地下水汚染の広がりの把握やその後の汚染物質除去の計画を立てる上で数値シミュレーション技術は有用なものであろう.しかし.近年の地下水汚染は汚染物質の種類も多く.例えば有機塩素系の物質や石油などの難溶性の物質の場合には.従来の溶質の移流拡散解析では汚染状況を描き出すことは出来ない.この状況を踏まえ.著者らは.水溶性の物質による汚染(溶質移動)から.独立相を作る汚染物質の移動までを包括的に表現する多成分多相流れの定式化を行った.提案されている式は気相と2つの液相の3成分3相流れ.液相間.液・固相間の成分移動(汚染物質の水への溶解.固相への吸着・脱着など).液相内の拡散効果を考慮したもので.様々な汚染物質に対応して異なる汚染形態を描き出すことができる.
著者らは.この新しい定式化を基に.3次元数値シミュレータを作成した.シミュレータにはコーナーポイント型差分法を基本とした3次元的自然地質・水理条件(地形・地質条件.不飽和条件.降雨・地表流出)の表現.高速化手法などが取り入れられている.数値シミュレーション結果の妥当性は1.2次元問題により確認している.
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