地下水学会誌
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45 巻, 4 号
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  • 村上 哲, 安原 一哉, 望月 紀子
    2003 年 45 巻 4 号 p. 391-407
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    従来,広域地盤沈下を予測するための理論が古くから展開されてきているが,昨今多くの地域で認められている,“地下水位の季節的変動”を考慮した沈下予測の方法の多くは,地下水流動と地盤の変形を同時に取り扱う数値計算手法であり,地盤沈下現象を詳細に再現できる反面多くの地下水地盤情報を必要とする.地盤沈下地域の多くは過去多数の観測点を設けて継続的に計測されており,これらの情報を将来予測のために活用することができれば非常に有効であると考える.このような実情を踏まえて,著者らは,最近,実際に観測されている沈下データに基づいた広域地盤沈下の将来的予測手法を提案しているが,渇水期などに見られる地下水位が急激に変動する事例への適用性が悪いことが指摘されている.このことを克服する一つの方法として,地下水位の変動を時系列解析によって予測する手法を考えた.本文では,まず,その手法を紹介し,関東平野北部で多年にわたって観測されている地下水位の観測点におけるデータを解析して沈下予測式に適用できる地下水位変動幅を求めた.次いで,これまでに提案してきた沈下計算式に適用して従来の観測沈下・時間関係と比較を行って計算値がよく実測値と対応することを確かめた.そして,向こう10年間の将来沈下予測を行って,その結果の客観的な理解を容易にするためにGIS(地理情報システム)を用いて電子地図化する方法を示した.最後に,ここで提案する手法を用いることによって地盤沈下による種々の災害を低減するための地下水位モニタリングシステムの可能性についても言及した.
  • 藤野 和徳, 小路 順一
    2003 年 45 巻 4 号 p. 409-418
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    この研究は数箇所の観測地下水位を用いて,自由地下水場の帯水層の基盤高と地下水パラメータを同時に同定する手法を提案している.遺伝的アルゴリズムを観測地下水位と推定地下水位の差を小さくするために使用している.ここで,基盤高の分布は数箇所の基盤高より線形補完しており,また,地下水パラメータである透水係数,有効空隙率は解析領域内では一定としている.この手法を淡水のみの帯水層および海岸近くの帯水層に適用しその有効性を検討している.
  • 田代 豊, 中西 康博, 高平 兼司, 藤井 晴彦
    2003 年 45 巻 4 号 p. 419-428
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    宮古島と沖縄島南部で1999年2~11月に地下水を採取し,遺伝子組換酵母法により雌性ホルモン活性を測定した.市街地内や住居に隣接した8地点のうち5地点,遠隔地の14地点のうち2地点で0.2~2.OngL-1(17β-エストラジオール(E2)換算値)の活性が検出された.宮古島市街地内の1地点については,2000年7月~翌年6月の間に,さらに10回採水した.この地点での活性の推移は,Na++などのイオン種濃度の推移と関連が見られた.各試料のE2濃度をELISA法で測定したところ,宮古島の1999年の試料のうち雌性ホルモン活性が観測されたすべての試料でE2が検出された.
  • 千葉県野田市南部地域の予察例
    村松 容一, 柴田 靖裕, 渡邉 邦洋, 板垣 昌幸
    2003 年 45 巻 4 号 p. 429-436
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    千葉県野田市南部の地下100m以浅には第一・第二・第三からなる3枚の帯水層が存在する.今回,井戸水と湧水の化学分析,および第二・第三帯水層の構成鉱物の同定を実施するとともに,水質形成機構を水一鉱物相互作用の化学平衡論で検討した.帯水層には炭酸塩鉱物(貝化石),斜長石,カオリナイトなどが確認された.地下水はCa-HCO3型を主とし,深部に向けて次第に炭酸塩鉱物に不飽和から飽和状態に近づき,またCaO-Al2O3-SiO2-H2O系活動度図でカオリナイトの安定領域にある.したがって,Ca2+とHCO3-の深部へ向けての高濃度化は,主として貝化石の溶解反応および斜長石の風化によるカオリナイトの生成に起因する.NO3-汚染は地表にもっとも近い第一帯水層に限定される.
  • 大岩 敏男, 横山 孝男, 王 欣, 渡邊 洋, 安彦 宏人, 南舘 有
    2003 年 45 巻 4 号 p. 439-447
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    著者らは,井芦の上部もしくは左右いずれかに洗浄水の湧き出し蔀を持ち,下部にもしくは左右反対側に汚染水の回収部を持たせたランチャー型井戸素子を提案している.ランチャー型井戸は,通気部を合めた汚染域の洗浄及び洗い出した汚染水の回収を行うことができる.これまでの室内モデル実験結果を踏まえて,本論では,六価クロムによる地下水汚染現場において汚染水の揚水(回収)井戸に近接して清水の酒養井戸を浅層に設け,本来のランチャー井戸の機能を持たせながら現場状況に合わせた2本の井戸による擬似ランチャー方式により,ランチャー型井戸の実用機能試験を行った.
    井戸の設置場所が汚染源から少し離さざるを得なかったにも拘らず酒養開始当初に通気帯の残留六価クロムの洗い出しによる効果が確認された.このことは本来の汚染源でランチャー方式を稼動させることができるならば洗浄効果は十分期待できることを示している.
    付加的に,上流側から清水を酒養し下流側の回収井戸と組み合わせる水攻法も行った.ブラッシングでもあるが汚染源の上流部側方の酒養井戸による清水の水ぜめにより汚染物質を広範囲に追い出す目的で行い,その効果を確認することができた.
    約6ヶ月,問にわたり単独揚水,疑似ランチャー方式および水攻法を行った結果,約1.8kgの六価クロムを回収除去することができた.
    今回の結果は,長期的な濃度低減などの効果や物質収支の把握までは至らなかったが,室内模擬実験に始まった一連のランチャー方式浄化素子の実現を一歩近づけたものと位置づけることができる.不飽和域から飽和域にかけて連続する汚染に対して,より効果的な原位置浄化手法を確立するために,ランチャー方式の基本性能確認や三次元数値解析などへ進む基本的成果が得られた.
  • 11.海外における砒素汚染
    横田 漠
    2003 年 45 巻 4 号 p. 449-462
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
  • 12.その他の物質(ほう素,ふっ素,POPsなど)による汚染
    田瀬 則雄
    2003 年 45 巻 4 号 p. 463-468
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
  • 伝説に彩られた北部の名水
    河野 忠
    2003 年 45 巻 4 号 p. 469-478
    発行日: 2003/11/20
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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