日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
30 巻, 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
特集1
  • 亀山 香織, 小野田 尚佳
    2013 年 30 巻 3 号 p. 163
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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  • 亀山 香織
    2013 年 30 巻 3 号 p. 164-167
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    甲状腺未分化癌では穿刺吸引細胞診での診断確定で治療が開始されることが多く,その細胞像を熟知しておくことが重要である。すなわち,壊死や好中球を背景に,異型の著明な細胞が集塊・あるいは散在性に観察される。細胞形態は様々で,扁平上皮への分化が窺われるものもある。組織像では,紡錘形細胞の目立つタイプ,巨細胞の目立つタイプ,扁平上皮への分化が目立つタイプなどに分類される。いずれも核異型は顕著で,クロマチンは濃染し,異常核分裂像が多数認められる。分化癌(乳頭癌,濾胞癌)と未分化癌が共存する例があるが,これは分化癌の未分化転化と考えられている。鑑別疾患としては第一に平滑筋肉腫をはじめとする肉腫があり,免疫染色が必要となる。
  • 伊藤 研一, 大場 崇旦, 家里 明日美, 岡田 敏宏, 花村 徹, 渡邉 隆之, 伊藤 勅子, 小山 洋, 金井 敏晴, 前野 一真, 望 ...
    2013 年 30 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    甲状腺未分化癌は発生頻度の少ないorphan diseaseであるが,甲状腺癌死に占める割合は高くその予後は極めて不良である。甲状腺未分化癌のほとんどは,分化癌から脱分化のステップを経て発症してくると考えられているが,未分化転化の機序も解明されていない。現在のTNM分類では,原発巣の状況と遠隔転移の有無でⅣA,ⅣBとⅣCに分類されているが,多くは診断時ⅣB以上である。本邦と海外で共通に報告されている予後因子としては,診断時の年齢,原発巣の広がり,遠隔転移の有無がある。本邦で設立された甲状腺未分化癌研究コンソーシアムでの世界に類をみない多数例の解析では,急性増悪症状,5cmを越える腫瘍径,遠隔転移あり,白血球10,000mm2以上,T4b,70歳以上が有意な予後不良因子であった。今後,新規治療戦略の開発とともに,未分化癌においても治療戦略に有用なバイオマーカーが同定されることが期待される。
  • 小野田 尚佳, 野田 諭, 柏木 伸一郎, 倉田 研人, 川尻 成美, 高島 勉, 石川 哲郎, 平川 弘聖
    2013 年 30 巻 3 号 p. 175-178
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    甲状腺未分化癌(ATC)に対する近年の化学療法や放射線療法の進歩により,集学的治療の一環としての手術療法の位置づけが変わってきている。本邦におけるATCに対する手術療法の詳細な検討は高い評価を受けており,これらを基にした甲状腺未分化癌コンソーシアム(ATCCJ)による多数例の全国集計結果によって,未解決のATCに対する手術治療の意義を明確化できる可能性が示されてきている。本稿では,ATCに対する手術治療の①目的,②適応,③タイミング,④切除範囲について最新の知見を基に解説した。周術期管理や手術デバイスなど直接手術に関連する事項だけではなく,画像診断,手術以外の治療手段,予後予測の進歩により,今後も手術療法の位置づけはさらに変化すると考えられ,現時点では個々の症例で手術療法の目的や適応理由を明確にしつつ症例集積を行って,客観的評価を繰り返し行うことが重要であると考えられた。
  • 東山 卓也, 宮内 昭
    2013 年 30 巻 3 号 p. 179-181
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    甲状腺未分化癌に対する標準的化学療法は未だ確立していないが,全身療法が必要であることは論を俟たない。アンスラサイクリン系,プラチナ系化学療法剤を中心に化学療法が行われてきたが結果は芳しくない。わが国ではEAPあるいはEP療法が事実上の甲状腺未分化癌に対する標準化学療法となっていたが,副作用が強く,生存率向上のデータもない。1990年代後半から臨床使用されるようになったタキサン系薬剤は副作用が少なく,外来での使用が可能でQOL向上にも役立つ。Weekly Paclitaxelの奏効例では長期生存例もあり,旧来の薬剤からタキサン系薬剤へのシフトがみられる。しかし奏効率はなお30%程度であり,血管増生阻害剤,分子標的薬などの新しい機序の薬剤の登場が待たれる。稀少疾患であり症例蓄積のために多施設参加の甲状腺未分化癌コンソーシアムの役割もますます重要となるであろう。
