熱出力1 Wの教育訓練用原子炉UTR-KINKIは,令和6(2024)年11月11日で臨界63周年を迎えるが,まだまだ現役で,わが国の原子力人材育成にフル活用されている。極低出力のゼロパワー炉だからこその冷却不要,ウラン消費量少,核分裂生成物少,漏洩放射線強度低で,安全性が高い。原子炉の遮蔽上蓋を開けて炉心の構成要素を一望することができ,教育的効果がある。最近では,文部科学省「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」原子力教育コンソーシアムANEC(Advanced Nuclear Education Consortium for the Future Society)の実習の拠点として位置づけられていて,令和6年度は14大学の学部生・院生が原子炉実習に参加している。本稿では,近畿大学原子炉の特性と沿革を記した後,利用の現状について記述する。