ヒートパルス法は.樹液流などの流速を測定するうえで有用な手法の一つである.樹液流速は蒸散量に換算することができ.それゆえ地下水涵養量の正確な評価を行う際に重要な要素となる.近年.デジタル式のヒートパルスセンサーが開発され.広く用いられるに至っている.本研究では.カラム実験やアカマツ林での野外観測によって.デジタル式センサーによる流速測定値の誤差特性を検討した.
室内実験結果より.測定されたヒートパルス速度が過大評価されていることが見出された.この結果に基づき.ヒートパルス速度測定値を補正する半理論的な手法を考案し.野外での樹液流速測定に適用した.補正された値はGranier法による樹液流速測定値と±4cm/hr程度の誤差をもって概ね一致した.このことは.考案された補正手法が樹液流速の過大評価を低減させる上で有効であることを示唆しているが.センサー出力の不安定性に起因するランダム誤差はあまり改善されなかった.
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