日本食品保蔵科学会誌
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29 巻, 5 号
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  • 麦味噌の品質に関する研究 (第3報)
    松田 茂樹, 湯之上 雅子, 渕上 智広
    2003 年 29 巻 5 号 p. 263-267
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    23株の麹菌の糖化力とβ-グルカナーゼ活性を調べ, 両酵素活性の強いA. oryzae IFO 7410を選抜した。この菌を用いた麦麹の酵素活性を調べたところ, 麹菌が生産するβ-グルカナーゼが, 原料大麦に含まれるβ-グルカンを分解し, 糖生成に寄与していると考えられた。さらに, 麦麹からβ-グルカナーゼを抽出し, ゲルろ過およびイオン交換クロマトグラフィーにより精製を行い, 1種類の精製酵素を得た。
    A. oryzae IFO 7410の精製β-グルカナーゼは最適pH4.5であり, その活性はpH 5.0-7.0まで安定であった。最適温度は40℃であり, 50℃で1時間までほぼ安定であった。本酵素の分子量は34,000でアゾ大麦グルカン基質およびリケニンをよく分解する酵素であり, わずかにCM-セルロースを分解することなどから, 大麦β-グルカンのβ-1, 3; 1, 4-グルコシド結合内のβ-1, 4-グルコシド結合をエンド型に加水分解する酵素であると考えられた。
  • 時枝 久子, 池田 稜子, 長 修司
    2003 年 29 巻 5 号 p. 269-274
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    豆腐製造工程中に副産物として得られるおからの有効利用の一環として, おからの特性や菓子類を中心とした製品の酸化安定性, 調理特性および嗜好性について検討を行った。その結果は下記のとおりである。
    (1) POV追跡 (40℃) の結果からおからおよびおから配合クッキーは200日から400日間酸化に対して安定であった。
    (2) 物性についてはおから配合クッキーは, 無配合のクッキーに比べて破壊されにくいクッキーで, おから配合パウンドケーキは, やわらかく形よく膨化し嗜好性を向上させることが判明した。
    (3) 官能検査の結果から, クッキーではおから配合10~20%程度, また, ケーキではおから配合50%程度であればおから配合が可能であることが示唆された。
  • ササキ ドリス, 樋元 淳一, 伊藤 和彦
    2003 年 29 巻 5 号 p. 275-280
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    北海道で栽培中および開発中の油加工用ジャガイモのうち, 代表的な4品種 (トヨシロ, ホッカイコウガネ, ノースチップス, P 982) を用い, 2℃および6℃の条件で6ヵ月貯蔵実験を行った。測定は成分および各種物性値について行った。その結果, 還元糖含量, ポテトチップスの外観および萌芽率は品種と貯蔵温度に影響を受けることが明らかになり, 2℃で貯蔵した試料の萌芽は6ヵ月間にわたって完全に抑制できたが, 還元糖含量は6℃で貯蔵した場合に比較してすべての品種とも大きく増加した。
    還元糖ポテトチップスカラーおよび萌芽率は品種問および貯蔵温度によって有意な差を認めることができた。
    ノースチップスおよびP 982の両品種は6ヵ月間の貯蔵を行った後でも還元糖含量が他の品種に比較して低い値を示し, これらを原料に加工したポテトチップスの外観は10℃で貯蔵した場合とほぼ同程度を示し, 消費者を満足させるのに十分な状態を示した。
  • 阿部 一博, 岡田 千春, 岩出 奈央, 島 昭二, 草刈 眞一, 阿知波 信夫
    2003 年 29 巻 5 号 p. 281-289
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,収穫量を減少させることなく高品質なミツバ(Cryptotaenia japonica Hassk, cv.'大阪白茎ミツバ')を栽培することを目的として,養液栽培中の培養液濃度を高める期間を変えた場合のミツバの生理・化学的特性の差異を調べた。
