日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Print ISSN : 2186-9545
35 巻 , 4 号
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会告
巻頭言
目次
編集委員会
特集1
  • 羽渕 友則
    2018 年 35 巻 4 号 p. 231
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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  • 山﨑 有人, 中村 保宏, 佐藤 文俊, 笹野 公伸
    2018 年 35 巻 4 号 p. 232-239
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    副腎皮質癌,褐色細胞腫は副腎に発生する悪性腫瘍であり,専門性の高い診療,病理診断が求められる領域である。WHO分類2017の刊行により,副腎皮質癌では好酸性細胞型亜型,肉腫様亜型,粘液型亜型の3つが新たな組織亜型分類として認識されるようになり,褐色細胞腫では全ての症例において悪性のポテンシャルを有する腫瘍と定義付けられた。それに加え,副腎皮質癌ではENSATの診療ガイドライン(2018)が改訂され,診療方針の変遷が注目されている。近年,副腎腫瘍の領域においても病態発生に関与する遺伝子変異が数多く報告されてきているが,副腎皮質癌では治療標的因子や予後因子となるような遺伝子異常は未解明なままである。一方,褐色細胞腫ではここ数年で,病態に関与する遺伝子異常が数多く発見され,genotypingの重要性が注目されてきている。本稿では,副腎皮質癌と褐色細胞腫・傍神経節腫に焦点を当てて,両疾患における病理・病因の最新の知見を概説する。

  • 今本 敬, 市川 智彦
    2018 年 35 巻 4 号 p. 240-246
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    褐色細胞腫は治癒可能な内分泌性高血圧と位置づけられる一方,悪性腫瘍のリスクが極めて高い。約10%を占める悪性褐色細胞腫は早期診断法および確立された治療法のない希少難治性がんである。腫瘍の残存,転移には化学療法,核医学治療などを組み合わせて多角的な治療が行われるが,確実に有効な治療法はない。手術可能な症例は比較的良好な予後が期待できるため,可能な限り外科的に腫瘍を摘出し,手術不可能となった段階で集学的治療を行う。以前は2.9~3.9%の手術関連死があったとされるが,局在診断の進歩,薬物療法,麻酔管理の発達とともにその安全性は急速に上昇した。これにはα遮断薬の使用による血圧と循環血液量のコントロールが大きく寄与したとされる。カテコラミンの生理学的作用を理解し,術前・術後管理に精通すれば大きな合併症を招くことは少ないと考えられる。

  • 宮川 康, 北風 宏明, 野々村 祝夫
    2018 年 35 巻 4 号 p. 247-250
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    副腎皮質癌は,極めて予後不良の稀な内分泌癌である。診断時,70%の症例で既に副腎外への遠隔転移を認め,60%の症例は腫瘍から過剰に産生される副腎皮質ホルモンによる随伴症状や合併症を呈する。すなわち,コルチゾール過剰によるクッシング症候群,アルドステロン過剰による原発性アルドステロン症,性ホルモン過剰による副腎性器症候群,男性化・女性化兆候などを呈し,これらに留意した周術期管理のもとに外科的に完全切除を行うことが最重要である。手術は開腹による広範切除が原則である。症例によっては腹腔鏡下手術も選択できるが,熟練した外科医が施行することが条件となる。副腎腫瘍の手術実績を十分に有し,副腎皮質癌の診療体制の整った医療施設での治療が推奨される。

  • 田辺 晶代
    2018 年 35 巻 4 号 p. 251-254
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    悪性褐色細胞腫/傍神経節細胞腫の根治治療は未だ存在しない。再発,転移例の治療目標は,カテコラミン過剰症状による症状,転移巣の局所症状をコントロールし,ADLを保つこと,死因となる心不全発症を遅らせることである。多発転移を有する例でも手術による腫瘍容積の減少はカテコラミン過剰の是正に一定期間有効である。手術困難例では全身的治療である化学療法(CVD療法),131I-MIBG治療を考慮する。カテコラミン合成阻害薬であるMetyrosineは本邦における臨床試験が2017年に終了し製造販売承認の申請中である。近年海外ではチロシンキナーゼ阻害薬,免疫チェックポイント阻害薬による治療が試行されているが効果は未確定である。対症療法として骨転移には骨折予防,疼痛緩和のため放射線外照射を併用する。重症の慢性便秘には非選択的α受容体遮断薬を用いるが本邦で使用できる非選択的α受容体遮断薬は静脈投与製剤であるPhentolamineのみである。

  • 若林 大志, 稲木 杏吏, 廣正 智, 森 博史, 渡辺 悟, 山瀬 喬史, 赤谷 憲一, 萱野 大樹, 絹谷 清剛
    2018 年 35 巻 4 号 p. 255-258
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    手術不可能あるいは遠隔転移や局所再発を繰り返す悪性褐色細胞腫の治療として,131I-metaiodobenzylguanidine (MIBG)による内照射療法が行われる。131I-MIBGの腫瘍集積は極めて選択的かつ特異的であり,欧米では30年近い治療経験が蓄積されている。一方で,国内では放射線管理にかかる諸問題があり利用は限られていた。近年,悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマに対する低用量131I-MIBG治療の多施設共同研究が先進医療Bとして実施され,2017年度には131I-MIBG治療の薬事承認取得を目的とした企業治験が国内で開始されるなど,131I-MIBG治療が我が国でも広がりつつある。本稿では131I-MIBG治療の現況と展望を紹介し,内照射療法の普及がよりいっそう進むことを期待する。

