地下水学会誌
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40 巻 , 4 号
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  • 平田 健正
    1998 年 40 巻 4 号 p. 395-402
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    わが国の有害化学物質による地下環境汚染の現状に始まり.物理的固化.化学的不溶化.汚染土壌の除去.地下水揚水.土壌ガス吸引.エアースパージング.微生物分解.化学分解.物理分解など.修復技術のなかでも革新技術を中心に.技術としての信頼性や適性.修復効果を実証試験や修復対策事例を基に紹介した.将来に期待される修復技術や地下環境管理の重要性についてもまとめた.
  • 笠水上 光博, 山内 仁
    1998 年 40 巻 4 号 p. 403-416
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    一般に透水性が高いとされている砂層等の粗粒堆積物中においても.その堆積物中の相対的な細粒部分は.浸入した原液状の揮発性有機塩素化合物等(DNAPL(DenseNon-Aqueous Phase Liquidの略:重非水液))に対して難透水層のように振る舞う場合がある(Schwille,1988).揮発性の有機塩素化合物等今回.第四系完新統の礫質粗粒砂からなる一連の飽和帯中に.DNAPL Pool(原液状の揮発性有機塩素化合物等が滞留している部分)からなる高濃度汚染ゾーンが確認された.
    本論では.この高濃度汚染ゾーンが.相対的に細粒分が多く.粒子間隔が小さくなっている箇所の直上にスポット的に存在していることを確認するとともに.粒度分析の結果を用いて.本サイトにおける粗粒堆積物中の揮発性有機塩素化合物の存在様式及び挙動について明らかにした.また.本サイトにおいて.空気注入・揚水両用管を用いたエアースパージング・揚水システム(特許登録番号第2663235)と土壌ガス吸引法を組み合わせた手法を用いた浄化実験を実施し.従来法(エアースパージング法と土壌ガス吸引法のみを組み合わせた方法)よりも浄化効率を高く維持できる方法を確立した.
    ボーリングにより採取した試料の内.高濃度汚染ゾーンとその上下層を含む7深度における粒度分析(弘前大学方式粒度分析装置使用)を実施した.その結果.本サイトにおける砂は.相対的に淘汰度が良く.細粒分の少ない粒子間隙の大きいタイプ(タイプA)と相対的に淘汰度が悪く.細粒分の多い粒子間隙の小さいタイプ(タイプB)に分類できた.高濃度汚染ゾーン及びそれより上位の層はタイプAに属し.その直下の低濃度ゾーンはタイプBに属することから.タイプBの砂層が原液状の揮発性有機塩素化合物に対して難透水層として作用していると判断できる.
    浄化実験では.エアースパージングのみの運転(Aパターン).揚水のみの運転(Bパターン).エアースパージング+揚水の運転(Cパターン)の3パターンの運転を行なった(土壌ガス吸引は常時運転).その結果.Cパターンにおける運転時に単位時間あたりの回収量がもっとも大きくなった.
  • 江種 伸之, 平田 健正, 福浦 清, 松下 孝
    1998 年 40 巻 4 号 p. 417-428
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    テトラクロロエチレンなどの揮発性物質によって汚染された地下環境の修復技術として.その揮発性に注目したエアースパージング技術が適用されることが多くなってきている.エアースパージング技術は地下水中に空気を吹き込み.地下水の流れを攪拝することで溶解している物質を揮発させ.不飽和帯でガスとして除去する.すなわち.この方法を適用するためには.注入空気の動きや地下水中の物質濃度変化などを明らかにする必要がある.本稿では.実際に揮発性物質で地下水が汚染された現場にエアースパージング技術を適用し.空気の注入によって地下水水質が回復していく様子を検討した.その結果.空気注入を断続的に行う間欠運転によって.注入空気が実験対象となる地下水帯を十分拡がることが明らかになった.また.抽出ガス濃度などの観測データから注入空気に揮発したガス濃度を算定することで.地下水中に溶解している物質の揮発だけでなく.現地帯水層中に原液が存在している.その原液が注入空気へ揮発することで地下環境中から除去されつつある状況が推察された.
