応用糖質科学
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選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 森 啓信, 相澤 宏一, 稲熊 隆博, 市居 章, 山内 亮, 加藤 宏治
    1998 年 45 巻 4 号 p. 361-365
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     色調の異なる2種類のヤマブシ茸子実体(AおよびB)から脂溶性成分および冷水可溶性成分を除去し,その残渣をオートクレープ処理して熱水抽出粗多糖を得た.蛋白質を硫安沈澱で取り除いた後,DEAEsephadex chromatographyに供し精製多糖(AF2S-2およびBF2S-S)を得た.メチル化分析,スミス分解,酵素分解の結果から,これら多糖は共にβ-D-glucoseが(1→6)結合で主鎖を成し,(1→3)で枝分れした多糖であり,側鎖の鎖長は1~2であることが明らかとなった.また,重量平均分子量はそれぞれ13,000(AF2S-2)および22,000(BF2S-2)であった.
  • 春日 美江, 小熊 哲哉, 小林 幹彦
    1998 年 45 巻 4 号 p. 367-372
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     サイクロデキストラン合成酵素(CITase)はデキストランを基質としてサイクロデキストラン(CIs)を合成する.CITaseが触媒する環化反応の簡便な測定法としてODSC18カートリッジ(Sep-Pak)を用いる方法について検討した.この方法でCITaseの環化反応の速度定数を測定した.デキストランT-40,T-110,T-500に対する.Krn値はそれぞれ,7.5,1.3,0.5mMグルコース当量となり,Vmax値は122.3,72.2,48.5μmo1グルコース/minとなった.また,デキストランとClsを基質としてCITaseによる加水分解反応をネオクプロイン法による還元糖の定量法を用いて測定したところ,デキストランの水解反応のKm値は環化反応での値とほぼ同程度であることが明らかとなった.
  • 小林 幹彦, 春日 美江
    1998 年 45 巻 4 号 p. 373-378
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     サイクロデキストりン合成酵素(CGTase)は基質の澱粉の非還元末端に作用してサイクロデキストリンを合成し,この事実から,CGTaseはエキソ型酵素に分類されている.最近になって,CGTaseが澱粉分子の内部に作用することが報告されている.可溶性澱粉および蛍光標識を行った可溶性澱粉に対するCGTaseの作用パターンをタカアミラーゼA(エンド型)およびグルコアミラーゼ(エキソ型)の作用パターンと比較してみると,CGTaseはエキソ型よりエンド型酵素に類似した作用特性を示すことがわかった.ヨウ素呈色の著しい低下にもかかわらず,還元糖の生成が極めて少ないことも,CGTase反応のもう一つの特徴として確認された.以上の結果から,CGTaseは基質の澱粉に対して,従来,知られているような非還元末端側からのエキソ型の作用のみならず,分子の内部を開裂するエンド型酵素に類似した作用を示す結果が得られた.
  • 田幸 正邦
    1998 年 45 巻 4 号 p. 379-384
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     平均重合度(DPn),平均鎖長(CLn),およびリン酸含量がそれぞれ4290,23.0,および840ppmのポテトアミロペクチン(ジャガキッズ,90,赤)水溶液の非ニュートン流動と動的粘弾性をレオゴニオメーターを使用して測定した.ポテトアミロペクチンは2.0および4.0%で擬塑性流動を,6 .0%では降伏値(0.8Pa)が認められ塑性流動を示した.この結果から,ポテトアミロペクチン分子鎖は水溶液で二次結合を形成しないことが示唆された.粘性は温度の上昇に伴って徐々に減少した.また,動的弾性率は濃度の増大に伴って高い値を有したが,温度の上昇に伴って減少した.一方,tanδ は6.0%低温側(0℃)で1.15であった.動的弾性率は尿素(4.0M)またはアルカリ溶液(0.05または0.10NNaOH)で低い値に留まった.しかしながら,85%DMSO溶液では逆に増大した.ポテトアミロペクチン分子鎖に置換しているリン酸(C-6,613ppm)が,分子鎖内二次結合を阻害することが示唆された.
  • 森田 尚文, 藤田 修三, 土門 英司, 安藤 ひとみ, 光永 俊郎
    1998 年 45 巻 4 号 p. 385-391
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     モチ性の大麦粉を代替した小麦粉ドウを用い,その物性と製パン性を検討した.0.3%CSL添加条件下で,モチ性大麦粉20%以上の代替によりパンの容積は,コントロールに比べ顕著に減少した.しかし,モチ性大麦粉と,ノンワキシー(ドラフト)大麦粉とでは顕著な差は見られなかった.ファリノグラフ試験では,20%モチ性大麦粉の代替粉の到達時間はコントロールと変わらなかったが,リパーゼ,CSLおよびその両者を含むモチ性粉の最適ドウ形成時間,安定性は顕著に減少した.一方,吸水率はコントロールに比べ有意に増大した.また,圧縮応力,弾性率,粘性係数はいずれもリパーゼ,CSLおよびその両者を含むモチ性大麦粉の代替によりコントロールに比べ有意に減少した.糊化温度およびエンタルピーについては無代替のコントロールに比べ,やや増大する傾向を示した.走査型電顕の観察ではモチ性大麦粉の代替により外観的にややなめらかになり,かつグルテンが澱粉粒の全体を包み込んでいた.保存中のパンのクラムは30%のモチ性大麦粉の代替のみで有意に硬くなった.
