日本食品保蔵科学会誌
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25 巻, 5 号
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  • 安田 和男, 堂ケ崎 知格, 西島 基弘
    1999 年 25 巻 5 号 p. 201-207
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    キダチアロエ, アロエベラおよびアロエアフリカーナの葉皮部および葉肉部の熱水およびアルカリ抽出画分について, 糖含量の測定およびマイトジェン活性試験を行いその活性物質の検索を行った。また, 抗腫瘍活性についても調査した。
    (1) 熱水0.1M NaOHおよび0.5M NaOH溶液により抽出した画分のうち, 6画分がマイトジェン活性を示した。
    (2) これら活性を示した6画分を除タンパクしたもののうち, キダチアロエ葉皮の熱水抽出非透析性画分 (KS-F2) およびアロエアフリカーナ葉皮の熱水抽出非透析性画分 (AS-F2) に強いマイトジェン活性が認められた。このことからこれらの活性は多糖部分にあることが示唆された。
    (3) 糖含量は中性糖が最も多く, 次に酸性糖が多かった。タンパク質含量から, 活性画分は糖とタンパク質の複合体であることが示唆された.
    (4) sarcoma180固型腫瘍に対する抗腫瘍活性は, 特に認められなかった。
  • 壇 和弘, 永田 雅靖, 山下 市二
    1999 年 25 巻 5 号 p. 209-213
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    カットレタスにおける酵素的な褐変に関する知見を得るために, カットレタスを5℃, 10℃, 15℃, 20℃空気下に貯蔵し, 貯蔵中における組織の褐変, フェノール性物質含量, 褐変物質の生成に関与する酵素フェニルアラニンアンモニアリアーゼ (PAL) およびポリフェノールオキシダーゼ (PPO) 活性の変化を調査した。
    組織褐変の進行は貯蔵温度に極めて影響を受け, 高温条件下では組織の褐変が著しく促進された。褐変物質生成の最終段階に関与していると考えられるPPOの活性はいずれの温度区においても貯蔵期間を通して顕著な変化は認められなかった。一方, PAL活性は貯蔵開始後, 急激に増加した。また, 活性増加の速度は貯蔵温度が高いものほど速かった。
    以上の結果より, カットレタスにおける褐変物質の生成は, 切断傷害によるPPOと基質であるポリフェノール類の細胞内局在性の喪失が前提ではあるが, PAL活性の増加による基質ポリフェノール類の生成が律速因子になっていると推察された。
  • 角田 潔和, 星隈 明子, 金内 誠, 進藤 斉, 吉沢 淑, 小泉 武夫
    1999 年 25 巻 5 号 p. 215-220
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    酵母の生産する新規な抗酸化物質を得ることを目的に2250株の野生酵母と実用酵母の中から菌体外に抗酸化物質を多量に生成する菌(AN231) をスクリーニングした。AN231を同定したところPichia ohmeriであった。本菌の抗酸化物質生産のための培養条件は, グルコース2%, 酵母エキス1%, ポリペプトン1%とした培地を用い, 30℃, 5日間, 振とう培養を行うことにより抗酸化物質が最も多く生産された。得られた培養濾液から限外濾過, 酢酸エチルによる抽出, TLCによる分画を行い, さらに2次元TLCにて精製を試みた。この結果, 得られた単一スポットから高い抗酸化活性が認められ, フェノール化合物であることが明らかとなった。また本物質は培養液1lから56mgの精製物が得られた。さらに既知の抗酸化物質との比較では合成抗酸化物質であるBHAやBHTに対してやや劣るものの, α-TOCやアスコルビン酸より高い活性を示した。また, 40℃, 11日間の保存においても活性の低下はみられなかった。
  • 寺井 弘文, 加納 麻記, 水野 雅史, 土田 廣信
    1999 年 25 巻 5 号 p. 221-227
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    収穫後のブロッコリー小花の黄化を遅らせる目的で, 20℃貯蔵に先だって空気中で45, 50, 55℃の高温処理が1~5時間行われた。50℃, 2時間や3時間の高温処理は緑色や品質保持について, その他の処理区より効果的であった。50℃で1, 2, 3時間処理しその後20℃で貯蔵したところ, 小花のクロロフィルの減少や炭酸ガスおよびエチレンの生成の増加は1時間処理のクロロフィルの例外を除いて抑制された。その抑制の程度は処理時間の長さに応じて増加した。貯蔵中の1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸 (ACC) の含量について, 無処理や50℃1時間または2時間処理の小花では同程度増加したが, 3時間の高温処理はその増加を遅らせた。貯蔵中のACC酸化酵素の活性は無処理や50℃1時間処理で顕著に増加し, 2時間処理がそれに続いた。これらの酵素活性は最大値に到達後すばやく低下した。しかし, 3時間の高温処理の小花では, その活性は貯蔵中ほとんど検出されなかった。これらの結果から, 50℃の短時間処理はACCのエチレンへの変換を阻害してエチレン生成を抑制し, それがブロッコリー小花の黄化を遅らせる要因となったものと考えられた。
