本研究では,収穫量を減少させることなく高品質なミツバ(
Cryptotaenia japonica Hassk, cv.'大阪白茎ミツバ')を栽培することを目的として,養液栽培中の培養液濃度を高める期間を変えた場合のミツバの生理・化学的特性の差異を調べた。
ミツバの養液栽培において,対照区:定植から収穫までの30日間の培養液濃度を0.5単位とした実験区, 10日区:栽培当初の20日間は0.5単位で栽培した後に10日間を1.5単位で栽培・した実験区, 20日区:当初の10日間を0.5単位で栽培した後に20日間を1.5単位で栽培した実験区, 30日区: 30日間の培養液濃度を1.5単位とした実験区,の4実験区を設けた。
対照区の収穫量が最も多く,培養液濃度が1.5単位である期間が長くなるにつれて,栽培期間中の草丈が短くなり,収穫量が減少した。また,培養液濃度が1.5単位である期間が短いほど,葉色の緑色が薄く,明度が高かった。
官能検査では,対照区の香気は30日区より弱かった。しかし, 10日区, 20日区,ならびに30日区の3実験区間では,香気には明らかな差異は認められなかった。
収穫したミツバを葉身部と葉柄部に分け,組織別に化学成分含量(クロロフィル含量,フェノール物質含量,遊離アミノ酸含量)を測定したが, 3成分ともに葉身部における含量が葉柄部より多かった。また,両組織の3成分ともに対照区の含量が最も少なく,培養液濃度が1.5単位であった期間が長いほど含量が多くなった。
葉身部の呼吸量は葉柄部より多かった。両組織ともに対照区の呼吸量が最も少なく,培養液濃度が1.5単位であった期間が長いほど多くなった。
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