日本食品低温保蔵学会誌
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22 巻, 3 号
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  • 伊東 卓爾, 泉 秀実, 吉田 保治
    1996 年 22 巻 3 号 p. 127-131
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    未熟マメ類貯蔵中の糖含量について全糖として測定された報告は多い。ところが糖を分別定量した報告およびデンプン含量を測定した報告は限られている。そこでこれらの点を明らかにするため, エンドウ (むき実用種) '紀州うすい'を20, 15, 10, 5および1℃に貯蔵し, 種子中の糖組成およびデンプン含量の変化について調査した。
    種子中の組成糖として, ショ糖, ラフィノースおよびスタキオースが検出された。ショ糖含量は, 10℃以上の処理区では温度が高いほど急速に減少し, 5℃以下の処理区では貯蔵前半に増加した後減少した。ラフィノースおよびスタキオース含量は貯蔵中全処理区で増加した。スタキオースの増加量はラフィノースに比べ多かった。スタキオースは10℃以上の処理区では貯蔵半ばから主要糖になった。全糖に対するRFOの割合は貯蔵中増加した。
    デンプン含量は, 10℃以上の処理区では貯蔵開始後2-3日の間に急増した。5℃区では貯蔵10日後から, 1℃区では15日後から含量の増加がみられた。デンプンの増加量は貯蔵温度が低い区ほど多くなった。
    以上より, 貯蔵中における種子内の糖類含量の変化は, 発育中の変化様相と類似していた事から, 青果用としての未熟なエンドウの種子は, 収穫後も成熟の進行が継続すると考えられた。また, エンドウ'紀州うすい'では, たとえ貯蔵温度を1℃としても, 長期間にわたる品質保持は困難なように思われた。
  • 壇 和弘, 阿萬 誉, 本間 素子, 永田 雅靖, 山下 市二
    1996 年 22 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    野菜の品種変遷による品質の変化を明らかにするために, トマトおよびピーマンについて果実の品質と品種の関係を調査した。
    トマト果実の糖含量は新しい品種ほど高い傾向が認めら礼甘い品種へ変遷してきたことが推察された。ピーマン果実の糖含量は新しい品種で低い傾向が認めら礼また, 糖組成にも違いが認められた。
    トマト果実のアスコルビン酸含量は品種により大きく異なったが新しい品種でやや低くなる傾向が認められた。ピーマン果実のアスコルビン酸含量は新しい品種で低くなる傾向が顕著であった。
    凍結乾燥果実から水溶性抽出液を調製し, Salnzonella typhimurium TA 98およびTA100を用いたAmes試験でTrp-P-2の変異原性におよぼす抑制効果を調べた。その結果試験したトマトおよびピーマン全ての品種でTrp-P-2の変異原性に対する抑制効果が認められた。しかし, 抑制効果の程度と品種の変遷との関係は明らかではなかった。
    本研究の一部は第40回日本食品低温保蔵学会秋季大会および日本食品科学工学会第42回大会において発表した。
  • カットニンジンの生理・化学的変化に関する研究 (第7報)
    吉村 公一, 阿部 一博, 茶珍 和雄
    1996 年 22 巻 3 号 p. 139-145
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本研究では, ニンジンの保持に伴う苦味形成やその関連物質の生成に及ぼす組織に対する機械的損傷ならびに保持環境ガス中のエチレン (C2H4) の影響を調べた。
    機械的損傷を受けたニンジンの苦味形成はC2H4処理によって同一個体内の傷害部で最も顕著に現れ次いで障害を与えなかった師部に現れたが木部での苦味形成は少なく, C2H4処理を行わなかった場合はいずれの部位でも苦味形成は認められなかった。また損傷を受けなかったニンジンでは苦味は形成されなかった。
    苦味関連物質であるイソクマリン含量は機械的損傷を受けてC2H4処理されたニンジンの傷害部で顕著に増加したが, 健全部の師部や木部での増加は少なかった。損傷を受けなかったニンジンにC2H4処理を行ってもイソクマリン含量の増加は誘導されず, 損傷を受けたがC2H4処理を行わなかったニンジンや損傷を受けずC2H4処理されなかったニンジンではイソクマリンの蓄積はみられなかった。
    損傷を受けたニンジンをC2H4処理すると, 傷害部でのフェノール物質の蓄積ならびに全糖含量と非還元糖含量の減少および還元糖の増加が誘導された。他の実験区でのこれらの含量変化は少なかった。
    ニンジンの流通過程における苦味形成は, 保持環境ガス中のC2H4ならびに個体の機械的損傷によって促進されることが明らかとなった。
