燃料デブリの性状把握はデブリ取り出しにおいて重要な課題の一つである。燃料デブリは複雑な混合物であると推定されるが,多様な核分裂生成物や特定の同位体の情報がデブリの性状を把握するために必要である。高い面分解能とレーザー共鳴イオン化による元素選択性を併せ持つレーザー共鳴イオン化質量顕微鏡をこのために開発した。本手法の原理と特長,応用例を解説する。
活断層の中には,地上まで到達しておらず地形的に不明瞭で,その存在を把握することが困難なものもある。地層処分の実施主体である原子力発電環境整備機構の包括的技術報告書では,地層処分の調査・評価技術の現状として,地形的に不明瞭な活断層の分布・活動性の検出・評価のための調査・評価事例の蓄積が課題であることが指摘されている。このためには,活断層が伏在する地域において,地表でどのような特徴を見出せるかを詳細に検討する必要がある。本稿では,日本原子力研究開発機構が,活断層が伏在することが明らかな地域において事例研究を進めている現状について紹介する。
本会倫理規程は,2001年の制定以降,倫理委員会による検討に基づき数年ごとに改定しており,2025年5月に8回目の改定を行った。本稿では,本会倫理規程の意義,特徴についてあらためて共有するとともに,2025年改定の概要等について紹介する。
脱炭素目標の達成やエネルギー安全保障の確保を背景に世界の原子力開発が加速している。ここでは,革新的な軽水炉,第4世代炉としての高速炉,高温ガス炉など革新炉の国際的な開発動向について小型モジュール炉(SMR),規制基準,新しい製造技術に着目して解説する。
ニュートンの達成以降になされた自然科学史上最初の大事件はファラデーやマックスウェルによる古典電磁気学と「場」という概念の確立であろう。19世紀に机上で行われた実験の集大成である電磁気学はアインシュタインの特殊相対論の萌芽を始めから宿していたがこれは驚くべきことと言える。そして場という概念は現代物理学の中核に据えられた。20世紀に入ると量子力学が形をなし始めるがそれはわれわれの従来の自然感を茫然とさせるものであった。
本企画セッションでは,原子力規制庁が放射線安全および原子力防災分野において実施している国際的な活動と,得られた知見を国内制度に的確に反映させるための実務的な取り組みについて,原子力規制庁の荻野晴之氏および元光邦彦氏より講演が行われた。講演では,IAEAやICRPをはじめとする国際機関との連携による知見の収集と共有,国際文書への日本の貢献の重要性,さらに国際動向の国内への展開状況が紹介された。また,制度形成に求められる柔軟性や,国際的議論への継続的な人材参画の必要性についても言及があり,質疑応答では制度運用に直結する課題に関して多角的かつ実務的な議論が交わされた。これらを通じて,今後の放射線安全および原子力防災に係る制度設計や政策形成において日本原子力学会が果たしうる役割の大きさについて,多くの示唆が得られる有意義な機会となった。
核融合炉の実現を目指したトリチウム研究のこれまでの歩みを振り返るとともに,今後10年の見通しをまとめた。開発の加速が求められるなか,原型炉開発に直結する研究や長期的展望に立った基礎研究,継続的な人材育成など大学が担うべき役割は多い。トリチウム大量取扱施設の建設は不可欠であり,この施設を利用して技術的に大きな飛躍を遂げるための準備を,この10年でしっかりと成すことが重要である。トリチウム取扱経験を有する人材を育成し,核融合開発の現場に送り出すことは,大学におけるトリチウム研究活動の重要な使命の一つである。
ダイバーシティ(Diversity: D)は「多様性」と訳され,インクルージョン(Inclusion: I)は「包括」と訳されることが一般的である。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の本質は,「多様性の向上だけでは不十分であり,それを活かして初めて効果が生まれる」こととされている。この考えについて,参考文献1)をもとに自分なりに咀嚼して再構築したので,ここで紹介したい。この短文は,ダイバーシティ推進委員会の活動報告というよりは,「ダイバーシティ推進の本質やその意義について考えるきっかけを提供するもの」ととらえていただけると幸いである。
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