  • 中尾 吉孝, 松田 泰範, 下村 祥子, 鶴田 理恵, 柏木 伸一郎, 野田 諭, 小野田 尚佳, 平川 弘聖
    2013 年 30 巻 3 号 p. 182-186
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    進行が急激で予後が極めて不良である甲状腺未分化癌においては初診時から終末期を意識した対応が必要であり,早期からの緩和ケアチーム介入が求められる。当院における早期介入事例を通じ緩和ケアチーム介入によるプライマリチームとの関わり,患者・家族への対応について,多職種からなる緩和ケアチームの各職種の視点から記載した。緩和ケアにおいては身体的苦痛のみならず精神的・社会的苦痛,スピリチュアルペインといった全人的苦痛(トータルペイン)という観点からのアセスメント,対応による患者・家族に対する苦痛軽減を目指している。また緩和ケアチームというリソースが利用可能か否かに関わらずプライマリチームにも緩和ケアに関する基本的な知識が求められる。コミュニケーション・スキルを含めた緩和ケアに関して利用可能な情報についても記載した。
特集2
  • 福成 信博, 杉野 公則
    2013 年 30 巻 3 号 p. 187
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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  • 筒井 英光, 星 雅恵, 久保田 光博, 鈴木 明彦, 池田 徳彦
    2013 年 30 巻 3 号 p. 188-192
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    ハーモニックFOCUSは甲状腺手術を念頭に開発された超音波凝固切開装置である。先端部が小型で繊細な操作が可能であるため,術中,ほとんどの切開操作に使用できる。術者は,大部分の結紮操作から解放され,ドライな術野で手術が実施できる。結果として,FOCUSを使用すると,手術時間は短縮し術中出血量は減少する。本稿ではバセドウ病甲状腺全摘術を例に挙げて,われわれの実施している手術の工夫と要点について具体的に解説する。われわれはFOCUSの能力を最大限発揮するために,FOCUSを持ち替えない一連の操作を心がけている。また,FOCUSを少し捻り,ブレード先端で組織にかかる緊張をコントロールしながら凝固切開(twist-cut)している。ハーモニックFOCUSは,これからの甲状腺手術に欠かせない手術デバイスとして,大きく普及していくであろう。
  • 宮 章博, 宮内 昭
    2013 年 30 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    Vessel sealing system LigaSureは電気エネルギーと圧力により血管壁や周囲組織を変成させてシールし,切離が可能な装置である。縫合糸による結紮の代わりに使用され,体内に異物を残さない。手術時間の短縮や出血量の減少に貢献している。小型のハンドピースであるLigaSure Small Jawは,約2秒の短時間でシールが完了し,アゴの熱履歴が低く,周囲組織への熱拡散も最小限に抑えるような構造である。アゴ先端も改良され剝離操作もし易くなった。また,ブレードが内蔵されており切離もできる。これらにより,器具を持ちかえることなく組織の剝離・把持・シール・切離ができるようになった。甲状腺切除術においても手術時間の短縮や出血量の減少など,その有用性の報告がある。
  • 杉谷 巌
    2013 年 30 巻 3 号 p. 197-200
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    近年,筋電図電極を装着した気管内挿管チューブが開発され,甲状腺・副甲状腺手術の際の,反回神経の探査,同定,状態の監視および健全性確認を目的とした術中神経モニタリング(IONM)が普及してきた。ガイドラインが発行されるなど,手技の標準化が進むにつれて信頼性も向上しており,とくに術後反回神経麻痺のリスクが高い症例での有用性が認められている。反回神経喉頭外分枝から声帯運動枝を同定する場合や非反回下喉頭神経の分岐部同定,上喉頭神経外枝(EBSLN)の確認温存などに役立つうえ,反回神経麻痺の部位や原因を特定しうることで,手術手技向上につながる可能性もある。最近では,手術中に迷走神経を持続的に刺激する方法が報告されており,IONM反応が低下する瞬間をとらえることにより,反回神経損傷の危険を察知し,術後麻痺の危険を回避できるという。現在,保険適応外のため,使用コストが普及の壁となっており,近い将来の保険収載が期待される。
  • 杉野 公則, 長浜 充二, 北川 亘, 渋谷 洋, 大桑 恵子, 宇留野 隆, 鈴木 章史, 赤石 純子, 正木 千恵, 松津 賢一, 河野 ...
