日本食品保蔵科学会誌
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28 巻, 6 号
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  • 玉木 雅子, 鵜飼 光子, 村田 容常, 本間 清一
    2002 年 28 巻 6 号 p. 291-298
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    北海道産タマネギ13種について, 調理加工特性を調べた。
    (1) すべてのタマネギは, ソテー加工やパウダー加工に適する固形分含量や還元糖含有量を示した。
    (2) 辛味の指標を示すピルビン酸生成量は, 品種によって差があり, 北海道産タマネギの多様性が示唆された。
    (3) ピルビン酸生成量の少ないタマネギは生で食したときの甘みが強かったが, 糖含有量と甘味の強さの間には相関関係が認められなかった。
    (4) 総フェノール含有量が高いタマネギの鱗茎は緑みと黄色みが強い色彩を示し, 妙めたときの苦味が強かった。
  • 相川 りゑ子, 川端 晶子, 中村 邦雄
    2002 年 28 巻 6 号 p. 299-305
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    カタクリ澱粉の糊化および老化による構造変化を, 示差走査熱量計 (DSC) により検討した。馬鈴薯と食用カンナ澱粉についてもカタクリ澱粉との熱的特性の違いを比較するために同時に測定を行った。澱粉一水系の糊化と老化について異なる水分率と熱履歴を変えてDSCにより実測した。澱粉分子によって強く束縛され, -50℃でも凍らない不凍水の量は, 水分率と相転移エンタルピーから計算した。不凍水量 (Wnf) は水分率が増加すると共に増加したが慨が6.0g/g以上では一定となった。糊化温度 (Tα) はカタクリ<馬鈴薯<食用カンナの順に高くなった。糊化エンタルピー (ΔHα) および不凍水量 (Wnf) はカタクリ>食用カンナ>馬鈴薯の順に小さくなった。以上の結果から, カタクリ澱粉は, 馬鈴薯や食用カンナに比べて, Taが低いことから結晶構造がこわれやすく, ΔHαおよびWnf, が大きいことから結晶領域が多く, 水分子を束縛しやすい構造, すなわち澱粉分子がかさ高な構造であることが明らかとなった。
  • スリラオン ワリット, 辰巳 保夫
    2002 年 28 巻 6 号 p. 307-315
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    バナナとヘベズ果実を20℃下で種々の酸素濃度 (5~100%) に貯蔵した。呼吸量とエチレン生成は, 両果実とも21%より高い酸素濃度下で増加した。呼吸, エチレン生成とも酸素濃度に比例して増加した。空気以上の酸素濃度で貯蔵したバナナ果実は空気またはそれ以下の濃度に比べて果色が黄色 (hue angleで90度) になるのが早かった。一方, 高酸素で貯蔵したヘベズ果実は, 対照区 (空気区) より脱緑が進まなかった。低酸素区 (5と10%) は, 両果実とも呼吸, エチレン生成とも抑制され, かつ, 脱緑も遅れた。低酸素下に貯蔵したバナナは貯蔵27日後でも未熟のままで, その後空気中に移すと正常に成熟した。しかし, 酸素10%貯蔵区は5%貯蔵区よりも早く成熟した。完熟段階の全糖含量は, 明らかに他の区より低い80,100%酸素区を除いて酸素濃度にかかわりなく対照区とほとんど変わらなかった。高濃度酸素処理区のヘベズ果実のクエン酸含量は, 空気区および低濃度酸素処理区より高かった。可溶性固形物は100%酸素区を除いて当初より増加したが, 100%区では他の区より明らかに低く, 当初の値を維持していた。
  • 松井 年行, 小杉 祐介
    2002 年 28 巻 6 号 p. 317-321
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    収穫後に35-90%のエタノールでバナナ果実を処理すると渋味の除去と甘味の増すことが報告されている。遺伝子発現の特異的なパターンと局在を調べるために, バナナ果実を60%エタノール処理とコントロール処理し, 次いでバナナから抽出された全RNAをACC酸化酵素遺伝子のプローブとハイブリダイゼイションさせた。
