青果物のコールドチェーンの基礎として, 平均温度が等しくてもある幅を持って周期的に変温している状態下での青果物の反応を調べ, 変温幅や変温周期の許容域を把握することが重要な課題であると思われる。今回は, 温度変動に伴う数種青果物の内部温度変化を無包装と包装状態との場合について調査した。
青果物の種類により各部位の変温速度に違いがみられ, ナス, ピーマン, ホウレンソウ, ナツミカン (甘ナツ) ではほぼ均一に変温したが, キャベツ, リンゴでは部位間で変温速度がかなり違った。また, 中央部の温度が庫内温度と等しくなるのに要する時間は, 無包装の場合, ナスでは約3時間, ピーマンでは約2時間, キャベツでは約7.5時間, ホウレンソウでは約20分間, 甘ナツでは約5時間, リンゴでは約3.5時間であった。このような変温速度の違いは, 青果物内部の空気の量と存在状態によるものと思われるが, さらに空隙率の小さい青果物についても検討しなければならない。
ポリエチレン包装では, 中央部の温度が庫内温度と等しくなるのに要する時間は, ホウレンソウでは約30分間, リンゴでは数時間も, 無包装の場合に比べ長くなった。ポリエチレン包装処理は, 青果物内部温度の変化をある程度抑える効果を持っものと思われた。
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