日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
32 巻, 1 号
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目次
編集委員会
特集1
  • 山下 弘幸
    2014 年 32 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    “甲状腺癌に対する分子標的薬治療の最前線”という特集を組ませていただいたが,まずはこれに関する貴重な症例を簡単に報告する。患者は60代の男性で,他院で甲状腺乳頭癌の手術を受け再発を繰り返していた。来院時(2006年),頸部にリンパ節再発を認めた。放射性ヨウ素治療の準備中に急速に再発リンパ節が増大したために,両側頸部リンパ節転移の切除を行った。術前の検査で頸椎転移も指摘されたので,その病変にはノバリス照射を行った。その後,患者の強い希望があり,タイロゲン注射を用いた放射性ヨウ素治療も行った(当時日本では保険収載されておらず,韓国の医療機関に依頼)。TSH抑制だけでは腫瘍のコントロールができず,ノバリス照射にソラフェニブ(自費診療クリニックで輸入薬を処方)を併用した集約的治療を行ったが,最終的には多発脳転移などをきたして原病死した(2008年)。上記の治療は経済的な余裕がなければできなかったが,現在は保険診療が可能となり患者および医療者にとって福音である。甲状腺分化癌は一般的には予後良好であるが,上記の症例のように再発を繰り返す症例も存在する。外科切除不能で放射性ヨウ素治療の効果が期待できない症例では,TSH抑制下に経過観察するしか手段はなかったが,2014年7月より放射性ヨウ素抵抗性分化癌に有効な分子標的薬であるソラフェニブが保険収載され,治療の選択肢が増えた。当クリニックでは数名の患者にソラフェニブやバンデタニブ(現在も保険未収載)を自費診療クリニックに依頼して処方してもらっていたが,すべての患者で腫瘍縮小効果を認めている。しかし,分子標的薬は一般的に有害事象がよく出現するため,症例の選択と副作用の管理が非常に重要である。本特集では,進行再発甲状腺癌の治療―分子標的薬剤をどう使うか(伊藤康弘先生),甲状腺外科専門医の観点から考える甲状腺癌薬物療法(伊藤研一先生),そして甲状腺癌に対する分子標的薬の適正使用と副作用管理を抗がん剤治療に精通されている腫瘍血液内科の清田尚臣先生に,臨床に役立つ最新の情報を解説していただいた。有害事象の発生頻度の高い抗がん剤ではあるが,厳格な適応のもとにチーム医療として副作用の管理を行うことにより,根治切除不能の分化型甲状腺癌の予後の改善が期待できると総括したい。
  • 伊藤 康弘, 宮内 昭
    2014 年 32 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    放射性ヨウ素(RAI)治療抵抗性の再発甲状腺分化癌の治療は今まで甲状腺刺激ホルモン(TSH)抑制しかなかったが,最近,分子標的薬剤がこれらの患者のprogression-free survivalを有意に延長するという報告があり,すでにsorafenibが保険収載されている。しかしRAI抵抗性再発分化癌の予後は必ずしも悪くなく,有害事象(AE)が強く出る分子標的薬剤を安易に使うことが患者にとってよいことかどうかは多いに疑問である。再発巣の腫瘍量,短期間での病勢進行,サイログロブリン値の変化などを考慮し,症例を厳しく選択し,使用後も思わぬAEが起きることがあるので,頻回に検査データをチェックしていかなくてはならない。本稿は当院の経験を元に,分子標的薬剤の適応について述べた。
  • 伊藤 研一, 小野 真由, 大場 崇旦, 家里 明日美, 花村 徹, 伊藤 勅子, 金井 敏晴, 前野 一真
    2014 年 32 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    悪性腫瘍に対する薬物療法は,分子標的薬を軸とした戦略に急速に移行しつつある。進行再発甲状腺癌も例外ではなく,本邦でも2014年にソラフェニブが放射性ヨウ素治療抵抗性分化癌に対して保険収載され,進行再発甲状腺癌の治療も大きな転換点を迎えている。しかし,分化癌の放射性ヨウ素治療抵抗性の判断も含め,分子標的薬を「どのような症例」に,「いつから」導入するべきかの判断には,慎重であるべきと考えられる。患者に最大の利益を提供するためにも,甲状腺癌のbiologyを熟知した上での適応患者の選択と,治療によるbenefitとharmを十分に考慮した分子標的薬の適正使用が肝要である。また,放射性ヨウ素治療を適切に行うためには,適切な手術が施行されていることが大前提であり,甲状腺外科専門医の果たすべき役割は重要である。一方,進行甲状腺分化癌の治療では,腫瘍の局所での進行や未分化転化する可能性を念頭に治療を行うことも必要であり,診療にあたるチームが協力して,新規治療薬を「適切」な症例に「安全」に使用し,エビデンスを構築していくことが必要と考えられる。
