多糖分解物 (分枝デキストリン, グアーガム分解物, キシログルカン分解物) の水溶液を調製し, 各温度における粘度を測定するとともに, カラギーナンゲルに多糖分解物を添加し, ゲルの性状を調べ, その有効性について検討を行った。
(1) 各溶液の各温度における粘度は, いずれも低粘度で, 温度による変化も見られず, 各種食品への広い用途が示唆された。
(2) カラギーナンゲルに添加してその硬さを調べたところ, いずれの種類も硬さを上昇させることが認められた。また, これを3℃で180分放置後, 離水率を測定したところ, 同様に多糖分解物を添加することにより, 離水を抑制することが認められた。
(3) 凍結解凍したカラギーナンゲルの硬さは, 多糖分解物を加えることにより硬さの減少を抑制することができた。この場合の離水率は, 大きく抑制さ礼特にグアーガム分解物が顕著であった。
(4) 多糖分解物を添加したゲルの組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ, いずれもゲルの網目構造がやや太くなり, 緻密になっていることが認められた。これらのことより, 多糖分解物はカラギーナンゲルに作用し, ゲル組織を強固にし, 保水性が付与されて安定化するものと考えられた。
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