  • (Phospholipase Dのホスファチジル基転移能に関する研究第2報)
    渡部 俊弘, 佐藤 広顕, 中澤 洋三, 相根 義昌, 小嶋 秩夫, 高野 克己
    1999 年 25 巻 5 号 p. 229-237
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本論文では起源の異なるPhospholipase D (PLD) のホスファジル基転移能を比較し、さらにその電気泳動法による解析、そして先に報告された全アミノ酸配列を比較・検討した。
    キャベツの葉から精製されたPLDのホスファジル基転移能はStreptomyces chrornofuscus PLDよりも高かった。キャベツの葉から精製されたPLDはnondenaturing PAGEおよびSDS-PAGE上で単一であった。しかし、Streptomyces chrornofuscus のPLDは、nondenaturingPAGEおよびSDS-PAGEにおいていくつかのバンドを与えた。この結果はStyeptornyces chromofuscusPLD標品にはいくつかのポリペプチドの会合によって形成されたいくつかのヘテロ多量体が存在することを示唆した。
    また、先に報告されているキャベツ起源PLDとStreptomyces chromofuscus PLDのアミノ酸配列を比較した。キャベツ起源PLDにはN末端より330残基近傍と660残基近傍にPONTINGらによってホスファチジルアルコール合成酵素に関与することが示唆されたHxKxxxxDモチーフの存在が確認された。一方、Streptomyces chyoynofuscus起源のそれにはHxKxxxxDモチーフに類似した配列が存在していたものの、本モチーフの存在は確認できなかった。
    先にYAMANEらは、Streptomyces属由来PLDは優れたホスファチジル基転移能を有するもののStreptomyces chromofuscus由来PLDを用いた場合、転移反応はほとんど進行しないことを見出した。また、彼らは転移能の高いPLDのアミノ酸配列はそのタンパク質全体において相同性が高いことを報告している。
    これらのことから、キャベツ起源PLDのホスファチジル基転移能がStyeptornyces chrornofuscus PLDそのそれより高いことはアミノ酸配列の差異、特にHxKxxxxDモチーフの有無に起因することが考えられた。これらの事実はタンパク工学的手法からの追究により確実に証明されるだろう。さらに、キャベツ起源PLDは、その優れたホスファジル基転移能より、リン脂質の改良に適した試料であると考えられた。
  • 内野 昌孝, 小原 直弘, 内村 泰, 駒形 和男
    1999 年 25 巻 5 号 p. 239-244
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は食品の低温保蔵中の微生物による変質の調査の一環として, 低温下でリパーゼ活性が強いとされる細菌のPseudomonas fyagiPseudomonas taetyolensを中心に低温下における生育とタンパク質の分解活性を調べたものである。
    P, fragiP. taetrolensの32株の供試菌株のうち10℃の培養では, 培養3日後に26株が生育を示し, そのうち2株が15℃でクリアゾーンを形成していた。培養7日後では4℃でこれら2種の80%以上の菌株の生育がみられ, 4株が4℃でクリアゾーンを形成していた。21日後には, 4℃でも大きなクリアゾーンを形成している菌株があった。そのほかの種でも低温でクリアゾーンを形成する株が多数存在した。また, P.putidaの菌株はクリアゾーンを形成しなかった。
    以上のことからP.fragiP.taetrolensには低温条件下でタンパク質分解能を示す菌株が含ま礼リパーゼ活性が強いことをふまえると, 食品の低温保蔵中の変敗にこれらの細菌が関与することが示唆された。
  • 藤井 建夫
    1999 年 25 巻 5 号 p. 245-252
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 大和 弥寿
    1999 年 25 巻 5 号 p. 253-255
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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