  • 清田 尚臣
    2014 年 32 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    放射性ヨウ素治療(RAI)不応分化型甲状腺癌に対するソラフェニブの有効性が証明され「根治切除不能な分化型甲状腺癌」に対して適応追加された。一般的に,分化型甲状腺癌の進行は緩徐でRAI不応な患者の中でも治療開始時期の見極めが重要である。実際の治療に際しては,分子標的薬と殺細胞性抗癌薬との違いを十分に理解する必要がある。分子標的薬は殺細胞性抗癌薬に比べて骨髄抑制や嘔気・嘔吐などは少なく管理しやすい面もあるが,ソラフェニブであれば手足症候群・高血圧・たんぱく尿のような特徴的な副作用を管理する必要がある。有効性の面でも分子標的薬は静細胞的に効果を発揮することが多く,十分な治療効果を得るには特徴的な副作用を適切に管理し治療が継続できるよう工夫する必要がある。以上のような分子標的薬の特徴を理解して適正に使用するには,甲状腺癌診療においても多職種診療体制の整備が急務である。
特集2
  • 菊森 豊根, 松田 公志
    2014 年 32 巻 1 号 p. 18
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    褐色細胞腫は通常,狭義の副腎髄質原発腫瘍と,傍神経節由来の傍神経節腫(paraganglioma)を指して使用されている。比較的稀な腫瘍で,高血圧の精査の過程で発見される場合や,特有な臨床症状を認めずいわゆる偶発腫瘍として発見される場合が多い。カテコラミンを過剰分泌することが多く,術前から周術期にかけて特殊な対応が必要である。大部分が良性腫瘍であるが,一部に再発をきたしたり,発見時に周囲への浸潤,遠隔転移を認めるなど悪性腫瘍としての振る舞いをみせるものがある。そのような場合でもカテコラミン過剰状態を是正するために外科的な減量が必要になることなど通常のsurgical oncologyの方針とは大きく異なる。傍神経節腫は,副腎原発の狭義の褐色細胞腫と比較して,周囲への浸潤をしばしばきたし,悪性の頻度も高い。発生する部位が頸部から骨盤にわたり,影響を受ける臓器も多岐にわたる。合併切除が予想される臓器によって,協力を仰ぐ診療科も異なり,複数にわたる場合もある。それらの場合には,内分泌外科医,泌尿器科医は手術進行の指揮官としての役割を果たす必要がある。症例数も少なく一般臨床医が遭遇することは比較的稀だが,その中でも,今回は,①大きな腫瘍や大血管との関係が複雑で通常の腹腔鏡手術では困難な症例に対する後腹膜到達法での手術,②周囲臓器への浸潤を伴う腫瘍の手術,③褐色細胞腫クリーゼ症例の対処法,④再発をきたした悪性褐色細胞腫へのCVD療法と⑤MIBG療法を取り上げた。この特殊な病態に対する外科,薬物そして放射線治療の各専門家からの総説が今後の治療の参考になれば幸いである。
  • 星 昭夫, 寺地 敏郎
    2014 年 32 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    副腎腫瘍に対する腹腔鏡手術は標準術式として確立しており,主に経腹膜到達法が選択されている。しかし,径が大きい褐色細胞腫やパラガングリオーマに対する腹腔鏡手術は,通常の経腹膜到達法では手術が困難なことがある。これら困難症例に対し,われわれは後腹膜到達法による腹腔鏡手術を施行している。褐色細胞腫やパラガングリオーマに認める豊富な血管は主に背側から腫瘍に至る。特に径6cmを超える大径の腫瘍では腫瘍血管の発達が顕著で,この血管束を適切に処理してゆくことが安全な手術に重要である。後腹膜到達法ではこれら血管束を早い段階で処理でき,腫瘍血流を減少させつつ手術を行えるため,血管が豊富な大径の褐色細胞腫やパラガングリオーマに有用であると考えている。当科における手術手技と周術期成績を報告する。
  • 菊森 豊根
