ジャポニカ種玄米より調製したパーボイルドライスの貯蔵試験を行い, 貯蔵温度および包材, 脱酸素剤添加が脂質の変化およびその米飯のテクスチャー, 糊化度に及ぼす影響について, 精白米を対照とし検討を行った。
(1) パーボイルドライスおよび精白米の貯蔵中における水分は, 4℃貯蔵では包材の種類にかかわらずほとんど変化しなかった。37℃貯蔵では, 両試料は共にアルミ蒸着フィルム包装の場合, 水分の変化は見られなかったが, ポリエチレン包装では, 6ヵ月間の貯蔵によって初期水分値の77%に減少した。
(2) 貯蔵中における脂質変化は, パーボイルドライスおよび精白米は共に, 37℃貯蔵で過酸化物価およびカルボニル価が大きく増加した。しかし, 4℃貯蔵ではこれらの変化は小さくなり, さらに脱酸素剤の使用によって, その変化はほぼ完全に抑制することが出来た。また, パーボイルドライスでは, 貯蔵中の酸価の増加は見られなかった。
(3) 貯蔵米の米飯のテクスチャーを測定した結果, 37℃では貯蔵に伴いパーボイルドライスの硬さは増加し, 凝集性および付着性は低下した。これらの変化は, 同温度にて貯蔵した精白米に比べ大きかった。しかし, 4℃で貯蔵したパーボイルドライスの場合, 米飯のテクスチャーは精白米と同様, 変化は見られなかった。
(4) 米飯の糊化度は, パーボイルドライスおよび精白米共に貯蔵によって低下し, その傾向はパーボイルドライスの方がやや大きかった。なお, 米飯の糊化度に対する米の貯蔵温度および包材の影響は少なかった。
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