(1) かつお削り節 (生鮮魚体重3kg以下のかつおより製造されたかつお荒節を亀節用試料とし, 6kg前後より製造されたものを本節用試料とする) をガスバリヤー性の高いフィルムに入れ, 窒素ガス充填後, 密封し, 20℃, 5℃および-25℃の暗所に150日間貯蔵し, 各段階の含有脂質の特徴を調べ, 貯蔵温度, 貯蔵期間と脂質の変化について, 性状, 脂質組成および脂肪酸組成から検討した。
(2) 両試料のTL含有量は, 貯蔵日数の経過とともに減少しており, またこれは貯蔵温度の低い (本実験においては-25℃貯蔵) ほど小さな変化であった。また, TLのAV, PVの経時的上昇が, 全貯蔵温度の場合において認められたが, この変動は低温に貯蔵するほど小さぐ, 脂質の加水分解および酸化の抑制に対する効果を認めた。
(3) TLを構成するCLの含有量は, 貯蔵日数の経過とともに減少しており, TL含有量の減少はCLが主因であると考えられた。NLおよびCLを構成する各脂質の含有量の変化については, TG, PCおよびPE含有量の減少, FFA含有量の増加が各貯蔵温度で認められたが, これらはより低温で貯蔵するほど小さな変化であり, その有効性を認めた。
(4) TL, NLおよびCLを構成する主要脂肪酸の経時的変化については, 高度不飽和脂肪酸, とくに22 : 6酸含有率の減少, 逆に飽和酸, とくに16 : 0酸の相対的増加が両試料において認められた。またこれらの変化は, TL, NLの場合よりもCLの場合において顕著であった。さらに, これらの変化は, 低温に貯蔵するほど小さく, その効果が認められた。
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