日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
38 巻, 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
会告
目次
編集委員会
特集1
特集2
原著
  • 田中 克浩, 三上 剛司, 岸野 瑛美, 齋藤 亙, 小池 良和, 野村 長久, 山本 裕, 紅林 淳一
    2021 年 38 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/27
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    目的:バセドウ病全摘術におけるリガシュアsmall jawの有用性を検討した。対象と方法:2015年1月から2019年12月までに当科で甲状腺全摘術を施行したバセドウ病患者を対象とし,患者背景,術中・術後の因子に与える影響を検討した。結果:対象患者は60例であり,男性13例,女性47例であった。リガシュア使用例(L群),非使用例(N群)は各30例であった。男女比,手術時年齢,術前甲状腺機能の分布は両群で有意差を認めなかった。手術時間の中央値はL群が149分,N群が197分であり有意にL群で短く(p<0.05),切除甲状腺重量と術中出血量は両群に有意差は認めなかった。しかし切除重量当たりの出血量(出血/切除重量比)はL群で1.13,N群で2.37であり,有意にL群で低かった(p<0.05)。術後の因子には有意差を認めなかった。結論:バセドウ病全摘術におけるリガシュアの使用は手術時間の短縮と切除重量当たりの出血量の減少を有意にもたらし有効であった。

症例報告
  • 和田 雅孝, 黒川 貴則, 細井 勇人, 金子 行宏, 本原 敏司
    2021 年 38 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/27
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    症例は33歳男性。2年前から前頸部に腫瘤を自覚していたが放置していた。増大傾向を認めたため,近医を受診し当科に紹介された。前頸部に突出する15cm大の腫瘍を認め,US・CTでは巨大囊胞が主体で,内部に充実部を伴っていた。MRIでは部分的に囊胞内出血を示唆する所見を認めた。囊胞形成を伴う甲状腺乳頭癌を疑い,甲状腺全摘術・頸部リンパ節郭清を行った。病理組織所見では異型細胞が乳頭状,濾胞状構造をとって増殖する甲状腺乳頭癌の所見で,リンパ節転移を認め,感染や未分化転化は認めなかった。MIB-1 indexは10.19%であった。術後経過は良好で,術後14日目に退院し,現在外来にて経過観察中である。比較的高い増殖能を有し,巨大囊胞を形成した甲状腺乳頭癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。

  • 村山 大輔, 高 賢樹, 橋都 透子, 三島 修
    2021 年 38 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/27
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    症例は73歳女性。高血圧の既往あり。右上腹部痛にて前医を受診,CTにて後腹膜腫瘍を認め,精査目的に当院に紹介となった。腹部造影CTでは右腎下部に32×20×37mm大の境界明瞭な腫瘤を認めた。辺縁の造影効果を認めた。超音波内視鏡像は多房性で血流を伴い,MRIではT1強調像で低信号,T2強調像では高信号を呈した。FDG-PET/CTでは腫瘍部にSUVmax8.3の不均一な集積,MIBGシンチグラムでも腫瘍に一致した集積を認めた。ドパミンは血中,尿中ともに基準値の3倍以上であった。以上から,後腹膜原発機能性paragangliomaと診断し,腹腔鏡下後腹膜腫瘍切除を行った。周術期問題なく,術後第4病日で退院し,術後1年時点で血中ドパミンの上昇は無く,再発なく経過している。組織学的には腫瘍細胞のsynaptophysin陽性,CGA陽性を認め,S-100陽性支持細胞が確認された。細胞質内には鉄染色陰性の黒褐色の顆粒(pigment)を認め,病理診断はpigmented paragangliomaとした。極めて稀な疾患であるため文献的考察を含めて報告する。

  • 山田 弘之, 福家 智仁, 金児 真美佳, 小林 大介, 澤 允洋, 平田 智也, 矢花 正
    2021 年 38 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/27
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    側頸部リンパ節に甲状腺癌を認める場合,通常は甲状腺癌からの転移と診断されるが,稀に甲状腺に原発部位を同定できないことがある。この病態は従来lateral aberrant thyroid cancerと呼称されていたが,微小な甲状腺癌からの頸部転移か,リンパ節内に迷入した甲状腺組織からの癌化なのか論点となっている。

    左頸部リンパ節腫大を主訴とした71歳女性の症例を紹介する。穿刺吸引細胞診で腺癌が疑われたが,甲状腺を含め原発巣を特定しえなかった。頸部郭清術を施行した病理診断で甲状腺乳頭癌と判明したが,甲状腺に明らかな原発巣を特定できず甲状腺の追加切除は行わなかった。既報告では,甲状腺の追加切除を推奨するものが多いが,その是非に関しては異論もある。

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