    ミツバの養液栽培において,対照区:定植から収穫までの30日間の培養液濃度を0.5単位とした実験区, 10日区:栽培当初の20日間は0.5単位で栽培した後に10日間を1.5単位で栽培・した実験区, 20日区:当初の10日間を0.5単位で栽培した後に20日間を1.5単位で栽培した実験区, 30日区: 30日間の培養液濃度を1.5単位とした実験区,の4実験区を設けた。
    対照区の収穫量が最も多く,培養液濃度が1.5単位である期間が長くなるにつれて,栽培期間中の草丈が短くなり,収穫量が減少した。また,培養液濃度が1.5単位である期間が短いほど,葉色の緑色が薄く,明度が高かった。
    官能検査では,対照区の香気は30日区より弱かった。しかし, 10日区, 20日区,ならびに30日区の3実験区間では,香気には明らかな差異は認められなかった。
    収穫したミツバを葉身部と葉柄部に分け,組織別に化学成分含量(クロロフィル含量,フェノール物質含量,遊離アミノ酸含量)を測定したが, 3成分ともに葉身部における含量が葉柄部より多かった。また,両組織の3成分ともに対照区の含量が最も少なく,培養液濃度が1.5単位であった期間が長いほど含量が多くなった。
    葉身部の呼吸量は葉柄部より多かった。両組織ともに対照区の呼吸量が最も少なく,培養液濃度が1.5単位であった期間が長いほど多くなった。
  • 鈴木 公一, 八ッ橋 奏, 中村 太一, 福田 豪, 阿部 申, 荻原 博和
    2003 年 29 巻 5 号 p. 291-296
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究は玄そばを真空包装および開放で60日間 (30℃) 保存した。保存開始から30日および60日後に, そば殻とそば粉を調製した。その後, ケミルミネッセンスアナライザーにより化学発光量を測定し, 従来の脂質劣化指標との関係を検討した。
    (1) そば粉の酸価およびPOVは60日の開放保存を除いて保存期間が長くなることにより, 上昇したことから, 脂質劣化が進行したと考えられた。また, 真空包装を行うことにより脂質劣化が抑えられた。
    (2) そば殻の酸価は保存期間が長くなることにより, 上昇し, 脂質劣化が進んだ。また, POVは30日保存まで上昇したが, 60日保存では減少し, 劣化が著しく進行したと考えられた。
    (3) そば粉およびそば殻の総ポリフェノールおよびルチン含量は長い保存期間により, 減少する傾向を示し, 真空包装を行うことにより, その減少を抑えられた。
    (4) 玄そば, そば殻およびそば粉の保存状態における化学発光量の変化は玄そばおよびそば殻では酸価およびPOVの脂質劣化指標との関係を明らかにすることはできなかった。しかし, そば粉においては脂質劣化指標と化学発光量との間に高い相関がみられ, そば粉の迅速な品質評価法としての可能性が示唆された。
  • 劉 士鋼, 楊 詠麗, 村山 秀樹, 三橋 渉, 平 智, 福嶋 忠昭
    2003 年 29 巻 5 号 p. 297-301
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    バナナ果実[Musa spp (AAA group, Cavendishsubgroup)]のイソクエン酸脱水素酵素(NADP-IDH)の比活性は黄熟果(yellow ripe fruit)が緑熟果(mature green fruit)の約2.7倍高かった。同酵素は果実の熟度にかかわらずNADP依存型であったが, Mg2+要求性は緑熟果が黄熟果より若干高かった。同酵素のDL-イソクエン酸に対するKm値は,緑熟果が48.4μM,黄熟果が59.5μMで比較的近い値を示したが, NADP+に対するKm値は,緑熟果が6.14μM,黄熟果が11.56μMと大きく異なっていた。ゲルろ過法によりNADP-IDHのアイソザイムパターンを調べた結果,緑熟果と黄熟果では異なっていた。これらの結果から,バナナのNADP-IDHは果実の追熟に伴ってKm値の異なる新たなアイソザイムが増加してくるものと推察された。
  • 大和 弥寿
    2003 年 29 巻 5 号 p. 303-305
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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