澱粉科学
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20 巻, 2 号
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  • 馬鈴薯品種生産力検定試験試料による品種,産地の比較
    矢木 敏博, 鈴木 実, 下村 司, 吉岡 真一
    1973 年20 巻2 号 p. 51-58
    発行日: 1973/06/11
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     北海道の5カ所の農業試験機関より,馬鈴薯品種生産力検定試験収穫物の提供を受け,これより澱粉を採取し,澱粉の粒径分布,灰分および無機物組成,粘度特性などを測定し,主として現行8品種について比較検討した。 1.粒径分布を測定するため簡易に4分画し,粒径分布の傾向がさほど大きく変動せず,大粒子の割合に大きな差が現われるところから,大粒子割合を比較した。その結果,ビホロ,紅丸より採取した澱粉には大粒子が多く,シレトコ,男爵薯,農林1号から採取した澱粉には少ないことが判った。 2.澱粉の灰分含量について,試験地の比較では士別,芽室産の試料は一般に灰分含量が高く,斜里産試料は中間で,中標津,島松産試料は低灰分であった。品種の比較では農林1号,紅丸などは灰分含量:が低いが,タルマエ,エニワなどは検査規格0.2%を上回る例が多かった。この灰分含量の高低と馬鈴薯の澱粉含有率や成熟期との相関は認められなかった。 無機物組成ではリン酸,カリ含量が多く,マグネシウムが次ぎ,カルシウム含量が少なかった。灰分とリン酸含量には密接な関係が認められた。 3.粘度特性では士別,芽室産の試料の最高粘度値が高く,中標津,島松産試料は低い傾向が認められた。品種では農林1号,紅丸の澱粉は最高粘度値が低く,エニワ,タルマエの澱粉は高い傾向を示した。最高粘度値の高い試料は概して糊化開始温度が高く,最高粘度到達温度が低い傾向がみられた。また灰分含量と最高粘度値にはある程度の関係がみられた。
  • 鈴木 晴男, 楊 鴻椿
    1973 年20 巻2 号 p. 59-63
    発行日: 1973/06/11
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     著者らの実験条件下では,ジャガイモ澱粉はトウモロコシ澱粉と異なって,ヨウ素電流滴定曲線後半の急上昇部分に一つの屈折点をもっているが,この相違の原因は澱粉のアミロース成分のほうにはなくて,アミロペクチン成分の方にあるということがすでにわかっている。 無機リン酸塩との焙焼法によって結合リン含量をジャガイモ澱粉の5倍弱まで高めたトウモロコシ澱粉試料の滴定曲線が,ジャガイモ型に変化しなかったことから,屈折点の有無は結合リン量の大小には無関係であると推定した。 ジャガイモ・アミロペクチンをひアミラーゼで加水分解してえたβ-限界デキストリンが,加水分解前のアミロペクチンとよく似た滴定曲線を示したことから,屈折点の有無の原因となる構造的差異が,アミロペクチンの最外側枝にあるのではなくて,β 恨界デキストリンの内部にあるものと推定した。 それ以上のことについては今後の研究にまたなければならないが,以上推定しえた2点についてとりあえず報告する次第である。
  • コーンスターチおよび製あん工場排水のカラム通水実験
    杉本 勝之, 高木 正敏, 好井 久雄
    1973 年20 巻2 号 p. 64-69
    発行日: 1973/06/11
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     1.粒状炭によるカラム通水実験の結果,コーンスターチ工場排水では活性炭A(溶液の精製,脱色用)とB(浄水用)を比較したが,原水のCOD1,000~2,000ppmの高濃度の範囲ではAが良好であった。コーンスターチ工場排水は粗蛋白質が多く,アミノ酸も多いので,そのまま活性炭処理するのは不適当であるが,排水中のSO2除去には適している。 2.原水のCOD1,600~4,500PPmの範囲で活性炭Aで処理した結果,製あん工場排水はコーンスターチ工揚排水より吸着がよかった。 3.COD約2,000PPmの原水を活性炭Aの重量の20倍量処理したさいのCOD除去率はコーンスターチ工場排水80.2%,製あん工場排水89.5%であった。 4.カラム通水実験と等温吸着(平衡吸着)の結果を比較した。前者の平均吸着量(mg/g)はコーンスターチ工場排水では後者の70~80%,製あん工場排水では約50%であった。
  • カラム通水実験による各種粒状炭の吸着効果の比較
    杉本 勝之, 高木 正敏, 好井 久雄
    1973 年20 巻2 号 p. 70-75
    発行日: 1973/06/11
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     1.pH調整し粗蛋白質を除いた製あん工揚の排水を使用して,市販の粒状炭(7点)と公害資源研究所で試作された球形活性炭(7点)の吸着効果を比較した。市販の粒状炭では,原水のCODが1,000~4,000PPmの高濃度の範囲では溶液の精製用のものが浄水用のものより吸着がよかった。 2.原水のCOD約1,000ppm,通水量5.5ml/minで球形活性状を比較した。活性炭20gで480ml処理時のCOD除去率は75~87%で,粒状炭Aの92.3%に比較してやや劣っていたが,価格が安く,再生による損失が少ないといわれるので実用化の可能性は十分ありうる。 3.本報と既報の等温吸着の活性炭単位当りのCODの吸着量(mg/9)を比較したが,カラム通水実験のさいの平均吸着量は等温吸着の吸着量の約85%の値であった。 終わりに,球形活性炭をいただきいろいろとご助言を賜りました公害資源研究所,資源第1部渡真治郎主任研究官に深謝致します。 なお,この報告の要旨は昭和47年度,日本澱粉学会大会(昭和47年6月21日,東京)において発表したものであり,本実験は愛知県公害防止技術開発費によって行なった。
  • 岡田 厳太郎
    1973 年20 巻2 号 p. 76-92
    発行日: 1973/06/11
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    By using the substrates of defined anomeric form, with very brief incubation to limit mutarotation, evidence has been obtained that the condensations require donor substrates of specific configuration. That is, crystalline glucoamylase from Rh, niveus has been found to catalyze the rapid synthesis of maltose and a slower synthesis of isomaltose specifically from β-D-glucopyranose. Crystalline sweet potato β-amylase, likewise, has been found to catalyze the rapid synthesis of maltotetraose specifically from β-maltose, and crystalline hog pancreatic α-amylase the rapid synthesis of maltotetraose specifically from α-maltose. A rapid approach to equilibrium was found both in maltose synthesis from, β-D-glucopyranose by glucoamylase, and in maltotetraose synthesis from β-maltose by β-amylase. Moreover, essentially the same equilibrium (Keq=ca. 0.13) was reached by these homologous hemiacetalto-secondary carbinol condensations. The configurational inversion accompanying both condensations, finally, reveals their mechanism as one of glycosyl transfer. Crystalline a-amylases from six different biological sources, as well as crude salivary amylase, were examined and found to catalyze the synthesis of maltose and maltosaccharides from α-D-glucopyranosyl fluoride, a stereoanalog of α-D-glucopyranose. The entire group of a-amylases had the capacity to promote α-D-glucosyl transfer from α-D-glucosyl fluoride to C4-carbinol sites, demonstrating for the first time that α-amylases possess in common the capacity to catalyze glycosylation (i. e., glycosyl-hydrogen interchange) reaction extending beyond hydrolysis and its reversal. Similar de novo synthesis of maltosaccharides from α-maltosyl fluoride by a-amylases was also discussed.
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