    2013 年 30 巻 3 号 p. 201-206
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    原発性副甲状腺機能亢進症のほとんどは単発性の腺腫で発症するが,わずかながら多腺病変も存在する。さらに術前画像診断による責任病巣の部位診断率も向上しているが,限界もある。これらを背景に手術成績をより確実にするものとして術中迅速PTH測定が導入され有効性も認められている。また,甲状腺全摘術後における低カルシウム血症の発症予測に周術期にPTH測定を用いることで入院期間の短縮が図られ患者のQOL向上にも貢献している。さらに永続的副甲状腺機能低下症の予防においても有用性が示唆されている。術中迅速PTH測定は海外では盛んに議論されているが,日本では導入している施設が少なく,議論されることも少ない。その有用性,問題点を紹介し,当院での取り組みも紹介する。
  • 石戸谷 滋人, 青木 大志, 櫻田 祐, 菅野 裕樹, 坂本 忍, 千坂 和枝, 小池 喜代子
    2013 年 30 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    泌尿器科医は内分泌外科領域の手術において,腹膜外アプローチを頻用してきた。副腎領域では,後腹膜をバルーンで拡張して操作腔を作成,後腹膜鏡下副腎摘出術を盛んに施行している。種々のエネルギー源(電気メス,超音波凝固切開装置,シーリングデバイス)を用いての低侵襲かつ安全な手技である。また,一部の施設ではさらに整容性に優れた“単孔式副腎手術”も行われている。前立腺手術では,レチウス腔を展開しての前立腺全摘術を施行している。出血し易いサントリニ静脈叢の処理にはバンチング操作で対応,勃起神経の温存操作では,ファインな手術器械を吟味して慎重な操作で臨んでいる。最近では手術支援ロボット「ダヴィンチ」(daVinci)を用いた“ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術”が急速に広まっている。
特別寄稿
  • 小野田 尚佳, 川尻 成美, 野田 諭, 柏木 伸一郎, 中村 雅憲, 高島 勉, 平川 弘聖
    2013 年 30 巻 3 号 p. 212-215
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    甲状腺未分化癌は,きわめて悪性度の高い疾患で,病状の急速な悪化により多くは診断後半年以内に不幸な転帰をとる。標準的治療法はなく探索的な集学的治療が行われているが,これまで科学的なエビデンスはない。最近タキサン系の抗癌剤を用いた治療法の有効性を示す報告が散見されており,われわれの施設では頭頸部癌に使用されている化学(放射線)療法を参考として治療している。一部の症例では集学的治療の局所コントロールに対する有用性が示唆されたものの,化学療法単独での効果は確認できなかった。現在,全国規模の医師主導多施設共同研究が行われている(UMIN ID 000008574)が,稀少な難治性の甲状腺未分化癌治療を発展させるためには,このプロジェクトのように各施設が連携し集学的治療,臨床試験,緩和医療を適切に提供するための準備が重要であると考えられた。
症例報告
  • 高橋 祐輔, 橋都 透子, 小松 誠, 樋口 佳代子
    2013 年 30 巻 3 号 p. 216-220
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    症例は56歳の女性。人間ドックの頸部超音波検査で甲状腺右葉に21×17×12mm大の被膜を伴う充実性腫瘍を指摘され,精査目的に当科紹介となった。穿刺吸引細胞診では,好酸性物質を入れ,核が偏在した印環細胞様の腫瘍細胞を認め印環細胞型甲状腺濾胞腫瘍を疑った。画像上,腫瘍の境界が一部不明瞭のため濾胞癌が否定できず甲状腺亜全摘切除術を施行した。病理組織検査では,腫瘍は多結節状で,被膜を有し,コロイドを入れた濾胞構造とともに印環細胞型の腫瘍細胞の増生を認めた。細胞質内の好酸性物質はサイログロブリン染色陽性,核はTTF-1陽性であり原発性腫瘍と診断した。明らかな血管浸潤の所見はなかったものの,腫瘍細胞の被膜浸潤を示唆する所見を認めた。以上の所見から印環細胞型甲状腺微少浸潤型濾胞癌と診断し,現在経過観察中である。本疾患は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する。
  • 田仲 由佳, 榎本 圭佑, 桝野 絢子, 榎本 敬恵, 長井 美樹, 武田 和也, 原田 祥太郎, 島津 宏樹, 今西 啓子, 伏見 博彰, ...
