日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
35 巻, 3 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
会告
目次
編集委員会
特集1
  • 伊藤 研一
    2018 年 35 巻 3 号 p. 151
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML
  • 西原 永潤
    2018 年 35 巻 3 号 p. 152-155
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    バセドウ病の薬物療法で最も用いられている抗甲状腺薬は,甲状腺ホルモン産生を十分抑制するが,投与患者の10%以上で副作用が出現する。そのため,投与開始時には副作用の可能性を必ず説明し,特に最初の2カ月は重症副作用を見逃さないように注意する。ここでは,本薬剤の選択と一般的な投与法,妊娠中(予定)の患者への配慮,治療法を変えるタイミング,抗甲状腺薬以外の治療に,焦点を当てていく。

  • 野口 靖志
    2018 年 35 巻 3 号 p. 156-161
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    バセドウ病に対する放射性ヨウ素内用療法は,手技が簡単でなおかつ安全な治療と考えられている。このためか,最近では治療手技のさらなる簡素化が進み,治療目標もただhypothyroidにすれば良いということになってしまった様である。しかし,この様な治療手技の簡素化や治療目標の単一化によって治療自身の安全性は本当に担保されるのであろうか。今回,ここに放射性ヨウ素内用療法の復習をするとともに,治療にあたり何を注意するべきか,なぜ手技の簡素化を行うべきでないか,治療にあたり何をするべきではないかについて述べ,解説する。

  • 松津 賢一, 杉野 公則, 伊藤 公一
    2018 年 35 巻 3 号 p. 162-166
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    バセドウ病の外科治療は,まだ他の治療法も補充療法もない時代に始まった。必然的に治療の目標は術後甲状腺機能正常となる寛解に置かれ,亜全摘が標準術式となった。その後,補充療法が確立されると全摘術が治療の選択肢に加わった。そして放射性ヨウ素治療,次いで薬物療法が導入されると外科治療の適応は明確に減少した。今日の外科治療の適応は薬物療法に対する副作用や抵抗性,難治性,早期に機能改善を得たい場合,圧迫症状を伴う大きな甲状腺腫,免疫学的改善を得たい場合など,ほぼ再発が許容できない症例に限定されてきた。これに伴って治療の目標は寛解から再発のない治癒に変わり,結果的に長らく行われてきた亜全摘術に代わって全摘術が標準術式になった。残された課題は外科治療特有の合併症をいかに減らすかに絞られてきており,近年では超音波凝固装置などのデバイスや神経刺激装置(NIM),あるいは内視鏡手術なども保険適応となっている。

  • 溝上 哲也
    2018 年 35 巻 3 号 p. 167-172
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    機能性甲状腺結節に対して,従来,我が国では手術が行われてきた。欧米では131I内用療法が広く行われており,近年は国内外でインターベンションが甲状腺にも応用されている。手術は最も確実で速やかな治療効果を得ることができる。131I内用療法は効果発現が緩徐であり結節の縮小も限定的であるが,十分量の131Iを投与することにより手術と遜色ない甲状腺機能亢進症の改善が可能である。インターベンションでは,経皮的エタノール注入療法が最も普及しているが,さらに有効性の高い熱焼灼療法(ラジオ波焼灼術,レーザー焼灼術,高密度焦点式超音波治療法など)が開発されている。これらの治療法は,手術に比して低侵襲で放射線被曝を伴わないが,熟練した高度の技術を要することもあり広く普及していない。各治療法には長所と短所があり,それぞれの症例,および結節の状態に応じて治療法を的確に選択する必要がある。

特集2
原著
  • 尾作 忠知, 杉野 公則, 田中 智章, 大宜見 由奈, 正木 千恵, ヘイムス 規予美, 赤石 純子, 友田 智哲, 鈴木 章史, 松津 ...
    2018 年 35 巻 3 号 p. 200-203
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    【緒言】甲状腺や副甲状腺に対する手術は現在比較的安全な手術とされており,入院期間も比較的短い。しかし一方で,術後出血は気管切開や死亡例などの報告もある重大な合併症である。今回,当院にて経験した甲状腺,副甲状腺疾患手術症例において止血術が必要となった症例に関して検討した。

    【対象と方法】対象は2012年1月~2016年12月までに当院で行われた手術症例9,553例中,気管皮膚瘻造設術,切開排膿術を除外した9,408例。年齢中央値51歳(10~93歳),男女比は男性1,808例,女性7,600例。術式別では甲状腺全摘術3,286例,甲状腺片葉切除術5,289例,その他(副甲状腺摘出,生検術など)833例。疾患別では悪性甲状腺腫5,900例,良性甲状腺腫2,138例,バセドウ病828例,その他542例。術後出血の危険因子として性別,年齢,BMI,術式,初回手術時の出血量,surgical energy deviceの有無,疾患,手術時間について検討した。

    【結果】9,408例中,止血術が必要となった症例は119例(1.26%)であった。死亡症例はなかった。性別の検討で男性1.9%,女性1.1%(p=0.046)と有意差を認めたが,年齢,BMI,術式,surgical energy device使用の有無,疾患別,手術時間別において有意差は認められなかった。

