を紹介する。

  • 2.高速炉開発における中核企業の取り組み
    碓井 志典
    2024 年 66 巻 12 号 p. 612-614
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     資源エネルギー庁は,高速炉実証炉の概念設計対象となる炉概念仕様と,その製造・建設を担う中核企業を2023年3月に募集し,同年7月に三菱重工業(株)が中核企業に選定された。三菱重工業(株)は1970年代から高速炉の開発に取り組み,2007年には当時の中核企業に選定され,高速炉のエンジニアリングを専業とする三菱FBRシステムズ(株)を設立,高速炉技術の蓄積・向上を図ってきた。また,「戦略ロードマップ」に則り,MOX燃料によるナトリウム冷却タンク型炉開発を念頭に,NEXIP事業,日仏協力などの国際協力も活用しつつ,自国の技術として高速炉開発に貢献してきた。2040年代半ばの実証炉運転開始に向けた中核企業の取り組みについて紹介する。

     政府のNEXIP(Nuclear Energy × Innovation Promotion)事業

  • 3.高温ガス炉開発における中核企業の取り組み
    原 輝夫, 大西 宏行
    2024 年 66 巻 12 号 p. 615-617
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     2050年カーボンニュートラルの実現に向け,製鉄,化学などの産業分野ならびに運輸分野において水素の利活用に向けた取り組みが進められており,実現には大量の水素が必要となる。高温ガス炉は,カーボンフリーで900℃以上の超高温の熱を供給できることから,大量かつ安定的な水素製造への活用という点で昨今期待が高まっている。当社は2023年度に高温ガス炉実証炉開発の中核企業に選定され,カーボンフリー高温熱源としての高温ガス炉を実証・実用化すべく開発に着手した。今回はその取り組み状況について紹介する。

解説
  • 氷の高圧下における水素結合対称化の観測
    服部 高典, 小松 一生
    2024 年 66 巻 12 号 p. 618-622
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     超高圧中性子回折装置PLANETは,茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)に建設された国内初の高圧中性子実験専用のビームラインである。パルス中性子を用いたエネルギー分散型データ測定および最新の光学機器,高圧発生装置を導入することにより,これまでにない高い精度で,広い圧力温度範囲にわたる結晶・液体・ガラスの構造を解析できるようになっている。本稿では,どのようにしてそれが実現されたか紹介するとともに,最近発表された氷の水素結合の対称化の成果に関して紹介する。

  • 原子力人材育成戦略ロードマップ2023年度改訂版の解説
    吉村 真人
    2024 年 66 巻 12 号 p. 623-626
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     世界的なカーボンニュートラル社会の実現に向けて原子力が果たすべき役割認識が高まっており,それを担う原子力人材の育成は最重要課題の一つである。2023年度に改訂された原子力人材育成戦略ロードマップは,こうした状況下で日本が取り組むべき原子力人材育成施策を全体的・網羅的に整理したものである。抽出された施策の実行には組織横断的な取り組みが必要であり,国と原子力関係諸機関が密接に連携して着実に具体化していくことが期待される。

解説シリーズ
  • 第1回 フランス電力における原子炉廃止措置戦略・体制そして原子力復興への貢献
    ジェローム アルトニアン , 山内 豊明
    2024 年 66 巻 12 号 p. 627-631
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     原子力発電をエネルギー政策の中心に据えて,電力の過半を原子力で賄っているEDF(フランス電力)の廃止措置戦略を紹介する。フランスでは国営のANDRA(放射性廃棄物管理公社)が放射性廃棄物処分を担っているため,廃止措置における原子力事業者の実施範囲が日本とは異なる。しかし,EDFは原子炉施設を解体し,廃棄物処理と輸送を担い,処分費用をANDRAに支払うことになるため,EDFの廃止措置戦略はわが国でも参考になると考える。日本は先行する欧米の廃止措置戦略に学び,安全で効率的な廃止措置を進めるため,国内の全体最適な戦略を策定し,欧米諸国とも連携していくことが重要であると考えられる。

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