    2013 年 30 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    症例は69歳,男性。2年前に,近医で甲状腺腫を指摘され経過観察されていたが,サイログロブリン(Tg)が徐々に上昇し,甲状腺精査目的で当院に紹介受診となった。初診時の血液検査でTg 2,430ng/mLと異常高値を示し,超音波検査で2cm大の石灰化を伴う腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診の結果,濾胞性腫瘍が疑われ,甲状腺右葉切除を施行した。病理組織学的には微少浸潤型甲状腺濾胞癌であったが,術後に転移検索でCT・MRI・骨シンチ・PET/CTを行ったところ,前頭骨と胸椎に多発骨転移を認めた。すぐに甲状腺補完全摘を施行し,椎弓切除による減圧と椎体固定術を行った。また,放射線外照射とゾレドロン酸水和物の投与に加えて,131I内用療法を施行した。微少浸潤型甲状腺濾胞癌の骨転移症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
  • 野村 長久, 三好 和也, 西江 学, 岩川 和秀, 柳井 広之, 園部 宏, 田中 克浩
    2013 年 30 巻 3 号 p. 226-231
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    48歳男性。下行結腸癌の診断にて手術予定であったが,術前CTを契機に甲状腺乳頭癌との重複癌が判明した。結腸癌手術の2カ月後に甲状腺亜全摘+D2aを行った。病理組織結果は乳頭癌,pT3EX1N1M0 StageⅣAであった。術後10カ月,頸部CTにて頸部リンパ節腫大を認め,細胞診にてMalignantであった。甲状腺癌の頸部リンパ節転移を疑い,残存甲状腺摘出および右鎖骨上リンパ節を含む頸部リンパ節郭清を施行した。病理組織では,残存甲状腺にびまん性結腸癌転移を認めた。また,頸部リンパ節には結腸癌由来と甲状腺由来の転移の他に混合する組織像を呈する転移も認めた。術後,甲状腺癌に関しては内用療法を行い経過良好であったが,結腸癌転移は化学療法を行うも,新たな骨転移や縦隔リンパ節などの再発を認め,術後16カ月永眠された。甲状腺乳頭癌はリンパ節再発をきたしやすいが,重複癌の場合など,他のリンパ節転移の可能性も念頭に置いた治療指針の決定が重要であると考えられた。
  • 柴田 雅央, 日比 八束, 小川 貴美雄, 清水 佳美, 香川 力, 岩瀬 克己
    2013 年 30 巻 3 号 p. 232-236
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    胸腺様分化を示す癌(以下,ITET/CASTLE)は,甲状腺癌において稀な組織型で,術前診断が困難なことが多い。しかし,腫瘍の局在や細胞診所見よりITET/CASTLEを術前に鑑別の1つとして考慮することは可能である。今回,術前診断が困難であったITET/CASTLEの1例を経験した。文献的考察を加えて報告する。症例は64歳男性。頸部腫瘤を自覚し,当院へ紹介受診となる。頸部超音波検査にて,甲状腺右葉下極から尾側方向へ進展する4.2×4.6×2.9cmの腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診では,乳頭癌・濾胞性腫瘍とは異なる悪性細胞を認めた。FDG-PET/CTにて同部位に集積を認めたが,他の部位に悪性腫瘍を疑う集積はみられなかった。甲状腺右葉切除・頸部リンパ節郭清術を施行。右内頸静脈・右反回神経・食道筋層への浸潤を認めたため合併切除を行った。病理標本では異型上皮細胞が島状・索状に増生しており,厚い結合組織で分画されていた。CD5免疫組織染色で陽性を呈し,ITET/CASTLEと診断した。
  • 迫 裕孝, 増田 康史, 原田 俊平, 中村 緑佐, 秋岡 清一, 細川 洋平
    2013 年 30 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
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    症例は58歳,男性。近医にて頸部エコーを施行された際に,甲状腺左葉に1.5cm大の腫瘍が見つかり,精査のために当科に紹介された。甲状腺左葉に1.6×1.0cmの腫瘍を触知し,超音波検査で辺縁整,内部不均一な腫瘍が確認できた。穿刺吸引細胞診にて,濾胞性腫瘍と診断された。6カ月後の超音波検査で増大を認めたので,手術を勧め,甲状腺左葉切除術とⅠ~Ⅳ群リンパ節郭清術を施行した。術後の病理検査で髄様癌,4個のリンパ節転移と診断された。RET遺伝子検索を行うと,エクソン14にコドン804GTG(Valine)がATG(Methionin)にmissense変異していた。家族性髄様癌と診断して,残存甲状腺全摘術+左右のⅤ~Ⅶ群リンパ節郭清術を追加した。左右Ⅴリンパ節に転移を認めた。家族の検索では実弟と息子2名に同じ遺伝子変異を認めた。家族歴がなくても,髄様癌症例はRET遺伝子検索が必要と思われた。
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