  • 志村 洋一郎, 殿塚 隆史, 坂野 好幸
    1998 年 45 巻 4 号 p. 393-395
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     好熱性放線菌Therrnoactinomyces vulgaris R-47よりクローン化された二つのa-アミラーゼ,TVAIとTVAII,のグルコシルサイクロデキストリン(G1-α-,-β-,-γ-CD)に対する速度論および作用様式の検討を行った.TVAIは,G1-γ-CDに対して,9.0s-1mM-1のkcat/Km値を示し,Gl-a-,および-β-CDに対するそれよりも100倍以上の値を示した.一方,TVAIIは,3種類のG1-CDに対してほぼ等しいkcat/Km値(約0.5s-1mM-1)を示した.TVAIとTVAIIの最終G1-CD分解物を,HPLCおよびTLCにおいて確認した.それらは,グルコース,マルトース,パノース,および62-α-グルコシルマルトトリオースと推定された.TVAIとTVAIIのG1-CDに対する作用は,速度論的には異なっているが,その作用様式は類似していた.
  • 殿塚 隆史, 佐藤 公彦, 坂口 政吉, 須山 幹太, 関根 恭一 , 坂野 好幸
    1998 年 45 巻 4 号 p. 397-400
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     Bacillus stearothermophilus SA0361株は,培養の定常期に菌体外にオリゴ1,6-グルコシダーゼを生産した.本酵素を電気泳動的に均一になるまで精製した.精製酵素は,SDS-PAGEの結果から分子量は63kDaであり,N-末端のアミノ酸配列はMERKWWKEAVVYQIYP-であった.本酵素はイソマルトース,イソマルトトリオースおよびパノースを加水分解したが,トレハロース,ズクロースおよびマルトースは加水分解しなかった.
  • 小西 照子, 三石 安, 加藤 陽治
    1998 年 45 巻 4 号 p. 401-405
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     葉菜類(レタス,ホウレンソウ,チンゲンサイ,ハクサイ,キャベツ)および根菜類(レンコン,ゴボウ,ニンジン,ダイコン,カブ)の可食部細胞壁多糖類を常法に従い分画した.24%KOH抽出画分からキシログルカン画分を調製した.各キシログルカンに微生物由来の精製キシログルカナーゼおよび精製イソプリメベロース生成酵素を作用させ,それぞれの酵素作用で得られたキシログルカンオリゴ糖をパルスドアンペロメトリー検出器を用いてHPLC(カラム:Carbo- Pac PA1)により分析した.七糖(XXXG),九糖(XXFG)および十糖(XLFG)が主要構造オリゴ糖単位として確認された[XXXG等はFRYらによるキシログルカンオリコ糖の表示方法で,主鎖の各(1→4)β-結合のグルコース残基の分岐様式によって一文字コードで示される.G,β-D-Glc;X,α-D-Xyl-(1→6)-β-DGlc; L,β-D-Gal-(1→2)-α-D-Xy1-(1→6)-β-D-Glc;F, α-L-Fuc-(1→2)-β-D-Gal-(1→2)-α-D-Xy1-(1→6)-β-D-Glc].さらに,八糖としてXXLGおよびXLXGの2種,九糖としてXLLGの存在も確認された.これら6種のオリゴ糖単位は量比にわずかな違いがあるものの供試材料すべてにみられた.
  • 箕輪 真理, 竹内 誠
    1998 年 45 巻 4 号 p. 407-414
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Asn-linked oligosaccharides on glycoproteins are divided into four subgroups: mannan-, high-mannose-, hybrid- and complex-type. Complex-type oligosaccharides have SA-Gal-G1cNAc-branches on terminal mannosides of the core structure (Man3GlcNAc2), and they are identified as a bi-, tri-, or tetra antennary structure depending on how many branches they have. A bisect structure that has a GlcNAc linked to the β1-4 mannose of the core structure has also been observed in many species. The branched portions of oligosaccharides affect 1) the interaction of the outer parts of oligosaccharides with other molecules such as lectins by increasing the multivalency of ligands, and 2) the turnover of proteins in circulation mainly because of the bulky structure of branched oligosaccharides. Several factors determine oligosaccharide branchings. The enzymes that catalyze branchings are N-acetylglucosaminyltransferases, some of which require products of other enzymes or inhibit actions of other enzymes. Furthermore, the timing when a-mannosidase II and galactosyltransferase react on the substrate oligosaccharides may also influence the number of branches. The activities and distribution in the Golgi apparatus of these enzymes are enzymatic factors that determine the branchings. A higher structure of peptide backbones may also influence the size of sugar chains. All the mammalian enzymes regulating branched structures are now available because GnT-IV, the missing link of GnTs, has been purified and cloned by our group. Several attempts to alter sugar-chain structures by using some of those enzymes have already been reported. In the future, a method to freely control the structures of Asn-linked oligosaccharides will be developed by regulating the expressions of these enzymes.
  • 川口 光朗
    1998 年 45 巻 4 号 p. 415-419
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Chitin and its N-deacetylated derivative, chitosan, are manufactured on a large scale from the outer shells of crustaceans (crabs and shrimps), which are attractive as functional natural materials. In the past, a major trend of applied research on chitin and chitosan has been directed toward the use of these polysaccharides. But it is important, by using their hydrolysates, chitin-oligosaccharides and chitosanoligosaccharides, which have unique characteristics that are different from polymers, to achieve highutilization. This review deals with the properties and uses of these oligosaccharides by focusing on recent developments.
  • 1998 年 45 巻 4 号 p. 421-434
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
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