令和5年4月,わが国初の国家戦略として「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定した。世界的なカーボンニュートラルに向けた動きの中で,政府主導による科学的・技術的進展もあり,諸外国においては民間投資が増加しており,その活況な民間投資を受け,米国や英国等のスタートアップは,これまでの政府の計画よりも早い野心的な発電時期を目標に掲げ,研究開発競争を加速している。わが国においても,従来の国際熱核融合実験炉(ITER)計画/幅広いアプローチ(BA)活動からの原型炉開発というアプローチを強力に推進するとともに,フュージョンエネルギーを新たな産業として捉え,フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)の設立やスタートアップへの支援強化,ムーンショット型研究開発制度による挑戦的な研究開発の推進など,多面的なアプローチによりフュージョンエネルギーの実用化の加速を図っている。
この国家戦略を踏まえ,内閣府の核融合戦略有識者会議の下に「フュージョンエネルギーの実現に向けた安全確保の基本的な考え方検討タスクフォース」を設置し,約1年間にわたり議論を重ねた。この過程では,海外(米国,英国)や研究機関,J-Fusion等へのヒアリング及びパブリックコメントを実施し,国内における現在の法体系や過去の検討も踏まえ,令和7年3月25日に「フュージョンエネルギーの実現に向けた安全確保の基本的な考え方」を公表した。
本稿では,この「基本的な考え方」の概要と,最近の政府動向について解説する。
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