    2014 年 32 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    【はじめに】褐色細胞腫は大部分が良性とされ,術前・周術期の血圧,循環血液量管理を適切に行えば,腫瘍そのものの摘出はそれほど困難を伴うことはない。しかし,広義の褐色細胞腫に含まれる傍神経節腫はしばしば周囲臓器に浸潤し,合併切除が必要になることがある。また発生する部位が頸部から骨盤にわたり,影響を受ける臓器も多岐にわたる。浸潤が疑われる臓器に応じて異なる診療科に協力を依頼する必要があり,術前,周術期において特殊な管理を要する。【対象と方法】当科において2000年から2014年の間に行った褐色細胞腫初回手術129例中,術前画像検査で他臓器浸潤を疑われた10例を対象に診断方法,術式,特殊な対策などについてレビューした。【結 果】画像,病理診断から全例狭義の傍神経節腫と考えられた。右5例,左5例。浸潤が疑われた主な臓器は下大静脈,腎動脈,腎静脈,肝臓であった。1例が切除を術中断念した以外は,肉眼的治癒切除が可能であった。治癒切除できた症例のうち1例で再発をきたしたが,再手術後は健存である。【考察および結語】褐色細胞腫に含まれる傍神経節腫は周囲への浸潤がしばしばみられ,完全切除に困難を伴うが,治癒切除できれば,良好な予後が期待できる。また,非治癒切除にとどまったとしても,カテコラミン過剰による臨床症状の改善が期待できる。周囲臓器の合併切除を含めた積極的な治療方針が重要と考えられた。浸潤が疑われる場合,血行バイパスなどの準備や血管外科医・消化器外科医との連携など,周到に準備を整えておくことが,手術を安全に行う観点から重要と考えられた。
  • 谷川 剛, 山口 誓司
    2014 年 32 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    褐色細胞腫クリーゼはカテコラミン過剰放出により多彩な臨床像を呈し,発症急性期での診断が困難で,急激に全身状態が悪化しうるため適切な治療がなされなければ致死的となることもある内分泌緊急疾患である。急性期治療はまず薬物療法を行い,状態を安定させた後に手術による摘除を行う。薬物治療に抵抗性の場合は腫瘍切除が考慮されるが急性期の緊急手術はリスクが高く,治療成績向上のためには術前コントロールの成否が重要となる。当院では多臓器不全を合併した褐色細胞腫クリーゼを薬物療法に加え,持続血液透析濾過法(continuous hemodiafiltration;CHDF)によりカテコラミンを除去することで全身状態を改善させた後に待機的手術を施行し,救命しえた2例を経験した。いずれも手術による合併症を認めず,良好な経過をたどった。CHDFによる過剰なカテコラミン除去は内科的治療に抵抗する褐色細胞腫クリーゼの術前コントロールのための一つの有効な手段となりうる。
  • 田辺 晶代
    2014 年 32 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    悪性褐色細胞腫/傍神経節細胞腫は臨床経過が長期にわたる症例が多い。確立した治療法がなく根治例はごく稀である。治療目標はカテコラミン(CA)過剰症状のコントロール,progression-free survival(PFS)の延長である。CVD治療はcyclophosphamide,vincristine,dacarbadine併用による化学療法である。本治療の短期効果は腫瘍容積に対する完全あるいは部分奏効(CR/PR)が約50~80%,CA値に対するCR/PRが約50~80%と報告されている。効果持続は1~2年とされ,生存率の改善に寄与する証拠は得られていない。主な副作用は発熱,血管痛,消化器症状,骨髄抑制,肝機能障害であるが,多くは軽度から中等度である。CVD治療は悪性PPGLを“根治させる”治療であるとは言えない。しかし一部の症例ではPFS延長に有効であること,本邦では131I-MIBG治療が困難であることから,多くの施設ではCVD治療が抗腫瘍治療の第一選択となりうる。
  • 萱野 大樹, 稲木 杏吏, 若林 大志, 赤谷 憲一, 山瀬 喬史, 國田 優志, 絹谷 清剛
    2014 年 32 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    MIBG治療は手術不可能または悪性の褐色細胞腫に対して行われる放射線内照射療法であり,国内では数施設で治療が可能である。保険適応外治療であるため治療に要する費用は患者自己負担となる。放射性薬剤を用いた治療であるため,治療は放射線治療病室で行われ,治療後数日間は放射線治療病室で過ごさなければならない。放射線管理上の問題から,患者はADLがある程度自立していることが必須となる。重度の副作用は少なく比較的安全な治療であり,完治に至ることは稀ではあるが病状の軽減および増悪を抑える効果が充分に期待できる治療といえる。手術不可能または悪性の褐色細胞腫に遭遇した際には,早い段階でMIBG治療も治療選択肢の1つとして考慮していただければ幸いである。
症例報告
  • 福家 智仁, 山田 弘之, 福喜多 晃平, 金児 真美佳, 杉山 智宣