  • 川端 淳一, 中村 充利, 河合 達司, 山本 毅史
    1998 年 40 巻 4 号 p. 429-443
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    有機物によって汚染された地下水を.帯水層中の微生物の働きによって浄化する原位置バイオレメディエーションを.合理的に設計する手法について物質移行解析を用いて検討を行った.帯水層中へ複数の物質投入が必要な共代謝を利用したバイオスティミュレーションの設計においては.原位置における生物学的な分解活性条件を把握すること.人工的に注入する複数の物質同士を混合させ必要な条件を作り出すことが基本的に重要である.そこで.まず基本的な物質の注入手法を整理した上で.砂質帯水層中での混合を評価する上で.もっとも重要となる物質移行特性について評価を行った.次に井戸を通じて注入する物質の移流分散解析及び浄化シミュレーションの予測解析を行い.共代謝を利用した地下水のバイオレメディエーションにおける設計の考え方を帯水層の種類や微生物特性の関係から整理考察し.基本的な浄化システムの特徴を明らかにした.
  • 下村 雅則, 今村 聡, 根岸 昌範, 李 昌沫
    1998 年 40 巻 4 号 p. 445-454
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    零価の鉄を用いた透過性地下水浄化壁の設計手法を確立するために.鉄粉の配合比を変えたカラム試験を実施し.透過性地下水浄化壁の浄化効果予測モデルを作成した.このモデルでは.鉄粉が酸化することによって鉄粉の表面に少しずつ酸化被膜が形成されて反応速度が減少し.鉄粉表面全体が酸化被膜で覆われた状態になると.酸化被膜を介して電子の受け渡しをするため.一定の反応速度になると想定している.本モデルを用いた解析結果は.カラム試験結果と合致するものであった.また.浄化壁の耐久性についてのモデル化として.鉄粉の腐食による表面積の減少により反応速度が低下するものとした.浄化壁を設計する際にはカラム試験を実施してパラメータを同定することにより本モデルの使用は有効である.
  • 山内 仁, 笠水上 光博
    1998 年 40 巻 4 号 p. 455-466
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    近年.有害物質に汚染された地盤環境を再生し保全していくためのアプローチがなされているが.浄化を必要とするサイトは井戸を含めた浄化設備の設置が困難な稼働中の工場建屋内であることが多く.これが地盤環境再生の阻害要因の1つとなっている.
    水平井戸とは.地上から斜めに掘削を進め.必要な深度に水平に設置した井戸である.本工法を用いることにより.工場建屋やタンク直下の土壌・地下水汚染に対して.生産ラインを止めることなく建屋やタンクの外から汚染ゾーンに浄化用の井戸を設置することができる.
    筆者らは.ガス管埋設技術を用いて.揮発性有機塩素系化合物の浄化を目的とした水平井戸を設置して.施工性と浄化効果の検討を行った.
    施工時にはドリルヘッドが汚染区間を通過する際に.掘削に使用する水や発生する泥水中に汚染物質が含有され.これらの水や泥水が周辺に拡散する懸念がある.しかし.掘削に使用する水量および掘削孔内から土壌中に浸透する水量は少ないため.新たな土壌汚染の発生は無視できる範囲であると判断した.
    土壌ガス吸引の影響半径は水平方向で4.9m.垂直方向で3.9mであった.水平井戸は横方向に長いスクリーンを設置できるため.横方向に広がった汚染の浄化に対して水平井戸は有利であると考えられる.
  • 井戸媒介性汚染.地表汚染.地中からの溶解など
    横山 孝男, 平田 健正, 中杉 修身, 山野井 徹, 鈴木 雅宏, 手塚 裕樹
    1998 年 40 巻 4 号 p. 467-483
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    本研究が対象とした有機塩素系地下水汚染地域は山形県にあり.汚染の顕在化は平成3年に始まる.この汚染に対する本格的な取組みは平成5年に開始されたが.本研究の最終的な目的は当該地区に供するシミュレーションコードを作成し浄化・改善に役立てることにある.
    本論の前半では汚染状況の把握を行った.対象地では東西2km・南北1km・深さ100mに及ぶ主にTCE汚染である事.現井戸・休止井戸の存在が大きく影響していること.汚染は地表からの原液及び回収時の濃縮凝縮水が不飽和浸透したことが原因である疑いが強いことなどが判明した.
