地震に関する確率論的リスク評価(Probabilistic Risk Assessment; 以下,地震PRA)によるリスクの定量化には,大きく分けて事故シナリオの分析,地震動ハザード評価,フラジリティ評価,事故シーケンス評価というステップがあり,それぞれに何らかの不確かさを有している。このうちフラジリティ評価では,入力となる地震動や設備の地震応答,設備の持つ耐力に関わる不確かさを考慮して評価するものであり,これらを適切に分析して定量化することが地震動に対するリスク情報を活用していくうえで重要である。
本稿では,日本原子力学会標準「原子力発電所に対する地震を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2015」(以下,地震PRA学会標準)1)を参考に,フラジリティ評価の概念について紹介したうえで,応答・耐力に関する不確かさの要因について説明し,その定量化に向けた考え方などについて示すものである。
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