    【結語】止血術を要する術後出血の危険因子は性別のみであった。

症例報告
  • 青山 万理子, 滝沢 宏光, 坪井 光弘, 丹黒 章
    2018 年 35 巻 3 号 p. 204-207
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    橋本病急性増悪は,橋本病に急性炎症症状を伴う稀な疾患である。今回,亜急性甲状腺炎と鑑別が困難であった橋本病急性増悪の1例を経験したので報告する。症例は14歳,女性。2年前に学校検診で橋本病と診断された。1年10カ月前に甲状腺腫大増悪,頸部右側の圧痛を認めた。血液検査所見では,甲状腺機能正常であり,抗Tg抗体277IU/mL,抗TPO抗体246IU/mLと高値であった。白血球,CRPは正常値であり,赤沈の軽度亢進を認めた。亜急性甲状腺炎もしくは橋本病急性増悪が疑われ,NSAIDsが投与された。しかし,頸部疼痛が改善せずprednisolone(PSL)投与が開始された。治療中,疼痛部位は移動した。また,血液検査所見で自己抗体値が低下したため,亜急性甲状腺炎の可能性も否定できなかった。PSL投与後,症状は軽減したが,PSL漸減で疼痛が再燃し,PSL中止が困難であった。再燃を繰り返すことから橋本病急性増悪と診断した。PSLの離脱困難なため手術の方針となり,甲状腺全摘を行った。

  • 塚谷 才明, 加瀬 希奈, 米山 達也, 辻 志郎, 横山 邦彦, 道岸 隆敏, 吉崎 智一, 丹羽 秀樹, 今村 好章
    2018 年 35 巻 3 号 p. 208-213
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    Noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features(NIFTP)は2017年WHO分類に記載された甲状腺腫瘍の新しい疾患概念で,従来乳頭癌に分類されていた浸潤のない被包型乳頭癌,濾胞亜型をNIFTPと命名し境界悪性と位置づけた。今回術前のコア針生検,甲状腺超音波検査よりNIFTPの可能性を考え切除範囲を考慮し手術をおこなった1例を経験した。症例は66歳女性。超音波検査にて左葉に20mmの境界明瞭な低エコー結節を認めた。穿刺吸引細胞診は乳頭癌疑い,コア針生検は濾胞型乳頭癌であった。右葉には超音波検査,細胞診の結果より微小乳頭癌と思われる4mmの結節を認めた。左葉はNIFTPである可能性も考え,手術は診断と治療を兼ねて左葉切除のみおこない,右葉はactive surveillanceとした。左葉の術後病理診断はNIFTPであった。超音波検査上,良性を疑う被包化された結節において穿刺吸引細胞診で乳頭癌を疑う結果であった場合にはコア針生検をおこなうことで,ある程度診断の絞り込みが可能となり,方針決定の助けとなる。

  • 金城 秀俊, 又吉 宣, 安慶名 信也, 真栄田 裕行, 鈴木 幹男
    2018 年 35 巻 3 号 p. 214-218
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    73歳,女性。当院受診1週間前にインフルエンザに罹患した。4日前に咽頭痛が出現し,近医で咽頭後壁の腫脹を認めたために,咽後膿瘍疑いで当科紹介となった。

    初診時所見としては,呼吸苦や開口障害は認めなかったが,頸部腫脹・圧痛・嚥下痛を認めた。喉頭ファイバー検査では上咽頭から下咽頭にかけて後壁が全体的に腫脹し,粘膜下血腫の様な色調を認めたが,気道は開存していた。血液検査所見ではWBC:5,900/μl,CRP:5.36mg/dlであり,CTでは膿瘍を疑うような所見を認めなかった。咽後部の腫脹は血腫であると判断し,保存的加療で症状は軽快した。出血源は画像結果から甲状腺左葉の腫瘤からと判断し,待機的に腫瘤を含め甲状腺左葉切除術を行った。しかし,病理結果からは副甲状腺腺腫からの出血と判明した。

  • 下 登志朗, 鳥 正幸, 安野 佳奈, 吉留 克英, 安岡 弘直, 辻本 正彦, 秋山 一郎, 臼井 由行
    2018 年 35 巻 3 号 p. 219-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/19
    ジャーナル フリー HTML

    甲状腺癌は脳転移をきたした場合,予後半年から1年とされる。甲状腺脳転移へ集学的治療後のSorafenibにて長期病勢抑制が得られた1例を経験した。60代男性。肺転移を伴う甲状腺癌に甲状腺全摘,頸部リンパ節郭清D2aを施行。病理結果は乳頭癌T3Ex1N1bM1 stageⅣC。内用療法を各100mCiで6回施行。術後4年8カ月で意識障害,構音障害,右不全麻痺を契機に多発脳転移と診断。2か所の転移巣を摘出し改善を得た。残存脳転移巣は術後Lenvatinibにて縮小したが術後4カ月で症候性てんかんと視野障害が出現。残存脳転移巣増大あり全脳照射を実施,照射後にSorafenibを開始した。徐々に縮小しSorafenib開始から約2年でPartial response(PR),肺転移もPRを維持。Sorafenibは減量したが継続投与でき脳内出血などの副作用も認められない。

内分泌外科専門医 過去の出題例と解説
Editorial Managerでの論文投稿方法について
投稿規定
規約
編集後記・奥付
feedback
Top