    2014 年 32 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    外傷などの誘因が明らかでない深頸部血腫の報告は散見されるが,副甲状腺が出血源であった例は稀である。2例の経験を報告する。症例1は血液透析中の82歳女性。頸部痛,前頸部腫脹を自覚し,画像検査にて甲状腺背側から上縦隔に連続する深頸部血腫が認められ,入院の上で保存的に加療したが軽快せず,緊急手術を施行。血腫中に確認された過形成副甲状腺からの出血と判明した。症例2は既往歴のない43歳女性。咽頭違和感,呼吸苦を自覚し,甲状腺背側に血腫が認められ,症状が増悪したため同日緊急手術を施行した。出血源の腫瘤を同定,摘出し病理診断にて副甲状腺腺腫と診断した。両者とも高Ca血症を伴っておらず,術前検査では出血源が断定しづらく,保存的加療には抵抗性で手術により治療,確定診断することができた。文献的考察を加え報告する。
  • 滝沢 宏光, 武知 浩和, 坂本 晋一, 住友 弘幸, 坪井 光弘, 中川 靖士, 丹黒 章
    2014 年 32 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    症例は70歳代の女性。3年前に甲状腺左葉の1.3cm大の粗大な石灰化腫瘤を指摘されていた。甲状腺の急速な腫脹に気付き来院した。甲状腺左葉に4cm大の腫瘤を指摘され,穿刺吸引細胞診で未分化癌が疑われた。胸部CTで両側肺に1cm大の結節を複数指摘され肺転移が疑われた。甲状腺全摘を施行し甲状腺未分化癌と診断確定した。術後weekly paclitaxelを開始しRECIST SDの効果を認め,5カ月後に肺結節増大と頸部再発巣出現によりPDとなるまでの間治療継続した。以後,TS-1,biweekly docetaxel,epirubicin/carboplatinによる治療行ったが,効果は得られなかった。5th lineとしてsorafenib内服を開始した。800mg/日内服でGrade 2の手足症候群を認めたため,400mg/日に減量した。内服開始2カ月後のCTでは肺転移,頸部再発巣ともに縮小を認めた。内服開始3カ月半後に頸部再発巣の急速増大により治療を中止し,術後16カ月半で永眠した。甲状腺未分化癌に対する有効な治療薬が限られる中,sorafenibはその一選択肢となる可能性が示唆された。
  • 小久保 健太郎, 林 昌俊, 栃井 航也, 丹羽 真佐夫, 高橋 啓
    2014 年 32 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    症例は65歳の男性。6年前に他院にて右腎癌に対して腎摘術を施行されており,以降経過観察をされていた。フォローアップ目的に撮影した全身のCT検査で甲状腺左葉に15mm大の腫瘍を認めたため当院を紹介受診した。頸部に母指頭大の腫瘍を触知し,細胞診で乳頭癌の可能性を指摘された。原発性甲状腺癌の疑いで甲状腺全摘術および左側頸部D2リンパ節郭清を施行した。術後の病理検査にて腎細胞癌の甲状腺転移と診断した。術後アキシチニブを内服し,甲状腺の手術後21カ月を経過した現在,無再発生存中である。腎細胞癌の既往のある患者で甲状腺腫瘍を認めた場合は,腎癌の転移を念頭において治療計画をたてる必要がある。
  • 會田 直弘, 上里 昌也, 白鳥 享, 宮澤 幸正, 松原 久裕
    2014 年 32 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/01
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    症例は69歳女性。主訴は眩暈,筋力低下,歩行障害。2年ほど前より眩暈,筋力低下を認め,近医にてパーキンソン症候群と診断され内服加療中であった。2011年2月,症状の増悪を認めたため前医を受診し,高カルシウム(Ca)血症とCT検査にて頸部腫瘤を指摘された。原発性副甲状腺機能亢進症が疑われ当院内科に紹介となった。内科にて薬物治療を試みたがCa値の低下は軽度であり症状の改善も認めなかった。その後当科紹介となった。頸部超音波検査にて副甲状腺癌が疑われ,2011年6月,甲状腺右葉切除+頸部リンパ節郭清術を施行した。病理所見にてリンパ節転移を伴う副甲状腺癌の診断を得た。Ca値は速やかに低下し,術後わずか1週間で歩行可能となった。術後2年4カ月無再発生存中である。原発性副甲状腺機能亢進症に高Ca血症を伴うことが多いが,内科治療抵抗性のものは積極的に副甲状腺癌を疑う。また,副甲状腺癌に伴う神経症状は稀であるが,手術により著明に改善しうることが示唆された。
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