  • 青果物のMA包装におけるガス透過と鮮度保持に関する研究 (第3報)
    徐 歩前, 秋元 浩一, 前澤 重禮
    1996 年 22 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本報ではMA包装された青果物の呼吸速度推定に関し, コンピュータによる新たな推定法を用いて, 従来の密閉測定法の限界と問題点を明らかにし, 本研究で開発した新推定法の有用性を示した。すなわち, 従来の密閉測定法ではフィルムを透過したガス濃度によって青果物の呼吸速度を推定するという原理によるため, 非定常状態で適用すれば, 真の値より低い推定値となる。これに対して本研究による推定法は青果物の呼吸とフィルムのガス透過を同時に考慮し, 非定常状態にも適用できる特徴を持つため, そのRQはMA包装された青果物の動的生理変化の推定にも有用であることが明らかとなった。
  • カットニンジンの生理・化学的変化に関する研究 (第6報)
    吉村 公一, 高橋 徹, 阿部 一博, 茶珍 和雄
    1996 年 22 巻 3 号 p. 153-158
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    筆者らは種々のカット野菜・果実の生理・化学的特性ならびに品質保持技術に関する研究を行い, ニンジンでは切断形状が異なると腐敗速度に差が生じたり, 保持環境ガス中にC2H4が存在すると苦味が発現し, 苦味発現はC2H4のみならず環境ガスの0、やCO2濃度に影響を受けることを明らかにしている。一方, 多くの果実や一部の野菜では糖含量が品質評価の指標のひとつとなっており, ニンジンにおいても甘味や糖含量は重要な品質要素であるが, カットニンジンの保持に伴う変化についてはほとんど調べられていない。本研究では異なる環境ガス条件で保持したカットニンジンの糖含量の変化を調べた。
  • カットニンジンの生理・化学的変化に関する研究 (第4報)
    阿部 一博, 吉村 公一, 高橋 徹, 茶珍 和雄
    1996 年 22 巻 3 号 p. 159-163
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    筆者らはカット野菜・果実の生理・化学的特性ならびに品質保持技術に関する研究を行い, ピーマン, ニンジン, キュウリでは切断形状が異なると腐敗速度に差の生じることを明らかにしている。貯蔵性に差の生じる理由を明らかにするための実験を続けており, 本研究ではカットニンジンの保持に伴う細菌ならびにペクチン物質の変化を調べた。
  • 渡辺 文雄, 後藤 昌弘, 阿部 捷男, 中野 長久
    1996 年 22 巻 3 号 p. 165-168
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    鰹肉は水分含有量が比較的低く, 肉質が筋肉質であり, 旨味成分を多量に含むため, 味が濃厚である。また, 栄養面ではタンパク質, リン, 鉄, ビタミンB2およびナイアシンを多く含んでいる。特に, ナイアシンは可食部100gあたり19mgと, 生鮮食品中でも最も多い。そこで, このナイアシンが鰹肉のどの部位に多く含有されているのか, またどのような形態で存在しているのかを明らかにし, 鰹肉の低温貯蔵におけるナイアシン含有量の変化について検討した。鰹各組織からナイアシンをアルカリ抽出し, 中和後, 遠心分離上澄み画分を試料とした。ナイアシンの定量はプロムシアン法を用いて行った。また, 補酵素型ナイアシンの定量はアルコールデヒドロゲナーゼとグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼによる酵素サイクリング法を用いた。その結果, 組織19あたりに含まれるナイアシン含有量は各組織でほとんど変化なかったが, 組織全体でのナイアシン含有量は背肉と腹肉で最も高かった。鰹肉のナイアシンのほとんどは遊離の状態で存在しており, タンパク質と結合していなかった。また, 鰹肉には補酵素型ナイアシン (NAD (H) とNADP (H)) がほとんど含まれていなかった。鰹肉切り身を4℃で5日間貯蔵を行った結果, 鰹肉ナイアシン含有量は5日目で若干の増加傾向が示されたが有意なものではなかった。この結果鰹肉ナイアシンは低温貯蔵においてまったく損失がないことが明らかとなった。
  • 松本 信彦
    1996 年 22 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
  • 大和 弥寿
    1996 年 22 巻 3 号 p. 175-176
    発行日: 1996/08/30
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
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