  • 湯浅 健
    2018 年 35 巻 4 号 p. 259-261
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    副腎皮質癌(adrenocortical carcinoma)は非常に稀な癌で,治療に関しては,外科的切除が最も有効であり,遠隔転移症例など切除不能例の予後は不良である。本稿では,薬物療法において唯一承認されているミトタンを中心に,実際の投与法や,抗癌剤との併用療法などを記す。様々な分子標的薬を用いた治験が行われているが,現時点では順調に進行しているとは言えない。今後は,希少癌であるが,単一疾患として捉えずに,遺伝子変異や蛋白質発現などをもとに適確に分類し,薬剤開発にあたる必要があるのではないかと考える。

特集2
  • 伊藤 公一
    2018 年 35 巻 4 号 p. 262
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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  • 竹内 靖博
    2018 年 35 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    頻度の高い原発性副甲状腺機能亢進症では高齢患者が増加しており,非手術例に対しては単に経過観察とするのではなく,内科的治療を考慮する必要が高まっている。主な内科的治療はビスホスホネート薬による骨粗鬆症治療とシナカルセトによる高Ca血症治療である。

    副甲状腺ホルモン分泌不全性副甲状腺機能低下症では,従来の活性型ビタミンD薬に加えて,より生理的な治療法である遺伝子組換えヒト副甲状腺ホルモンの自己注射療法が検討されている。

    甲状腺癌術後のTSH抑制療法では,軽度の甲状腺ホルモン過剰により骨粗鬆症が進展する。そのため,骨折リスクが上昇することが明らかにされており,長期的な視点から,骨粗鬆症対策が重要な課題となっている。

  • 吉原 愛
    2018 年 35 巻 4 号 p. 268-271
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    妊娠が成立すると,胎児の発達,特に脳神経系の発達に甲状腺ホルモンが必要となることが知られている。脳神経系の発生は妊娠5~6週より始まり,胎児甲状腺が完成するまでの間は,母体の甲状腺ホルモンに依存することとなる。母体のT4は胎盤を通過し,妊娠前よりLevothyroxine(LT4)よる甲状腺ホルモン補充療法を受けていた例(甲状腺手術後など)では,甲状腺ホルモンの需要が増すため,非妊娠時の補充量の30~50%程度の増量が必要になることが多い。

    妊娠中の甲状腺機能評価の際には,基準値が非妊娠時と異なり,妊娠週数に応じて変化することに留意する必要がある。したがって,妊娠時の甲状腺機能評価にはTSH,FT3,FT4値を用い,甲状腺機能低下症に対する補充療法ではTSHを指標,甲状腺機能亢進症の抑制療法ではTSHおよびFT4値を指標に薬剤調整を行う。

    近年,FT3,FT4が正常でTSHが高値である潜在性甲状腺機能低下症の場合でも流早産との関連性が指摘された。今後さらなるエビデンスの蓄積が必要である。

    また,内分泌外科医が遭遇する妊娠女性にバセドウ病術後患者が想定され,TSH受容体抗体(TRAb)高値による新生児バセドウ病への留意が必要な場合がある。当院で行っている甲状腺機能管理を紹介する。

  • 渡邊 奈津子
    2018 年 35 巻 4 号 p. 272-276
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    Basedow病に対する外科治療はホルモン産生の場である甲状腺組織をなくし,甲状腺腫による圧迫を解除し,TRAb値によらず機能を正常化でき,かつ抗原でもある甲状腺組織の速やかな消退によりTRAb値は術後徐々に低下し甲状腺特異的自己免疫異常の改善も期待できる大きな利点がある。抗甲状腺薬の副作用,治療抵抗性,寛解困難で大きい甲状腺腫,併存症のため機能正常の確実な維持を要す,腫瘍性病変の合併,活動性眼症,TRAb値が高く早期の妊娠を望む症例が適応となる。手術日をもって確実に甲状腺機能が改善するため,社会的背景などから早期寛解を要す場合も外科治療はよい適応となる。再発回避,TRAb値改善の点から術式は亜全摘術より全摘術がよい。抗甲状腺薬の副作用例ではヨウ素薬・副腎皮質ステロイド薬などを組み合わせ,甲状腺機能を適切にコントロールすること,大きい甲状腺腫による気道狭窄例では遅延なく手術をすすめることが必要である。

