日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
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巻頭言
時論
Perspective
解説
解説シリーズ
  • 第3回/最終回 英国NDAの廃止措置戦略の進展
    トム マッキーティング , 山内 豊明
    2025 年 67 巻 6 号 p. 333-337
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     英国で原子力廃止措置機関(NDA)が設立されて間もなく20年になる。NDAは継続して廃止措置/廃棄物管理戦略や体制を改善し続けている。これまでの重要な教訓は,廃止措置は単に技術的課題ではなく,社会的課題であると認識すること,および利害関係者の理解と協力が不可欠であるということである。そして,廃止措置マインドの醸成も重要であり,廃止措置が廃棄物対策であると認識して,バックキャストで戦略を立てることもポイントである。

報告
  • (FNCA25周年記念イベント)
    直井 洋介, 太田桐 佳世子, 山田 勝己
    2025 年 67 巻 6 号 p. 338-340
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     原子力委員会では,アジア原子力協力フォーラム(FNCA)設立25周年記念イベントの一環として,次世代炉のセミナーを企画・開催した。加盟国の関心の高まりを受けて,SMRを含む次世代炉について,ベンダーと潜在的ユーザーが同じ場で発表を行い,情報・意見交換を行った。

     FNCAでは,12の加盟国が協力して,原子力科学・技術を利用して経済・社会の発展を図るため,さまざまなプロジェクト活動を行って来た。このような原子力技術の開発・利用協力を目的とするアジア地域中心の枠組みが25年間続いて来たことは,それ自体,大きな意義があると考えられる。

  • Kanokrat Tiyapun
    2025 年 67 巻 6 号 p. 341-345
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

      Thailandʼs Small Modular Reactor (SMR) deployment involves a multifaceted evaluation of technical, regulatory, economic, and sociopolitical dimensions. Technically, SMRs offer passive safety, modular scalability, and grid adaptability, aligning with Thailandʼs decentralized energy needs. However, challenges include supply chain localization, nuclear fuel management, radioactive waste disposal, and adherence to IAEA safety and non-proliferation standards. Public perception, influenced by historical nuclear concerns, risk communication gaps, and regulatory transparency, remains a key societal challenge. Political commitment, cost competitiveness, and energy integration for the Power Development Plan (PDP) are crucial for economic viability. Comprehensive risk-benefit analysis, national policy support, and stakeholder engagement are essential for a resilient and sustainable SMR deployment strategy.

  • 1,400名の文系層を含む2,000名の現役高校生と挑む大阪・関西万博参画への道筋
    中村 秀仁
    2025 年 67 巻 6 号 p. 346-348
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     2年間の準備期間を経て2023年春から一般の高校で,文系理系関係なく2,000名の現役高校生を対象に,放射線科学を通じて社会と対話する機会を継続的に設ける企画「Nプロジェクト」が始動した。インプットした放射線科学に関する学びを高校生自身が咀嚼し,公の場において自らが見知らぬ他人へ直接説明するというアウトプットの反復により学びを深化させている。その活動効果が,若者の自己肯定感の向上という形で現れてきた。

  • 国際動向と日本の取り組み
    近藤 寛子
    2025 年 67 巻 6 号 p. 349-353
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     フュージョンエネルギーは,持続可能なエネルギー供給を目指す次世代技術として注目を集めており,その産業化に向けた安全確保の取り組みが,日本を含む各国で加速している。国内外の急速な変化を背景に,日本の「フュージョンエネルギーの実現に向けた安全確保の基本的な考え方検討タスクフォース(TF)」の現状を紹介するとともに,IAEAの“Fusion Key Elements”や米国NRCの“Regulatory Framework for Fusion Machines”を基に,国際的な規制動向を考察する。また,TFでの議論を通じて示唆される柔軟かつ透明性の高い規制枠組みと社会的受容性を高める取り組みの必要性について論じる。その上で,フュージョンエネルギーの安全かつ持続可能な発展に向けた課題と展望を示す。

  • 青柳 和平, 尾崎 裕介, 早野 明, 大野 宏和, 舘 幸男
    2025 年 67 巻 6 号 p. 354-358
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     日本原子力研究開発機構は,幌延深地層研究センターの地下施設を活用した「幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project, HIP)」を開始した。本プロジェクトの主要な目的は,地層処分のための先進的な安全評価技術や工学技術に関わる研究開発の成果の最大化や,次世代の研究者/技術者の育成と知識の継承である。本報では,日本原子力学会「2024年秋の大会」におけるバックエンド部会の企画セッション「幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開」の流れに沿って,本プロジェクトの概要を紹介する。

  • 放射能に対する過度の恐怖が事故影響を過大化した
    若杉 和彦
    2025 年 67 巻 6 号 p. 359-363
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     2011年の東電福島原発事故は,放射能汚染と住民の長期避難や風評被害等を発生させ,国民の反原子力世論を強めた。しかし,各地の環境放射線は短期間に減衰し,健康に影響するレベルをはるかに下回ったことが実測されている。政府は住民避難を指示したが,福島県の要請により定められた長期除染目標1 mSv/yや放射能を恐れる当時の住民感情等により避難解除は大幅に遅れ,被ばくによる健康被害は認められなかったものの長期避難に伴う被害拡大を招いた。ここでは福島県各地の放射線測定結果から,住民の推定被ばくは事故後数週間で避難基準年間20 mSvを下回ったことを示し,早期の避難解除が可能であったことを提起する。この経緯を反省し,国民の放射線リテラシーのさらなる向上と,原発事故に対する合理的な理解を求めたい。

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