    後半では.これら汚染の構図を実用的かつ体系的につかまえるために.充填層が.等価で仮想的な粒子相と間隙流体相から構成されるとするいわゆる2相モデルを用いて.粒子・間隙水間の相互作用も単純かつ定量的に考慮可能なものとし.多層・不均質・異方性を取り込める3次元非定常場の汚染拡散シミュレーションコードを作成した.
    続いて.当該地区で必要とされるシミュレーション機能の検証を行い.その結果.本来汚染波及が生じないはずの粘土層を挟んだ異層問で古井戸や休止井戸がその媒介性を担って起こす汚染や.地表面からの不飽和浸透による自由地下水面への汚染浸透.土壌からの汚染物質の溶け出しなどをも縫合し得る系統的なシミュレーションコードの作成となったことが示された.
  • 中川 啓, 神野 健二
    1998 年 40 巻 4 号 p. 485-499
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    一般に.自然状態の帯水層は.水文地質学的に不均一な構造を有している.地下水中における汚染物質は.このような帯水層の不均一性のため.選択的経路に沿った移動や.局所的な分散現象などの影響を受けている.巨視的分散係数および巨視的分散定数は.汚染物質の流下距離に従い.直線的に増加し.遷移段階を経て一定値に収束する.不均一場において巨視的な分散がどのように変化するかを知ることが重要である.本研究では.不均一場を任意に生成し.トレーサー輸送の数値計算を行い.トレーサーの観測井戸における濃度の経時変化を利用した巨視的分散係数および巨視的分散定数の定常値への収束の判別方法を検討した.次に.巨視的分散係数および巨視的分散定数が未だ定常値への遷移段階と判断される場合に.不均一場の特性を直接推定する方法を検討した.また.それらの適用例と特性を示した.
  • 丸井 敦尚
    1998 年 40 巻 4 号 p. 501-508
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    地質調査所水文地質研究室では.全国の井戸や水文学(水文地質学)的な情報を収集しデータベースを構築した.このデータベースには以下のようなデータが含まれる.
    1)地理学的なデータ(所有者.住所.緯経度など)
    2)地下水のデータ(水温.水質など)
    3)井戸データ(スクリーン深度.口径.揚水量など)
    4)地質データ(地質柱状図など)
    本報では.このデータベースのレコードフォーマットを公開した.ここで使用されている2バイトコードは(英語は勿論)あらゆる国の言語に対応できるので.世界各地域からのデータベース構築の要求に応えることができる.本報では.同時にこのデータベース専用のソフトウエアー「いどじびき」についても報告した.このソフトウエアーはパソコン上で動作し.井戸の分布や各井戸の詳細なデータ.地質柱状図などを表示する事が可能である.
  • 中島 誠, 井上 光弘, 澤田 和男, クリス ニコル
    1998 年 40 巻 4 号 p. 509-519
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    近年.土壌の誘電率から土壌水分量を求める方法が注目され.TDR(Time DomainReflectometry)法やFDR(Frequency Domain Reflectometry)法などが実用化されている.しかし.これらの方法は.コストおよび自動計測システムの複雑さなどの面で幾つかの問題点をもっている.それらの問題点を解決し.TDR法やFDR法に匹敵する性能をもつ方法として.簡単なインピーダンス測定から安価に土壌の誘電率を測定するADR(AmplitudeDomain Reflectometry)法が開発された.ADRセンサーによる測定では.測定された伝送線に生じる電圧定在波の振幅がADRセンサーから直流電圧として出力され.体積含水率θがその電圧から算定される.ADR法は.自動観測あるいは多点観測の容易さ.地下深部での使用の可能性において.非常に有効な土壌水分量の測定方法である.
    本研究では.ADR法に基づく土壌水分センサーを用いた土壌水分量の測定について.室内実験や野外測定によるキャリブレーションを行い.その適用性について検討した.
    本研究で得られたADRセンサーのキャリブレーションカーブは.体積含水率θと誘電率の平方根√εの関係が1次式で近似されることを利用したものであり.その傾きと切片を表す2つのパラメーターを求めることで簡単にキャリブレーション特性を得ることができた.本研究で得られた√ε-θ間のキャリブレーション特性は.Miller&Gaskin(1996)で無機質土壌について.あるいはWhiteet al,(1994)で得られたキャリブレーション特性にほぼ一致するものであった.
  • 佐々木 崇二
    1998 年 40 巻 4 号 p. 521-537_1
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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