原著
  • 渡邉 佳紀, 田中 信三, 平塚 康之, 吉田 尚生, 草野 純子, 森田 勲, 松永 桃子
    2018 年 35 巻 4 号 p. 277-281
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    甲状腺未分化癌は急速に進行する極めて予後不良な悪性腫瘍である。発生が少なく,これまで治療の確立が困難であった。本邦では甲状腺未分化癌コンソーシアムによる解析から多くの情報がもたらされ始めた。また分子標的薬Lenvatinib(以下,LENV)が保険収載され,新たな治療手段として注目されている。今回われわれは,当科で初回治療した甲状腺未分化癌の治療成績から,当科での今後の治療方針を再考した。対象は,2006年から2016年までの11年間に当科で初回治療を行った12例。診療録調査。結果は,男女比6:6,平均年齢76歳,観察期間中央値176日,初診時に42%の例で遠隔転移があった。治療は,手術単独:1例,手術+化学放射線療法:3例,手術+LENV:2例,化学放射線療法:2例,LENV単独:2例,無治療:2例であった。生存期間は29から574日(中央値176日)で,手術を行った群で中央値320日,術後追加治療を行った例で中央値338日と長かった。LENV導入4例のうち3例では,外来通院で加療継続でき,手術後にLENVを導入した群で生存期間中央値456日と長かった。全例原病死であったが,手術の介入にて局所・頸部の制御ができた例では生存期間は長かった。遠隔転移の有無に関わらず,局所・頸部の制御を目的とした積極的な手術介入と薬物療法を含む術後追加治療にて生存期間延長が期待できる可能性が示唆された。

症例報告
  • 金井 敏晴, 大場 崇旦, 伊藤 勅子, 前野 一真, 伊藤 研一, 玉田 恒
    2018 年 35 巻 4 号 p. 282-287
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    乳腺扁平上皮癌は乳癌の特殊型に分類される稀な疾患である。術前化学療法中に急速増大した混合型乳腺扁平上皮癌で,切除検体の免疫組織染色で乳管癌成分の消失と扁平上皮癌成分の増大を認めた1例を経験したので報告する。症例は78歳,女性。左乳房CD領域に6cm大の腫瘍と腋窩リンパ節転移を認め,針生検で乳管癌成分を伴う混合型扁平上皮癌,Stage ⅢBと診断された。術前化学療法としてパクリタキセルを開始し,腫瘍は速やかに縮小したが,その後急速な再増大を生じたため,左乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術を施行した。摘出標本の病理組織所見は扁平上皮癌,Triplenegative typeで治療開始前に認められていた乳管癌成分はほぼ消失していた。術後9カ月経過し,現在まで再発は認めていない。乳腺扁平上皮癌は,薬物療法は通常型乳癌より効果に乏しいとされ,効果的な治療法は確立されていない。今後も厳重な経過観察が必要である。

  • 大石 一行, 澁谷 祐一, 大谷 悠介, 高畠 大典, 松本 学, 岩田 純, 大平 咲
    2018 年 35 巻 4 号 p. 288-293
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    症例は75歳男性。前医CTで甲状腺左葉に腫瘍を指摘され,精査目的に当科を受診した。頸部超音波検査で左葉下極に最大径1.5cm大の腫瘍を認め,濾胞性腫瘍を疑い施行したFNAでは,慢性甲状腺疑いであった。頸部単純CT検査では腫瘍辺縁はリング状に低吸収,内部は等吸収で均一,頸部MRI検査では脂肪抑制T1強調像でリング状低信号を呈し,腫瘍辺縁は脂肪成分の存在を疑った。腫瘍径は小さかったが診断兼治療目的に左葉部分切除術を行った。病理組織学的検査で脂肪腺腫と最終診断した。甲状腺脂肪腺腫は間質に脂肪組織が混在する腫瘍で,濾胞腺腫の一亜型とされ,非常に稀である。脂肪腺腫は症例により脂肪量は様々だが,本症例では脂肪含有率が5割程度あり,術前画像検査により脂肪成分の存在を疑うことが可能であった。稀な一例であり文献的考察を含めて報告する。

  • 宇野 敦彦, 浜口 寛子, 青木 健剛, 野澤 眞祐, 北村 貴裕, 嶋田 琢磨, 山本 佳史
    2018 年 35 巻 4 号 p. 294-298
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/15
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    症例は60歳代の男性,頸部に限局した甲状腺未分化癌に対し,手術と術後化学放射線治療を行ったが,術後半年で多発肺転移が明らかとなった。レンバチニブの短期の投与で効果がみられたが,慢性腎不全のため継続できなかった。本人,腎臓内科医らとの協議の上,透析導入後にレンバチニブを再導入した。休薬をはさみつつも内服が継続できている間は,腫瘍増大は抑制されていたが,副作用のため長く休薬すると増大した。肺転移出現後21カ月,透析導入後17カ月にわたり生存し,維持透析には全て自力で通った。レンバチニブの副作用として,透析導入前は蛋白尿,低蛋白血症,腎機能低下,透析導入後は,疲労感,嚥下困難感,体重減少が主であった。腎機能障害のある患者に,抗腫瘍効果は期待できるが腎毒性のある薬剤をどのように使用するかは画一的でない。本症例は透析導入後のレンバチニブ治療が効果的であったと考えた。

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