澱粉工業学会誌
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9 巻, 4 号
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  • 試料採取と調整について
    前沢 辰雄, 福田 稔夫, 早川 幸男, 大久保 増太郎
    1961 年 9 巻 4 号 p. 123-128
    発行日: 1961/05/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     甘しよの澱粉含有量をなるべく正確に測定することを目的として基礎的なことから検討を行なった。 (1)甘しよの澱粉含有量を測定する場合,正しい標本抽出数を決定するには,まず可検母集団について澱粉含有量の個体変動の分散を知らなければならない。そこで一例として畑に栽培した甘しよの全堀りを行なって個体変動を測定し,これから希望する変異係数を指定して,大中,小に澱粉含有量に差のない場合(無階層)と差のある場合(階層分を行なう)とに分けて,標本抽出数の計算を行なった。 (2)甘しよは堀り取り後なるべく速やかに分析にかけるのがよいけれども,時日を経過した場合の成分変化はどうかについて,参考として貯蔵中の重量減,澱粉,糖分,澱粉価の変化を測定した。 (3)分析試料の調整には,甘しよを小型磨砕機で磨砕する方法がはなはだ能率的であるとともに試料誤差も少なくてよい。 (4)磨砕試料から糖分を抽出除去するには通常アルコルが用いられるが,これを水にかえて水抽出を行なつても,特に精度を望まないかぎり差しっかえないと思われる。
  • 次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の液化および糖化
    荒井 克祐, 半野 敬夫, 鈴木 繁男
    1961 年 9 巻 4 号 p. 129-134
    発行日: 1962/05/15
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の酵素液化および糖化におよぼす影響を検討して次の結果を得た。 1.次亜塩素酸ソーダ処理澱粉のビスコグラムは,前報のサラシ粉処理澱粉の場合と同様に使用量が増加すると最高粘度は低下し,酸化澱粉の粘度曲線を示した。しかし糊化点はほとんど変化が認められなかった。 2.次亜塩素酸ソーダは濃度が高く,また処理時間が長くなると液化液の濁度が増加する。 3.ビスコグラフによる30%澱粉一酵素懸濁液の液化を行なったが,前報のサラシ粉処理の場合と同様に,次亜塩素酸ソーダ濃度が高くなると最高粘度は次第に低下する。しかし糊化点,Break Down(粘度低下)に要する時間は変化が認められなかった。 4.次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の液化液中の液化不良澱粉の定量を行なったが,前報のサラシ粉処理の場合と同様に使用量の増加に比例して液化不良澱粉含量は増加する。その増加の程度は対澱粉の有効塩素量で比較すると,次亜塩素酸ソーダ処理は,サラシ粉の場合よりも多い傾向が認められた。 5.次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の糖化におよぼす影響を検討したが,25/2000前後までは糖化の伸びにはほとんど影響はないが、それ以上の濃度になるとやや影響があらわれてくる。
  • 小麦澱粉製造と醗酵
    勝屋 登, 河村 百合雄, 石渡 重太郎
    1961 年 9 巻 4 号 p. 134-142
    発行日: 1962/05/15
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     小麦澱粉製造に関連する各種の醸酵現象について調査実験し種々の知見を得た。 (1)小麦澱粉製造用小麦粉中の菌数は1g中10万前後のものが多いが,非生酸菌が一番多く,生酸菌酵母がこれに次いでおり大腸菌属菌は検出されない。澱粉乳になってからは乳酸菌が主体となって醗酵が行なわれる。 (2)澱粉製造中に澱粉は一部溶解されて損失するがこれは小麦粉から由来するアミラーゼによるもので,酸醗酵は澱粉乳のpHを下げアミラーゼを不活性にして逆に損失を防止する作用をしている。 (3)醸酵は有機酸を増やすが,粗澱粉乳中の蛋白質糖質等を分解して液を枯らし,澱粉の炉過操作を容易にしている。また澱粉粒からの脱燐,脱蛋白は醗酵する事によつて急激に行われ,澱粉の精製に大きく寄与している。 (4)小麦粉より由来するアミラーゼの小麦生澱粉に対する作用はpH4.5~6,5の間において最高を示し,pH3.5以下ではほとんど作用しない。 (5)澱粉乳は通気する事によつて酸度を抑制または減少せしめる事ができるが,pHが上昇するので,澱粉の減少する事をまぬかれない。 (6)澱粉乳中の生菌数は工程中で漸増し,仕上げ液でも1ml中数千万になるが,澱粉乳から乾燥澱粉になる所で急激に菌数が減少する事実を認めさらに製品澱粉中の菌数は貯蔵中にも急速に減少して行く事がわかった。
  • pH管理による製造法の改善
    勝屋 登, 高橋 礼治, 河村 百合雄
    1961 年 9 巻 4 号 p. 142-148
    発行日: 1962/05/15
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     pH管理による澱粉収率の増加法と,これを実際製造に応用した場合に起る種々の問題について実験検討を行い,次の諸点を明らかにした。(1)小麦澱粉製造中,小麦粉より由来するアミラーゼのため澱粉は5~8%位糖化されて損失するが工程の初期に微量の塩酸(約0.04%)を加えて澱粉乳のpHを3.6以下に下げておけば糖化損失を防ぐと共に乳酸酸度の上昇も緩漫にする事が出来る。(2)塩酸を添加してpHを下げた場合,スターチテーブルでの沈の附着と白粕の分離がやや悪くなる傾向があるがその影響は極めて僅少であり,遠心分離機を使用する場合には問題ない。(3)塩酸添加法によって得られた澱粉の色は従来法のものより白く,蛋白含量も少くなる。(4)塩酸添加を実施しても製品澱粉の糊としての性質に悪影響を与える事はなく,むしろ向上する位でこの点では危惧はない。(5) 塩酸添加が工場設備の腐蝕におよぼす影響については各種金属片で試験したが防蝕技術からみた評価方法によればいずれも「完全な耐蝕性」があるといわれる程度である。 以上の実験結果から,小麦澱粉製造工程の初期に微量の塩酸を加えて,工程のpH管理を行えば,従来の製造設備を利用して小麦澱粉の収率と品質を向上せしめ得ると結論した。
  • 甘藷澱粉の連続酸糖化について
    田村 太郎, 半野 敬夫, 川瀬 延也, 徳永 勝正, 森下 年男, 糊中 忍, 鈴木 繁男
    1961 年 9 巻 4 号 p. 149-154
    発行日: 1962/05/15
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     内面を掻き取りながら回転する攪拌羽根を有する円筒型熱交換機(オンレーター)と攪拌付円筒型加熱機およびパイプ型加熱機よりなる連続糖化装置を用い,ブドウ糖製造を目的としてシュウ酸による甘藷澱粉の糖化試験を行った。酸濃度,反応温度,反応時間,澱粉濃度の各条件を組合せて糖化を行い,糖化率,HMF,着色度について反応曲線を求め,最高糖化率を測定した。最高糖化条件としては,シュウ酸濃度0.06N,反応温度160℃,反応時間17分で,Be12の澱粉濃度において最高糖化率は93.8%であった。また一般に高温,短時間の分解の方が低温長時問の分解よりも最高糖化率の値が高く,比較的着色の少い糖化液が得られるようである。
  • (その2)ポテト・フレーク
    R. K. Eskew, 貝沼 圭二訳
    1961 年 9 巻 4 号 p. 155-163
    発行日: 1962/05/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
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