    果肉と果皮のMA-ACO1のmRNA (バナナのACC酸化酵素をコードしている) の代表度を比較すると, 60%エタノール処理の3日目で果肉が果皮より代表度が高く, コントロール処理の6日目でも果肉のシグナルが果皮より明らかに高かった。この結果, エタノール処理バナナのうち, 生エチレンの誘導が果肉で始めにMA-ACO1の発現を調節し, 次いで発現部位が皮へと移行すると考えられる。ACC酸化酵素遺伝子発現はエチレン生成の上昇とほぼ一致し, 全RNA中のmRNA量の増大が確認された。
  • 内野 昌孝, 大須田 麻紀子, 高野 克己, 内村 泰, 駒形 和男
    2002 年 28 巻 6 号 p. 323-329
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    純水中に腐敗細菌の一種であるPseudomonasfluorescens 8 株とPseudomonas putida 8 株の各菌株を純水に懸濁後, 4℃および25℃で5年間保存し, 保存後に生残性を示したものについて増殖および各種性状を調べた。
    (1) 4℃保存, 25℃保存の懸濁液をそのまま肉汁培地に接種して30℃で振とう培養したところ, 親株 (-80℃保存株) と増殖はほとんど変わらなかった。
    (2) 4℃保存, 25℃保存の懸濁液を栄養素要求試験, タンパク質および脂質分解試験に供したところ, 保存温度の違いによる結果の差はみられなかった。
    (3) 細菌の同定キットの一つであるNF-18と各種分解酵素活性検出キットであるAPI ZYMにて各種生化学試験を行ったところ, 保存条件の違いによる結果の差はみられなかった。
    以上のことから, 純水のような貧栄養条件下にPseudomonas属細菌が長期間存されても, 性質は変化せず, 腐敗を引き起こす可能性が高いことが明らかとなった。
  • 国正 重乃, 柳沼 勲, 野口 智弘, 高野 克己, 内村 信宏, 青柳 吉紀
    2002 年 28 巻 6 号 p. 331-336
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ゆばの褐変について成分挙動の面から解析するとともに, GSHを用いて褐変抑制効果についての検討を行った。
    (1) ゆば中のタンパク質および脂質は, 引き上げ枚数に従って順次減少したが, 炭水化物, 灰分は順次増加した。また, ゆば生成に従ってNa, KおよびCuは著しく増加し, Mgはわずかに増加したが, Ca, Fe, Mn, ZnおよびPの含量に変化はなかった。
    (2) ゆば中の還元糖と遊離アミノ酸含量は引き上げ枚数に従い増加し, ゆば引き上げ後半は褐変が著しく促進され, メイラード反応が起こっていることが示唆された。
    (3) 還元作用を有するGSHを豆乳に添加することによって, ゆばの褐変を抑制することができた。
  • 「山形みどりな」の成分特性 (第2報)
    渡邊 智子, 土橋 昇, 進藤 久美子, 鈴木 東子, 安井 明美
    2002 年 28 巻 6 号 p. 337-340
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    葉茎類を活用し, 調理・加工利用に役立てるため, 新野菜「山形みどりな」および育種親である山形青菜とハクサイのビタミン類を葉身と葉柄・中肋に分けて測定した。β-カロテン, ビタミンB1, ビタミンB2, ビタミンCは, いずれの野菜も葉身部位に多く, 各野菜全体のビタミン含量のほとんどが集積していた。
    山形みどりなを育種親と比較すると, 葉身部位のビタミン含量は, 育種親の間の値を示し, 野菜全体で比較した場合と同様に, β-カロテン, ビタミンB2, ビタミンCは山形青菜に近く, ビタミンB1含量は育種親の山形青菜とハクサイの中間的な値を示していた。
    山形みどりなの調理適性とほぼ周年栽培が可能な特性から, 有色野菜として栄養指導に活用することができると考えられる。
  • 恩田 匠
    2002 年 28 巻 6 号 p. 341-354
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 大和 弥寿
    2002 年 28 巻 6 号 p. 353-355
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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