本研究では熱帯果実のバンレイシの貯蔵温度条件を知るために,16℃,20℃及び室温(28°±2℃)で果実貯蔵し,その品質保持について調査した。
貯蔵期間中,日ごとにその外観や内部品質,すなわち,全可溶性固形物(TSS),電解質漏出度,全アスコルビン酸含量などを測定した。
16℃で貯蔵した果実は14日間通じて,果実はやや軟化するに止まり,全可溶性固形物は最初の7°(Brix)から,緩慢に上昇し,2週間後に10°となった。電解質漏出度は10%程度でほとんど増減を示さなかった。全アスコルビン酸含量は15~13mg/100gでわずかに減少した。
20℃で貯蔵したものは6日後に軟化,裂果し,その後はカビが発生し,腐敗した。全可溶性固形物は貯蔵中,急激な上昇を示し,最高点では24°にもなった。電解質漏出度はTSSと同様なパターンを示し,7日後に30%まで上昇した。全アスコルビン含量の減少は早く,1週間後に最初の含量の43%となった。
室温で貯蔵したものは4日後に軟化,裂果し始め,その後すぐにカビが発生し,腐敗した!全可溶性固形物は最初の7°から4日後の22°まで上昇した。電解質漏出度は果実が軟化するとき32%となった。全スアコルビン酸含量は,14mg/100gから4日後には7mg/1009まで減少した。
果実の追熟後にはカビの発生による腐敗が速いので,殺菌剤チアベンダゾール800ppmで処理し,その処理効果を調べた。20℃貯蔵区では効果があったが,室温貯蔵区ではそれほど顕著な効果は認められなかった。
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