温州ミカン無殺菌果汁を0℃, 5℃, 10℃の低温に貯蔵し, 微生物数, 果汁成分の変化について調べた。
1. 果汁中の生菌数は0℃貯蔵区ではさ程変化がみられなかったが, 5℃, 10℃貯蔵区では経時的に増加する傾向を示した。カビ・酵母数は0℃貯蔵区においても貯蔵期間が長くなるに伴ない増加する傾向がみられた。
2. 果汁中に発生するジアセチル濃度は, 微生物数の増加に伴ない高くなる傾向がみられた。
3. 温州ミカン無殺菌果汁の香味の面での貯蔵限界は, 10℃貯蔵では2~3日程度, 5℃貯蔵では約1週間, 0℃貯蔵では2~3週間程度と考えられた。
4. 無殺菌果汁の全糖, 還元糖, 酸度, ビタミンC, ヘスペリジンの各濃度について貯蔵中の変化を調べた。貯蔵中, これらの成分は比較的安定であった。また, 0℃, 5℃, 10℃の貯蔵温度による差はほとんどみられなかった。ただし, 果汁の変敗が進むと全糖還元糖量は低下し, 酸度が増加した。
5. 無殺菌果汁中の酵素活性について貯蔵中の変化を調べた。ペクチンエステラーゼ活性, パーオキシダーゼ活性は貯蔵中に低下する傾向にあったが, 大部分の活性は残存した。
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